ふらりと出かけた科学館で、ポケモンのプラネタリウム番組をやってました。
最初は通常の大人向け星空解説を見るつもりだったんですが、告知ポスター眺めてたら一気にポケモン観る気が湧いてきた。舞台が最新シリーズのアローラ地方で、テーマが日食なのです。
サン&ムーンで日食テーマとは超絶ベタだけど、裏を返せば良作の予感。これは見るしかないッ。( ・`д・´)
ポケモン サン&ムーン プラネタリウム
滞在中のアローラ地方で皆既日食が見られると聞いたサトシ達。この機を逃すと次にアローラ地方で皆既日食が観測できるのは300年以上先だという。しかも日食のときだけ現れる特別なポケモンもいるらしい。
そこでアローラ地方の中で最も観測条件の良いエクリプス島まで足をのばしたところ、天文学者で日食ハンターのフレッドと出会って意気投合。よっしゃぁぁ!これで日食ゲットだぜ!
そんなサトシ達をロケット団が遠巻きに眺めてウシシシシ…というお馴染みの展開です。
ちゃんと天文&ちゃんとポケモン
プラネタリウム番組だから当然なんですが、日食のしくみや観測で気を付けたいポイントが随所にちりばめられてます。
それと同時にポケモンアニメとしても正しく成立してて良い感じ。
冒頭でサトシに日食の話題を切り出すのは理系少年のマーマネですし、エクリプス島への移動手段もラプラスですし。
ラプラスにのって |
日食の詳しい説明はゲストキャラである天文学者のフレッドがやるんですけど、ポケモンワールドでの出来事なので明示的に「地球」という言葉が出てきません。言い換え表現が若干しつこい気もしますが、まぁ演出の範囲内でしょう。
初代ポケモンの人気曲『ラプラスに乗って』の中では「地球もうたう」という歌詞が出て来ますし、ウルトラサンムーンでも格闘わざの「ちきゅうなげ」が健在ですが、まぁそれはそれとして。
日食からアローラ諸島を再考する
ポケモン サン&ムーンの舞台であるアローラ地方がハワイをモデルにしてるのは、ファンに公知の事実です。任天堂はハワイが大好き。
1991年7月11日の日食との比較
そして天文ファンがハワイで皆既日食と言ったら、引き合いに出すのはやっぱアレしかありません。1991年7月11日の日食です。
このときの日食は皆既継続時間が6分を超える大イベントで、ここ2000年の地球史でも指折りの日食として知られています。
…って言うか、この日食のWikipediaにリンク張ろうと思ったら日本語ページが存在しなくてびっくりしました。独立した項目どころか、ドメイン内全検索したのにそれらしい言及が見つかりません。えっ、マジかよ。他の主要言語版は普通に見つかったので、英語版を載せときましょう。
Solar eclipse of July 11, 1991 – Wikipedia
とにかく皆既日食の際に太陽が完全に隠れて見える地域と部分日食にしかならない地域がありまして、太陽が完全に隠れて見えるゾーンを皆既帯と呼んでいます。その皆既帯を1991年7月の日食とアローラ地方の日食で比べるとこんな感じ。
エクリプス島はこのプラネタリウム映画にしか登場しない土地なので地形がちょっと怪しいんですが、皆既帯より島の方が大きかったと記憶してます。
作中での説明によると、ポケモン世界における太陽や月の天文学的性質は地球とほぼ相似でした。更に舞台となるアローラ地方はハワイ同様に温暖な南の島とされてます。
アローラ地方の規模
また、エクリプス島には大きな山が描かれてます。
登山口付近にも関わらず植生が乏しいことなどから、エクリプス島は割と頻繁に溶岩が噴出する火山島だと考えられる。それでいて食が始まりかけてから慌てて登頂を急ぐ描写があり、眼下の景色を逆算すると最低でも1500mくらいの高度までは登ったように見えました。だとすれば山の傾斜はかなり緩やかです。つまり、この地域の溶岩は粘性の低いマグマ組成なのでしょう。実際、裾野のシルエットもだいぶ緩やかに描かれていました。
皆既帯の太さは日食ごとに異なる一方、緯度によっておおまかな傾向が決まっています。一般に赤道付近の皆既帯はあまり太くならないことが知られてますが、それでも皆既帯からはみ出るような土地は火山島としてかなり大きな部類と言えるでしょう。
以上より、ポケモンワールドにおいてエクリプス島が占める面積は、地球におけるハワイ島の面積比よりもおそらく上です。ハワイ島と岐阜県の面積が同程度らしいので、もしかするとエクリプス島の面積は四国や台湾くらいのインパクトがあるかも知れません。
…にもかかわらず、そのエクリプス島の扱いは「アローラ地方の中心部から見ると辺境の離島」くらいの感じでした。アローラ諸島の全体像は、ゲーム本編で描かれている主要5島よりもずっと広範囲に及ぶのでしょう。
まとめ
そんなこんなでアローラ地方のブラタモリでした。
本作のエピソードとして個人的にポイント高いのは「なぜ日食や月食は毎月発生しないのか」に言及してたところでしょうか。一般向けの説明でよく見られる「太陽・月・地球が一直線に並んだとき日食が起きる」だけで終わってしまうと、多くの人が抱く素朴な疑問に応えられない。
天文学者フレッドによる解説も簡素なもので、会場の小さい人たちがバッチリ理解出来るかというと疑問があります。でもあんまり掘り下げるとお勉強っぽさが鼻についてしまうので、あっさり済ませたのはむしろ英断だったのでは。心のどこかに「日食が毎月発生しないことには何らかの理由がある」ことが引っかかっていれば、どこかでまた出会いがあるかもですし。
【Lunar eclipse diagram-en (PD)改】
天体ショーの仕組みは、簡単なようでいて複雑です。人によっては納得するまでに長い時間がかかるでしょう。どこかのタイミングで腑に落ちるまでは、色々な説明を聞くしかありません。その意味で、アニメーションによる解説はやっぱ情報量が濃密だなぁ…みたいなことを考えながら見てました。
いずれにせよ、わたくしのイチオシはニャースでございます。毎度のことながらムサシやコジロウに対する過保護でありながらパシリのような関係が泣ける。ニャース尊い。
上映スケジュール
ポケモン サン&ムーン プラネタリウムは当然子供向け番組ってことになってますけど、多少のツッコミどころを容認すれば大人目線で見た方が多くの発見があるように思います。
赤緑世代のポケモンマスターにもオススメしちゃう☆
2018年の春まで上映って館が多いようなので、興味ある方はお早めに。( ・ㅂ・)و
上映館リストはおそらく漏れがあると思います。お近くの館を探すときは、コニカミノルタ系の投影機があるプラネタリウムを当たってみて下さい。
アローラ! |
ポケットモンスター サン&ムーン プラネタリウム – キャラクター番組 – コンテンツ情報 – プラネタリウム製品 | コニカミノルタ
表題変えました。旧題:ポケモン サン&ムーン プラネタリウムが大絶賛おっさんホイホイ
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