宇宙人を大真面目に探してる超有名研究者の講演会に行ってきた!

宇宙生命体の可能性について大真面目に研究するアストロバイオロジー分野の講演に行ってきたれぽ。JAXAはもちろん海の研究機関であるJAMSTEC高井研先生が進行だったんです!

宇宙人を大真面目に探してる超有名研究者の講演会に行ってきた!

去る12月1日、(JAXAの隣にある)相模原市立博物館で行われた日本アストロバイオロジーネットワークによる公開講演会「宇宙にいのちを探す」を聴講してきました~。

「生命の根源」好きなら思わず変な声が出そうな豪華登壇者名簿を前にルンルン気分で出かけたんですが、冒頭でJAXA研究者による

個別に発表内容を録画・撮影してアップすることは避けて欲しい

とのアナウンスが入って

「な…なんだってー!!」 ( ;゚Д゚)

…でもおちさん書くよ!

アストロバイオロジー(宇宙生物学)とは

アストロバイオロジーの定義については講演中でも定義されてましたけど、活字で見るならJAXA(ISAS)の記述が判りやすいでしょうか。

天文学、太陽系科学、地球化学、微生物学などが学際的に連携する形で、「アストロバイオロジー」という新しい学術領域が誕生しつつある。地球上の生物学が、物理や化学のように太陽系外の惑星で普遍性を持ちうるのかは、現代科学における大きな課題のひとつ
国際アストロバイオロジーワークショップ2013

従来の枠に囚われず、様々な分野から生命の起源に迫るホットな分野という認識です。今回の登壇者である先生方はこの分野の牽引役と言って良いでしょう。

実は一ヶ月半ほど前にもアストロバイオロジーのシンポジウムがあって、長沼先生・山岸先生・田村先生はそこでも講演されてました。

第15回自然科学研究機構シンポジウム:自然科学研究機構

  • 「日本の火星生命探査計画提案」山岸先生
  • 「アストロバイオロジーにおけるサイズとノイズの問題」長沼先生
  • 「系外惑星と宇宙偏光の観測で迫る生命起源の謎」田村先生

そのときのお話も非常に興味深い内容だったんですが、会全体の方向性としては学会後のパネルディスカッションに近い形式でした。トークセッションとしては今回の方が断然ノリが良くて楽しかったです。

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立花 隆 /佐藤 勝彦 / 長沼 毅 / 皆川 純/ 菅 裕明 / 山岸 明彦 / 重信 秀治 / 小林 憲正 / 大石 雅寿 / 佐々木 晶 / 田村 元秀 / 自然科学研究機構 (編集)

10月の話が「討論会」ならこっちは「トークショー」って感じでしょうか。学者さんの話って難しいと思われがちだけど、フランクな場だと漫談並みの面白さだから皆ももっと足を運んだら良いと思うよ。

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生命の起源という意味では、山岸先生が一番シンプルな部分のお話をされてました。それだけに話が多岐に渡ってなるほどでしたし。

いずれにせよ長沼先生が大変ご機嫌な感じで先鞭を切ったため、客席も終始和やかにグルーブ感あふれるお話を伺えましたよね!

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もしや地球外生命体?サハラ砂漠から極小の細菌が発見される!

長沼先生や高井先生が良く言ってる「理論上0.2μm以下の生き物は存在し得ない」を打ち破る発見。長沼先生チームによる成果です。

第一部:アストロバイオロジー・リレー講演会概要

そんなわけで、アストロバイオロジー講演会「宇宙にいのちを探す」に行ってきました。登壇者は、極限環境に生きる生物や特殊環境の生体反応を専門とする超有名な研究者ばかりです。

  • 「謎の深海生物にさぐる宇宙生命の可能性」長沼毅先生
  • 「宇宙生物学とクマムシと私」 堀川大樹先生
  • 「火星での生命探査計画」 山岸明彦先生
  • 「太陽系外惑星と宇宙における生命」田村元秀先生
  • 「正しい宇宙人の探し方~SETIの話」鳴沢真也先生

講演会の概要は相模原市立博物館のイベント情報
当日概要は相模原市立博物館 職員ブログ公開講演会「宇宙にいのちを探す」
第一部講演の様子はUstreamにて丸ごとアーカイブされてます。

Broadcast live streaming video on Ustream

…ってことで素人の出る幕はあまりないので茶々入れ程度の感想です。

「ネットにアップするな」って所を10回くらい聞きなおしたけど「講演を盗撮するな」以上のことは言ってなかったので大丈夫でしょう…多分。登壇者である鳴沢先生にも私のレポツイをリツイートして頂きましたし。

カメラ 持って行くだけ無駄だったダンベル(830g)

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縁あって幻冬舎さんからご恵贈頂きました。ありがとうございます。(´ω`*)

回りにSETI@homeで宇宙人捜しのお手伝いやってた人が多いので、鳴沢先生の講演を聴いた話は愉快な職場ネタになりました。(^^

アストロバイオロジー公開講演 客席より

さて。会場に訪れた人達をざっくり眺めてると、大体2パターンに大別される感じでした。

お目当ての先生が登壇するから足を運んだであろう人
テーマを見てふらっと来てみた人

特に前者は、誰先生のファンか見た目で判る感じの方が散見されましたね。

クマムシさんとかJAMSUTECとか グッズに属性が出るんですよね。

後ろに座ってらした後者とおぼしき年配の方が、しきりに「宇宙の話なのに女性が随分多いんだねぇ…?」…って驚いてましたけど

正 直 愚 問 で す ね ! (・∀・)

注目が高まるクマムシ

宇宙人との邂逅
「私はもうダメだ…地球侵略は任せたぞ」「グ、グレイ…」

興味深かったのは、登壇した先生方によるクマムシ言及率が非常に高かったこと。クマムシ博士こと堀川大樹先生の影響であることは明らかですが、やはり極限耐性の高いクマムシは注目度が高いと言うことなのでしょうか。

「宇宙の生命体」と言って、いわゆるSFに出てくるような宇宙人とのコンタクトはやっぱり難しいみたいなんですけど、クマムシくらい高等な生き物が見つかったら相当ワクワクしますよね。

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個人的に嬉しくまむしだったのは、突っ込んだトピックスとしてクマムシのUV耐性について言及されたことでした。以前別のトークセッションで似たような質問をしたので、続きが聞けて良かったです。

【関連記事】

【クマムシ vs 極限環境微生物 トークバトルがwktk】

2013秋に行われた堀川大樹先生と高井研先生によるトークイベントのれぽ。

第二部:全天周映画「ETERNAL RETURN -いのちを継ぐもの-」

第二部はプラネタリウム専用番組、全天周映画「ETERNAL RETURN -いのちを継ぐもの-」の上映会です。話題になったとき見そびれてたので個人的にはこっちも楽しみでした。

プラネタリウム

学者さんのトークセッションの後に映画なんて意外と思われる方がいるかも知れません。でももっと意外なのは、このプラネタリウム作品の監修者がJAMSTEC高井研先生ってことでしょう。

宇宙生命体を探すテーマの講演会で、なんと海の研究機関であるJAMSTECの先生が来てるわけです。

しかし結果的には非常に納得のいく構成でした。深海ってすごく特殊な環境で、むしろ宇宙との共通点がすごく多いんです。

【 関連記事 】

海に降る(有村架純ちゃん版)朱野帰子 vs 高井研「海に降る」のトークバトルに行ってきた

朱野帰子先生原作のドラマ『海に降る』でも「深海には宇宙がある」ってセリフが出てきましたね。

実際、高井先生の最後の講評がすごく効いていて、登壇した先生方がフワっと散らしたガラス玉に「宇宙と生命の根源」という糸がすっと通って、全体が一本に繋がった気がしました。

個人的にはこれ聞けただけでも十分行った甲斐がありました。そもそも二部は中継されてませんし、「あの場にいて本当に良かった」という気持ちでいっぱいですね。

|д・)チラッ

|)彡サッ

|∀`)ニヤリ

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高井先生は本当にクレバーな研究者だと思っておりますが、何かに付け私のことを「足の臭そうなおっさん」とか仰るんで、いつも心の中で10回くらい「臭くねぇよ」って唱えてます。( ・`д・´)

アストロバイオロジー講演会に行ってきたよ!まとめ

研究者によるトークセッション本当に楽しいです。

かつて技芸が不可分な概念とされてたことを考えれば研究者ってまさにアーティストだし、ミュージシャンに例えれば 論文は楽曲で 学会はギグで 講演会はツアーそのものだと思います。

なのにタダ同然で聴講できるのとか 超お得過ぎて全く意味が分かんないので今後も研究(者)鑑賞に邁進していきたい所存です!

なお動画のハイライトは2時間24分ごろですよ!

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高井先生と山岸先生、宿命の対決の続編を聞きに行った話。

【 更新履歴等 】

2013/12/04 初稿発表『アストロバイオロジー「宇宙にいのちを探す」行ってきたー!!』
2015/12/17 改題&関連資料を追加しました