チョコレートをレンジでチンして光の速さを計算してみる

チョコレートを電子レンジで加熱すると定常波の波長により光速が求まる!…という定番の科学実験を検証してみました。※巻末に重要な追記があります

チョコレートをレンジでチンして光の速さを計算してみる

2月14日ですね。

チョコレートのcは光速のc、ということで光の速さを計測しましょう。ズバリ皆さんそうしましょう。

光速c(m/s) = 波長λ × 周波数Hz

光の速さは電磁波の波長と周波数によって求められます。

アルマン・フィゾーは光の干渉によって光速を肉眼で体感できるレベルに落とし込みましたが、150年後に生きる我々には電子レンジという強力な武器があります。そう、電磁波と言えば電子レンジですね!(違)

…ということで電子レンジを使って光速を計測する定番実験を検証します。

ちなみに本実験はターンテーブルつきのレンジだと成立しません。今回はターンテーブルがないタイプのレンジを使いましたが、回転皿つきの機種をお使いの場合は説明書の注意に従って取り外して下さい。

【 2015.02.15追記 】

※ちなみにチョコと電子レンジの関係は深くて、開発の父パーシー・スペンサーのチョコが溶けたことにあると言われてます。

※cを小文字にしました。 id:kenkoudainicさんありがとうございます。

用意するもの

  • 電子レンジ(回転皿は外す)
  • チョコレート
  • 物差し
  • 電卓(あれば)

予備実験

実験後に処分しなければならないチョコを無駄に増やすため 電子レンジが作る定常波の癖を理解するため、予備実験を行います。

アポロチョコレートを電子レンジで溶かす

明治アポロチョコレート【Amazon】

5cmのマトリックスに並べた粒チョコを20秒ほど加熱し、どのあたりが重点的に暖まるかを把握しておくことにします。

奥のチョコが焦げた所で電子レンジを止める
加熱によって微妙に焼きチョコ化

一番奥のチョコが焦げ始めましたが、他のチョコは無傷に見えます。

熱で崩れたチョコ
形を保っているものも、押すと一部がへこみました。依然として固いチップも残っています。

これが定常波によって生じる加熱むらです。電子レンジの原理的に避けられない現象と言えますが、今回はあえてこれを利用します。

【 2015.02.15追記 】

ターンテーブル無しのレンジでも加熱むらは出ます。(…というか、熱センサー積んでるのに明らかなむらが出たとことに驚いたのです。)ごく短時間の使用だったからかも知れません。(使用機種:National NE-A300)

電子レンジで光速を計算してみよう

…ということで本番いきます。

板チョコを使って本実験

平たい皿に板チョコを載せ、同様に20~30秒ほど加熱しましょう。

チョコレートで光速を計測しよう
取り出してつつくと概ねコツコツ音がするのですが、一部完全に液状になった箇所が現れます。それぞれの芯からの距離を計測したところ、おおむね6cm程度でした。

チョコレートの溶けたスポットを計測

定常波とは

定常波は「動かない波」とも言われます。複数の波が打ち消しあったり強めあったりして出来る合成波のうち、波長や周期が同じで向きが異なる場合に発生します。

定常波
【via Wikipedia “standing wave”(PD)】

…って書くと判りにくいんですけど、ある波が壁にぶつかって反対向きになると逆位相になりますね。その結果発生する現象だと思って下さい。

定常波の解説

で、溶けた所から溶けた所までが波長の半分に相当するので、この場合の1波長λは12cmです。

電子レンジのドアにあるパンチ穴の秘密

ところで。

レンジのドア部分は大抵パンチメッシュになって庫内が透けて見えるようになっていますね。このパンチメッシュは中の電磁波を外部に漏らさない働きをしています。

例えばサッカーボールは通さないけどピンポン球なら通るフェンスを想像しましょう。そのフェンスがパンチメッシュだとすると可視光がピンポン球でサッカーボールが電子レンジの波だという。

この性質の違いによって、スケスケのパンチメッシュ越しでも外部の安全が保証されています。

光速の求め方

で。

これに周波数を掛けると電磁波の速度 つまり光速が求まります。

電子レンジの周波数

2450MHzというのは1秒間に2450000000回パタパタすること(?)なので

0.12m * 2450000000s-1 = 294,000,000(m/s)

一方、理科年表的な光速は真空中で 299,792,458(m/s)。
空気中だと0.029%ほど遅くなって 299,705,518(m/s)

おや、どんぶり勘定の割に良い感じになりましたね。 (*´艸`*)

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桁が大きい割にざっくり合う計算問題と言えばこれ。

まとめ

この計算の何が凄いかというと。

秒速3億mを求めるため24億という莫大な定数を持ち出したにもかかわらず 相方の波長が子供の物差しで測れるような値であること、
さらにその電場変化を起こす対象が水ってところが素敵ポイントでした。

正直な話、光速を求めるだけならテレビ波だろうが可視光だろうが何でも良かったんですけど、今日はチョコレートのcなので。

あと、作業しながらマシュマロでも同じ実験が出来るよなって思ったんで、よろしかったらホワイトデーのネタにどうぞ。(・∀・)

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使用した食材はスタッフが美味しく頂きました。

お詫びと訂正

【2015/02/23】公開後、本稿には構造的な誤りがある事が判りました。定常波によって光速が求められることは理論上正しいのですが、現在流通しているタイプの電子レンジでは実験が成立しない確率が極めて高いです。再検証した結果と併せてご覧下さい。

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すいません、デマ言いました。