JAMSTEC一般公開に十年通った私のオススメ&2014レビュー

JAMSTEC(独立行政法人・海洋研究開発機構)横須賀本部の一般公開を独法化直後から見てる一般人のレポートです。

JAMSTEC一般公開に十年通った私のオススメ&2014レビュー

一昨日、年に一度のお楽しみ、JAMSTEC(独立行政法人・海洋研究開発機構)横須賀本部の一般公開に行って参りました!今年は車内吊りなどの大型告知はなかったようですが大変な人出でしたね。

【追記 : 2014/05/13】

話が長くなったので「JAMSTECを見学するときのコツ」的な話は分けました。

JAMSTEC(海洋研究開発機構)一般公開に行ってみよう!

しんかい6500ガン推し

いやー。しんかい6500大小いっぱいいましたねー。(´,,・ω・,,`)

しんかい6500

事前にしんかい6500の実機が展示されるのは知ってたんですが、展示室にも乗り込める実寸デモ機が設置されてて目を引きました。野外に常設されてる1/1模型と併せると、なんと実寸が3機も~。

特に展示室のしんかい6500は受付に近い建物と言うこともあり、1時間待ちの大行列でした。見るの諦めた人もいるんじゃないでしょうか。

お台場の日本科学未来館にも乗り込めるデモ機あっていつも割と空いてるんでゆっくり見たい方はそっちもオススメです。展示リニューアルに伴って撤去されました、残念。

何度も見ちゃう精密な模造船の数々

JAMSTEC関連の展示では欠かせない精緻な作りの模造船。それぞれ2mほどもあって迫力あります。

しんかい6500&母船よこすか

JAMSTEC横須賀本部はもちろん、各地の科学館に貸し出されてるのを これまでに何度も見てるんですけど、ついついじっくり見ちゃうよね。

深海生物展示は生きたゴエモンコシオリエビも

隣接する深海生物の展示部屋には、近ごろ話題のゴエモンコシオリエビが生きた状態で群展示されてました。

深海生物は生態が不明な部分も多く、生きた状態で見ることが難しい生物も多いのでコレは嬉しいですね。

固定標本もヒバリガイ・シロウリガイ・スケーリーフット・鯨骨生物群集など お馴染みの標本が所狭しとぎっしり。

深海生物の群展示

生体展示はそれほど広くないスペースだったので、ざっと眺めて出てしまう人と腰を据えて熱心に見てる人が はっきり二分されてるようでした。

コンパクトにまとめられた一連の構成は、前年に国立科学博物館で開催された特別展「深海」を彷彿とさせます。「科博からダイオウイカ連れてきたら完全に深海展のダイジェストだなー」…と思ったら足下に80cmくらいのアカイカ標本が飾られてて素晴らしい。(´ω`*)

あと、室内にほんのり漂う硫黄臭も見所…というか嗅ぎどころです。

海底温泉情緒!(・∀・)

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【硫化鉄の鎧をまとうスケーリーフット黒・白・龍スケ触ったよ!】

スケーリーフットの標本にお触りしてきました。

母船よこすか&新青丸

船の展示は「新青丸」と「よこすか」が来てました。

JAMSTEC 母船よこすか

「新青丸」の前身である「淡青丸」には以前乗ったので今回は割愛します。

じゃぁ「よこすか」は初めてかって問われたら前も見ましたけどね。「よこすか」は「しんかい6500」の母船だし、何度でも見ますよね!本当は「新青丸」を後に回したら時間が足りなくなったのです。

それにつけても計器類はいつ見ても無駄がなくてほんと綺麗。

よこすか内部の計器類

インテリアっぽく広げられてた海図はもちろん横須賀海域です!(^^

船内は驚きの狭さ

少し進んだところにある研究者向け居室のところで、室内を覗いてた親子が「え、これで2人部屋?狭いねー!」って言ったのと同時に「研究者用は広いねー!」って言っちゃって周囲が静まり返りました件。

もちろん客船と比べたらずっと狭いです。でもこれより狭い船もたくさんあるので。

よこすか内部の研究者用居室

写真だと判りにくいのですが、階段は真下に向けて撮りました。普通なら3~4段しか映らない画角です。屋根裏のハシゴ階段みたいな感じ。限られた船内で長期間過ごすことを考えたら大変な話ですよね。

ニッスイの大漁旗

甲板にでるとニッスイの大漁旗がかかってました。実はJAMSTECの船にはニッスイ系列企業の人も乗ってたりするからですけど、このセンスはかなり好き。(^^

ニッスイ提供の大漁旗と海底地震計

周囲の計器類は この週明けから始まる航海で使用予定の実機だそうです。そんなスケジュールの中で見せていただいてるとか大感謝だわー。(-人-)

技術支援企業ブース

かように調査船にはJAMSTEC以外の方も多数乗ってらっしゃるわけで、その関連企業のブースが地味におもしろかったです。

電気分解を利用した地震計の回収デモ実験

海底に仕込んだ計器の回収メカニズムをデモした実験。

留め具のアルミ箔に通電すると金属が溶ける仕組みで、実際は大人の指ほどある径のボルトを20分ほどかけて溶かすとのことです。

海底地震計の切り離しモデル

一般には水を電気分解する課程で生じる副作用的な現象ですけど、コロンブスの卵ですよね。作業現場が海中なのもミソ。

雨粒シミュレーション

ストローで整流した送風機の上にスポイト(=ランチャームw)で水を垂らして雨水の振る舞いを観察する実験です。そういえば高校物理で雨粒落下速度の収束計算とかやりましたよね。

空の上で雨粒が育つデモ実験

薄暗い屋内&手持ち望遠&ハイスピードで撮ったので写りがかなりガサガサですけど、何とか映ったでしょうか…。

コアサンプル

奥の方に海底の地層を抜き取ったボーリングコアが置いてありました。

見慣れた質感だったので古生物系ラボに行くコアだったかも知れません。有孔虫とかいっぱい入ってそうでしたよ。(*´∀`)

あと、一番隅のほうに貼ってあったポスターは正直見たくなかった。なんか今年エルニーニョ来るらしいです。うそん!…と思って検索したら本当らしくて、しかも大規模っぽい…。:;(∩´﹏`∩);:

高圧実験棟

しんかい6500がいかにして生まれ、どこへ行くのか。開発の歴史を刻んだ あまたの残骸が静かに語りかける高圧実験棟展示です。

しんかい開発時の残骸:圧力で壊れた鉄球とガラス

上の図で右側にある粉、質感は完全に小麦粉風ですが砕けたガラスだそうです。

深海の圧力で縮んだ色々

左上 圧縮されたスチロール容器がブタメンなのは、いわゆる時代の流れですね。個人的に かいこうIIの実機で圧縮した日清カップヌードル容器を複数持ってるのが密かな自慢だったりします。

右下 素敵なオブジェは熱帯魚水槽用の炭酸ボンベでしょう。これ自体がかなりの高圧に耐えられるはずですけど、ご覧の通りグニャグニャです。

ちなみに敷いてるドイリーは船を繋ぐアンカーロープ製。船の人ならではの手仕事ですね。(^^

ロープノット額(大)

東日本大震災に関する宮城県沖のコアサンプル

国立科学博物館の深海展でも超絶地味に飾られてた宮城県沖コアのレプリカは こっちでも展示されてました。

東日本大震災 宮城沖プレート模型

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【科博『深海』展はダイオウイカとグソクムシ以外が穴場】

2013夏の国立科学博物館特別展「深海」のレビュー。ダイオウイカ祭りだったけど見過ごされがちな展示を中心に書きました。

「ちきゅう」風船の赤い糸

いい歳こいて何故か頂いてしまった「ちきゅう」モチーフの風船。

船の下から伸びる掘削機を糸に見立てるデザインで超絶素晴らしかったんですけど これリアルを追求するなら白いコードにすべきだったのでは?

「ちきゅう」風船

もしかして風船の口が海底でそれ以下は地殻って趣向なの?どーなの偉い人!

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現物見てきました。疑問氷解。

付加体形成実験

回りきれなかった展示で地層が剪断する仕組みについても解説してたようです。

あー、これは見たかったな…。(´・ω・`)

付加体形成実験詳細【追記】

物欲しそうにしてたら、ゆーくぼさんに他のお写真みせてもらいました。(*´ω`*)

実験は以下のような状況だったようです。

付加体形成実験
【写真はゆーくぼ(@yu_kubo)さんより。許可を得て一部トリミングしました CC BY-NC-SA】

付加体というのは、海側プレートに積もった「堆積物(砂とか生物の遺骸)が大陸プレートの下に沈み込むとき 沈みきれず陸側に溜まったもの」です。「日本列島の大部分は付加体からなる」とか言われます。

写真を見ると、「海側プレートの堆積物」を模した平たい砂の層に「陸を模した白い板」を左→右にぞりぞりっと押して丘を作った様子が見て取れます。

# 本当は砂の層全体がベルトコンベアのように板へ向かう流れですね。
# それを実現するのは難しいので実験では逆になってることに注意。

元々平行だった朱と青の層が所々でギザギザ模様を作ってます。断層です。予備実験(ツイートで解説されてる方の写真)と層の模様が違うことから、わずかな条件の違いで地下構造が大きく変わることも読み取れます。

現実には地球をスパッと切ることが出来ないので、全体像を把握するためには上のようにボーリングしたり音波あてたり、時間も手間も掛かる作業が必要でしょう。しかも調べた端からプレート動くし。途中で地震起きたらノード変わるし。

よく週刊誌とかの地震特集で、地図にくっきりぱっきり断層線ひいて「次にあぶないのはここ!」とか断言してますけど、そんなもん判ったら世話ねぇっつーの。

元地学徒として、こう言う短絡的な扇動記事ほんと止めてくんないかなって思います。地震学の恩師が震災後のマスコミ対応で倒れた話とか聞いてるんで、悪質な報道を見るとモヤモヤします。

怯えてても仕方ないし、皆で知恵を出し合って頑張りましょう!><

…というところで、拝借したお写真により本実験のテーマが「音で観察する付加体のはなし」と判明したわけですけども。あれ…これ純粋に「プレート沈み込みによる付加体断層の話」じゃなかったんですか?

ちょ、ゆーくぼさん…そこんとこkwsk…!(^^;

音で観察すると言うこと【追々記】

当初「音」の意図する状況が飲み込めなくて混乱しましたが、改めてお話伺ってるうちソナー探査のことじゃないかって気がしてきました。「スイカ叩くと割らなくても中の粗密が判る」と同じ感じの原理ですね。

そんなわけで美麗なお写真いろいろ拝見しました。見てない展示はもちろんのこと、自分が見た展示の写真も面白かったです。「へー、それ撮るの…。」みたいな。

人の数だけ目線があるよなー。勉強になります!

JAMSTEC横須賀本部 一般公開2014まとめ

通い始めた頃は結構ゆるくて研究者の皆さんと話し込んだり出来ましたが、年々規模が大きくなって好き者にはもはや手に負えない分量になってきましたね。

頑張れば全部見られないこともないかな~という感じですが、自分の中でテーマを決めてよく見る展示と流す展示を分けた方が良いかもです。

私は一番の楽しみにしてた研究棟を最後に残してまるっと見そびれました。:;(∩´﹏`∩);:

残念その1:ぬいぐるみ欲しげな人がいっぱいいた

随所に飾られていたぬいぐるみや小物類。

「どこで売ってるんだろー」な人達と多数すれ違いました。一部のぬいぐるみは江ノ島水族館やらシーパラの売店にもありましたよぅ…。(小声)

深海魚シリーズダイオウグソクムシ特大 サイズ:55cm
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残念その2:高井研 先生ご不在

ミスターJAMSTECとの呼び声も高い高井先生がご不在でした。もっとも呉越同舟会議にご出席とか言う話は事前に知ってたんですけど、

…これ混ざりたかったな-。_(:3」∠)_

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disりdisられLove & peace!(・`ω´・ )

ちなみに、極限生物クラスタたるもの世界のDr.ケンタカイにdisられてからが本番です。かく言うわたくしも、どうでもいい二つ名を頂戴しております。

そういえば、先日おちさん某テレビ局に貸し出した資料の中にJAMSTECで頂いたノベルティ入れてたの思い出しました。もしかしたら来月あたり一瞬映るかも知れません。(一応全国放送)

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