なんだか昨今、欧米における車椅子の福祉事情について語るのが一部の巷で流行ってますが、そういう方の支援活動みたいのを少しだけお手伝いしたことがある身としては色々と思うところをモヤモヤした感じに綴っておくエントリーです。
素敵な車椅子の人に声を掛けられなかった(´・ω・`)
日頃出歩いているエリアは趣味人が割と多く住んでる地域で、絵はがきから出てきたような おされな人や車をたくさん見かけるんですけどオシャレな車椅子に乗ってる方ってのも結構な割合でいらっしゃる。
先日も、川崎和男さんデザインみたいなビビッドなホイールの方を見かけて めっちゃテンション上がったんですけど、どうも気後れしてしまって話しかけられませんでした。
これが服や小物だったら見られたくて身につけてるんでしょうから何となく目が合ったタイミングで話しかけられるんですけど、車椅子ともなると気分で取り替えられるようなものじゃないわけで 一人でいたい気分だったらと思うと、会釈するのも難しい。
たまに、車椅子や白杖の人を見ると無条件に
「な…何かお手伝いすることありませんかッ!!!」
みたいな情熱アプローチをかます少年少女や年配女性もいますけど、別にそういう話とも違って純粋にかっこいいなと思ったから「どこ製ですか?」みたいな話をしたかったの。
平野啓一郎さんの小説で、足を失ってしまったモデルさんのために誰もがうらやむオシャレな義足をデザインする話がありますね。真っ赤な薔薇を閉じ込めた、きらりと光をまとう足。
もし現実に彼女とすれ違うことがあれば、たとえ声を掛けられなくても笑顔を向けたい。
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また別の日に乙武洋匡さんを見た
ところで、半月ほど前に ある有名な方とすれ違いました。
テレビロケなども多いエリアなので良くある話です。乙武洋匡さんでした。
視力0.01の私は 当初それが誰であるか気にも留めずに歩いていて、当然彼もこちらには一瞥もくれず、私のすぐ横を静かに通り過ぎていった。さほど混み合っているわけでもない駅の構内を、音もなく。
私は、そのあまりの静けさに驚いて「何だ今の車椅子!?」と慌てて振り向いたら乙武氏だった、という話。
足回りいじりとか好きな人ならモーター性能や重量感が伝わるでしょうか。実際あの車椅子、100Kgくらいあるって聞いてます。
なのに、彼のオフィシャルサイトに載ってた話によると
自分で店を予約する際、あまりバリアフリー状況を下調べしたことがない。さらに、店舗に対して、こちらが車いすであることを伝えたことも記憶にない。それは、とくにポリシーがあってそうしているわけではなく、これまで困ったことがなかったのだ。
…とのこと。
はじめに断っておきますが、元になった騒動そのものの是非について一切ここでは論じません。私は彼のシンパでもアンチでもないし、何かの対立構図を煽ることも望まない。
しかしこれは、非常に驚くべき話です。
同時に私の脳裏には、「子連れ」「ペット連れ」「車椅子」だからという理由で綿密に計画を立てないと外出もままならない多くの知人の顔がよぎった。
彼らは何度も何度も嫌な想いや怖い経験をして、不確定要素に頼るより 非力でも自力で賄った方がまだましだ…という想いを強く抱えている。
たとえば私は、助けを求めてきた他者に対して割と快く手を貸す方ですが、それでも気軽に応じて意外と大変な思いをしたら、それなりにモヤモヤするわけです。この温度差が更に彼らを萎縮させることは判ってるけど、巧くやれれば役者になってる。
ただ時折、素直に手伝って良かったと思う事があります。
I appreciate it very much!!
なんて、満面の笑顔で握手されたりするとき。
冷静に考えて、巡り合う全ての人と好意的に付き合うなんて出来る訳がないのです。だからこそ、彼と近しい人々が毎日を健やかに過ごしていればいい、…なんてことを無責任に思ったりしたのでした。
また、その笑顔の連鎖をして欧米化と呼ぶのなら、それもまた結構なお話でしょう。
参考サイト : 乙武さんを2階まで運んだことのある人間として
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