Google・AdobeオープンソースのNoto Sans fontがジワジワ凄い

GoogleとAdobeが共同開発したフォント NotoSans / 源ノ角ゴシック の概要と開発経緯についてまとめました。7ウェイトある書体を比較すると英字がプロポーショナル・日本語部分が完全等幅のようです。

Google・AdobeオープンソースのNoto Sans fontがジワジワ凄い

GoogleとAdobeの共同開発で日本語・中国語・韓国語に使えるオープンソースのフォント Noto Sans CJK が公開されたというので使ってみました。

ウェイトが7タイプも合って随分太っ腹だなぁ、と思いましたが、CJKが揃ってることで三カ国語を混ぜても雰囲気が統一できるんですね。これはすごい!

Noto Sans CJK はオープンソースフォント

GoogleとAdobe共同開発と言うことでそれぞれ呼び名が違いますけど、ざっくり見た感じは同じもののようです。(権利的にはAdobeの方が強そうですね。)

通称 Noto Sans Source Han Sans
リリース Google Adobe
フォント名 Noto Sans 源ノ角ゴシック

Noto フォントプロジェクト

CJKフォントという触れ込みでGoogleのダウンロードページに行ったところ、既に90以上もの言語に対応していてびっくりしました。

【 memo 】

CJKとは…日本語・韓国語・中国語をまとめた呼び方。一般的な言語と比べ突出して文字数の多いこれらの3言語は 文化的にも技術的にも取り扱いが難しく、他言語とは一線を画して扱われています。

どうやら文字数の少ない言語から投入していって、最近とうとうCJK版が完成したと言うことのようです。

ちなみに 2014.07.20現在で全フォントが詰まったダウンロードファイルは 135.7 MB だそうですが

  • 日本語 … 26.1MB
  • 韓国語 … 24.5MB
  • 繁体字 … 32.9MB
  • 簡体字 … 48.9MB

4書体合わせて132.4MB ということでした。他の 90言語ひっくるめて 3MB で収まるというのに俺達と来たら…。今回に限らず、フリーの日本語フォントにはただただ感謝ですね。

改変・再配布可能なApache Licenseでの提供

今回すごいなと思ったのが、Apache Licenseでの公開であること。改変・再配布が可能なうえ、自身が改変したものは所定の条件を満たせば独自のライセンスが付与できることになります。(認識に間違いがあればご指摘願います。)

たとえフリーで商用利用可能と書かれたフォントでも、二次配布が禁止されている場合は組み込みに使えないため意外と用途が限定されるものです。組み込みというとゲームやWebフォントを想定しがちですけど、場合によってはPDFに使うのもダメだったりしますので。

極端な話、フリーに近い状態で配布されててもWEBページにスクリーンショット載せたら書影利用料が数万円かかるフォントもあります。…というか、実は結構多いです。私はなるべく気をつけるようにしてますけど、個人どころか大企業による誤用が横行してる件、誰か訴えないのかな。

Apache License, Version 2.0

Noto フォント CJKなのに太さは7種類

さて、話がそれました。
Noto / 源ノ角ゴシックのウェイト違いはCJKともに7種類とか…。(((( ;゚Д゚)))

Noto Sans Japanese Thin 100

noto_google_font_thin100
オーソドックスな漢字に比べて仮名は少し反りが強く、「さ」「て」「は」「ふ」あたりにクセがありますね。全体の重心にやや偏りがあるかも。ただ、漢字と交ぜ書きすると すんなり入ってきます。

これだけ細いのに奇を衒ってない(=本文に使える)フォントって珍しいですよね。

Noto Sans Japanese Light 300

noto_google_font_light300
個人的にはこれ好みです。

Noto Sans Japanese DemiLight 350

noto_Sans_google_font_demi_light350
おしゃれメニューに使いやすそう。

Noto Sans Japanese Regular 400

noto_google_font_regular400
これが基本ウェイト。

Noto Sans Japanese Medium 500

noto_google_font_midium500
小見出しとかに汎用性が高い感あります。

Noto Sans Japanese Bold 700

noto_google_font_bold700
ちょっと手を入れるとPOPにも良さそう。

Noto Sans Japanese Black 900

noto_google_font_black700
太いけど比較的あっさりめ。
全部重ねると日本語とアルファベットの違いがはっきりしますね。

Notoの日本語部分は等幅フォント

アルファベットがプロポーショナルなのは当然としても、日本語が完全等幅なの地味に応用範囲広いんじゃないでしょうか。

日本語・韓国語・中国語(繁体字・簡体字)は異体字もサポート

…ということでフォントフォーマットは異形字に強いOpen Type形式です。

notoフォント日本語・中国語・韓国語の違い
【引用元:オープンソースの美しい Noto フォントファミリーに日本語、中国語、韓国語が加わりました。 – Developer Relations Japan Blog

3言語混ぜても違和感のないデザインはなかなか圧巻。しかも異体字に対応しており珍しい名字でも大丈夫、とのことです。異体字対応ということで全国の渡辺さんや斉藤さんが歓喜しそう

渡辺さんの異体字いろいろ
【注:この表はNotoではありません】

…と思ったのですが

表示できても入力出来るとは限らない

よく考えたらマルチグリフ対応のオーサリングソフトじゃないと特殊な異字体をまともに入力できませんね。こんなのタダで配るなんて…って思いましたが、先行投資には相応の理由がありそうです。

Adobe Creative Cloud 12か月版
[ダウンロード]

Adobe-Japan1-6 グリフ集合対応らしいので、収録文字数は23,058文字かぁ…と思いきや、Adobe側の発表を見ると1万7千字程度だとか。(常用漢字が2136字で、JISが1万字ちょいで、戸籍に使う字が5万字くらい。)

…とは言えアルファベット圏の人から見たら意味不明の文字数ですね。お疲れ様です。

【 memo 】

戸籍だろうがどんと来いレベルの異体字サポートフォントとしては「IPAmj明朝フォント」をご紹介しておきます。

どんな人名も正しく表示? IPAの新フォントを試そう! – @IT

IPAmj明朝フォント – IPA(独立行政法人情報処理推進機構)

Noto Sans フォント試用と感想

…というわけで多機能と話題の Noto Sans フォント、思った以上によく練られてると感じました。ちなみにNoto Sans font 命名の由来は下記の通りです。

When text is rendered by a computer, sometimes there will be characters in the text that can not be displayed, because no font that supports them is available to the computer. When this occurs, small boxes are shown to represent the characters. We call those small boxes “tofu,” and we want to remove tofu from the Web. This is how the Noto font families got their name.
Noto Sans font – Google font

(コンピュータで文字を描画するとき、サポートされてない文字の代わりとして小さな四角が表示されることがあります。我々はこの「豆腐」をWebから駆逐したい。それを名に負うのが、この Noto font なのです。:おち抄訳)

そうですか、能登フォントじゃなくて「ノー豆腐フォント」だったんですね。空テーブルの四角を豆腐と呼ぶのは昔からよく使われる表現ですけど、いつの間にやら世界語になっていたとは。Noto Sans CJK は3年がかりのプロジェクトらしいので、CJK出身のエンジニアも多数参加してるんでしょうね。

「ノー父さん」じゃなくて本当に良かったです。(・∀・)

そんなわけで、この豆知識にちなんで書体見本の例文に北大路魯山人の「美味い豆腐の話」を使ったことをご報告して稿を閉じたいと思います。

【関連記事】

Webフォント化したNotoSansオープンソースのNotoSansはたった5分でWebフォントになる

リリース時に「なんだWebフォントじゃないのか」てコメントしてる人が結構いたので書きました。

豆腐百珍百番勝負 [ 花福こざる ]
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豆腐ディストロイヤー 顔文字をちゃんと表示! – Tofu Destroyer
調べてる最中に見つけた androidAndroidアプリ。 Unicode顔文字の豆腐をリペアしてくれるアプリだそうです。

\トーフ・デストロイヤー/