地震雲って本当にあるの?雲の種類と名前の覚えかた

雲の名前は形と高さに分けて考えると理解しやすいです。見分けられるようになると変わった虹に出会う確率も増えるでしょう。地震雲と言われがちな現象についても書きました。

地震雲って本当にあるの?雲の種類と名前の覚えかた

見上げればいつも空にある雲。

典型的には10種類に分類できると言われてます。各名称は学校の理科で習ってるはずなんですけど、どれも同じような名称で判りにくいですね。

少し変わった形の雲が出ると「地震雲」などと呼ばれることもありますが、分類上そのような名前の雲はありません。つーか、それぞれ関係ないし。

自分が覚えた方法や見分け方を備忘録として置いておきます。

雲の種類は高さと形で決まる

雲形の判別チャート
雲の分類と名称

雲の名前は大きく2軸で名付けられます。一つは発生する高度、もう一つは全体の形です。

  • 発生する高度
  • 全体の形

ここ結構大事なので、ざっくり覚えといて下さい。

雲ができる高さ

まずは高さです。雲が発生する高度によって、雲粒のサイズが変わります。

  • 基本名 … 低いところの雲(ハイキング級の山)
  • 高○雲 … 中間くらいの雲(日本の高い山レベル)
  • 巻○雲 … 高いところの雲(世界の高い山レベル)

雲全体の形

次に全体の形です。暖かい空気と冷たい空気の接し方でムクムク感が変わります。

  • ○層雲 … うっすら広がる感じの雲
  • ○積雲 … テクスチャ感のあるモコモコした雲

それぞれの組み合わせによって名前にバリエーションが出てくる感じです。

上層雲(エベレスト級の山かそれ以上の高さ)

発生場所が高い雲は「巻なんとか雲」と呼ばれます。

いずれも微小の氷晶からなり、透明感があって雲自体の影は比較的目立ちません。ハロと呼ばれる特殊な虹が出ることもあります。

巻雲 けんうん (ci) Cirrus

巻雲・すじ雲
別名「すじ雲」。比較的晴れてる時に見えます。すーっと引いたような形で、片方がフック状になってたりします。

この雲の時にハロの一種「環天頂アーク」や「環水平アーク」が出ることがあります。非常にクリアで美しい虹色が見られますが、「変な形で気持ち悪い、地震虹だ!」とか言われる可哀想な子です。

ちなみに地震は海溝沿いにいつでも起こりえますけど、巻雲やアークは季節や場所によって出現確率が大幅に変わります。つまり観測的事実により相関関係は極めて低いと言えます。(控えめな表現)

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ハロの見分けかたいろいろです。

巻積雲 けんせきうん (cc) Cirrocumulus

巻積雲・うろこ雲
別名「うろこ雲」。晴れから薄曇りくらいのときに細かい砂利をばらまいたような形状をしています。

雲が虹色に染まる「彩雲現象」も巻積雲のときが多いでしょうか。「地震虹だ!」とか言われますけど、原理的にはシャボン玉が虹色に見えるのと同じ現象だと思って下さい。

この雲を飛行機が横切ると「海原を渡る一筋の航跡」みたいになって素敵なんですけど、「空が割れた!地震雲だ!」とか言われる可哀想な子です。

でも最近は飛行機の航路をすぐさま確認出来るアプリもありますからね。気になったら今すぐチェックチェックですよ。謎の棒状の雲とかも飛行機雲だったりしますから。

いやもう本当に便利な世の中になりましたね。

巻層雲 けんそううん (cs) Cirrostratus

巻層雲・うす雲
別名「うす雲」。晴れてはいるけど空いちめんに雲が広がって白っぽく見えるようなときは巻層雲です。この雲が太陽にかかると、ハロの一種である「日暈(ひがさ・にちうん)」が観測出来ることがあります。

写真で言うと真ん中左寄りの虹っぽい縦棒が日暈ですね。実際は太陽の周りをぐるっと丸く取り囲んでいます。

これ見て「まん丸の虹なんて気持ち悪い!不吉だ!」とか言う人がいますけど、雨上がりの虹も飛行機から見ると丸いから大丈夫です。ブロッケン現象とも別物です。魂抜かれたりしないし妖怪とかも出ないんで安心しましょう。

不吉かどうかで言えば、日暈が出た翌日はお天気が崩れることが多いです。『雨が嫌いな人にとっては凶兆』ってことでよろしくお願いします。

中層雲(国内の割と高い山かそれ以上の高さ)

「巻なんとか雲」より下にできる雲が「高なんとか雲」です。中層なのに「高い雲」とはコレ如何に。すごく紛らわしいんですけど名付け親は一体どなたなんでしょう?

高積雲 こうせきうん (Ac) Altocumulus

高積雲・ひつじ雲
別名「ひつじ雲」。形はバラエティに富んでます。

晴れから薄曇りにかけてのモコモコした雲が高積雲という感じでしょうか。巻積雲(うろこ雲)と比べると厚みがあるせいか、光が遮られて下の方がやや灰色に見えます。

しばしば規則的なシマシマを作ることがあって面白いんですけど、「この縞の先で地震が起こる!地震雲だ!」とか言われる可哀想な子ですね。(´・ω・`)

なぜ縞状構造を作るかについては『性質の違う気団が上下に接したとき発生する渦構造によって断熱膨張と圧縮が繰り返されるから』ってことでよろしいでしょうか。

畝雲が出来る仕組み

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シマシマ雲も重力波の一種です。

高層雲 こうそううん (As) Altostratus

高層雲・おぼろ雲
別名「おぼろ雲」。太陽や月が透けて見える明るめの曇り空が高層雲です。

巻層雲が発達して高層雲になることもあり、両者の境界は曖昧です。目で見ただけじゃ判りにくいんですが、氷晶からなるのが巻層雲で、水滴からなるのが高層雲という違いがあります。

氷と水では屈折率が異なるため、高層雲の場合はハロが出ません。

あと「朝焼け夕焼けが変な色で気持ち悪い!地震の前触れだ!」とかいわれる可哀想な子ですが、別のいい方をすると「レイリー散乱によって赤くなった夕日が局所的なミー散乱によって白っぽく見える」という表現になるかと思います。

乱層雲 らんそううん (Ns) Nimbostratus

乱層雲・雨雲
別名「雨雲」。雨や雪を降らせることの多いどんより雲です。

高層雲などから連続的に乱層雲へと発達するため、こちらも明確な線引きは難しいようです。

低層雲(ハイキング級の山くらいの高さ)

層積雲 そうせきうん (sc) Stratocumulus

層積雲・くもり雲
別名「くもり雲」。「馬から落馬」系ネーミングと言えるでしょう。

高積雲に似てるけど、層積雲の方が全体的にぽってりしてます。…とは言うものの、典型的でないときの「高積雲と層積雲と乱層雲」は素人じゃ違いが判りません。専門家も見分けるの難しいって言ってるんで区別つかなくても大丈夫です。

で、たまにどす黒い層積雲が出ると「不吉だ!」っていう人達がいます。実際、分厚い雲の内部は乱気流で渦巻いてることが多いですから、飛行機なんかは避けた方が良いでしょう。

層雲 そううん (st) Stratus

層雲・霧雲
別名「霧雲」。高原に行って谷全体がもやに覆われてる時の雲です。いわゆる「ガスってる」状態。

高層ビルの上層階が雲の中に入っちゃった、なんて時も層雲ですね。雲は高いところにあると思いがちですが、思いのほか低いところまで降りてきます。

積雲 せきうん (cu) Cumulus

積雲・わた雲
別名「わた雲」。晴天にぽこっと浮かぶ、漫画に出てくるような判りやすい雲です。

雲の底部が割とぺたんこになるので、綿菓子と言うよりシュークリームに近いかも知れません。

積乱雲 せきらんうん (cb) Cumulonimbus

積乱雲・入道雲
別名「入道雲」。これが出ると夏だな!って感じがしますよね。雷を伴う激しい雨を降らせたりします。

かなりの上空まで発達しますが、雲の底は低いところにあるので分類上は低層雲として扱うようです。

こちらも極度にどす黒い雲が出た場合は不吉呼ばわりされます。まぁ、ゲリラ豪雨などには気をつけましょう、まる。

まとめ

以上が国際気象機関の定めた「十種雲形」と呼ばれるものでした。

局所的には条件によりもっと細分化されるようですが、まずは基本が大事だと思いますし、これらの雲形がぱっと見分けられるようになったら地震と関係ないこともうっすらわかってくるんじゃないかなーと思います…(白目)。

毎度しつこく地震雲だの地震虹だの言ってますけど、地学系デマって医療デマと比べて解説する人の数が圧倒的に少ないので今後とも騒いでいく所存です!

…ということで、最後におさらい。

  • 巻雲 … 上空にできる氷の雲
  • 層雲 … 広がる感じの雲
  • 積雲 … 積み上がる感じの雲

雲形の判別チャート
雲の発生場所と形

正直なところ、天気予報が発達した現在では雲の形を知ってて具体的に得することってほとんど無いです。

ただ、大まかに見分けられると美しい夕焼けや虹に出会える確率が飛躍的に増えるんです。毎日の空を楽しむナビゲータとしてお役立て下さい。

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【 更新履歴等 】

2015/06/02 初稿発表
2016/04/16 関連記事と畝雲の図を追加しました。