太陽の周囲には、様々な条件によってしばしば虹色の輪が現れます。中でも花粉によって発生する輪を花粉光環と言い、特に春のスギ花粉で起こります。
つまり花粉光環が見える日は大量にスギ花粉が飛んでます。
スギ花粉症の人には歓迎されない現象でしょうが、発生のしくみを知れば外出時のチェックに役立ちそうですね。(;´Д`)
花粉光環(かふんこうかん)とは
花粉光環とは、花粉によって出来る光環です。また光環とは、薄雲が広がっているような日に太陽や月の周囲に出る虹のような輪のこと。これが花粉によって発生したとき花粉光環と呼ばれます。
条件が揃えば一日中観察できるのですが、陽射しが強い日中はさほど目立ちません。狙って探す場合を除き、陽射しが和らぐ夕方に発見されることが多いようです。
「虹のような」と書きましたが、いわゆる7色の虹色ではなく干渉虹と呼ばれるタイプの縞模様です。シャボン玉や油膜と似たしくみ。

どんな時に現れる?
花粉光環は、春先の晴れ間によく見られます。黄砂などが雨に洗われて、すっきりと晴れ渡った爽やかな日に、ぶわ~っと花粉が飛ぶと出現します。
鮮やかな光環が出るには、粒の大きさが揃っていることが重要です。あと、それなりの分量が飛散していること。条件としては ほぼスギ花粉によるものと考えて良さそうです。
このときのスギ花粉はアレルゲンをがっちり抱え込んだ状態なので、スギ花粉症の方にとっては非常に憂鬱な事態でしょう。
太陽の周りに出る虹のようなものの中ではかなり光源に近いところに出現するので、電柱や外灯で太陽を隠すなどして目を傷めないように気を付けてください。
花粉光環が出来るしくみ
光が空気中の粒子にぶつかると、その影響で光の進み方が少し変わります。粒子のサイズが揃っていると光の変化も一様なので、それぞれが強め合ったり弱めあったりして綺麗な縞模様を作ります。
この色の並びは科学的な意味を持ちます。あまりフォトレタッチで色味を変更してしまうと本来の機能を失うので、記録写真として扱う場合は気をつけて下さい。
RGB成分と合成波としての干渉縞
ちょっと専門的な話になりますが、干渉縞がなぜこのような色になるのかはRGB分解すると解りやすいと思います。
各色成分ごとに波紋の波頭がずれているので、これを再び合成すると規則性のあるグラデーションが得られます。
実はちょっと楕円
このしましまは「同心円状の」と言われることが多いのですが、実はよく見ると少し縦長です。昼は正円に近く、太陽が低いと潰れるようです。
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月による花粉光環
【本章追記:2018-03-01】条件が整うと月でも花粉光環が観察できます。日没までばっちり花粉光環が出ていて、ある程度満月に近い状態のときに探してみてください。
ただし昼間にがっつり光環が見えてた同じ日の夜でも、風が収まる宵にはほとんど見えなくなってしまうことも少なくなありません。あまり期待しすぎずのんびり気長に探しましょう。
写真は2018年03月1日に発生した花粉月光環を長時間露光で収めたものです。撮影時間は夜半、肉眼ではほとんど見えなくなってたんですが、三脚使って無理やり撮ったら写りました。(ISO200, f/5.7, 6秒)
逆に、肉眼では見えるけどカメラにうまく映らないというパターンもあります。
おわりに
花粉光環は今までにも何度か見かけてたんですが、なかなか良い写真が撮れずにいました。先日、近所の科学館で大気光学現象に関するネタ出しをお手伝いしたばっかりだったので、ちょうど撮れて良かったです。
あと太陽や月の周りに花粉光環よりもずっと大きな虹の輪が出ることもあります。こちらは内暈(ないうん)と呼ばれる別の現象。発生頻度としては内暈のほうがずっと多く、四季を通じて見られるのが特徴です。
とにかく花粉光環が見える=スギ花粉がばんばん飛んでる ということなので、花粉症の方は十分注意してお出かけ下さい。
花粉症対策といえば、鼻の穴にワセリン塗りたくると良いって言いますね。どうぞお大事に。(´Д`;)
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