貧乏削り? 泥棒削り? 鉛筆の両端削ることを何て呼んでた?

鉛筆の両端を削る名称には地域性があるようです。

貧乏削り? 泥棒削り? 鉛筆の両端削ることを何て呼んでた?

鉛筆の両端を削って使うことを、地域によっては「貧乏削り」とか「泥棒削り」と言うそうですね。

あの削り方に名前があったなんて知りませんでした。

貧乏削りとは

両端の尖った鉛筆を貧乏削りと呼ぶ理由、言わんとするところは分かります。一本の鉛筆を二本分として使うってことですね。

軽く検索したら結構やってた人がいて、でも自分の周りではそれほど見かけなかったように思います。通ってた小学校では各教室に鉛筆削りが置いてあったからでしょうか。折れたらその都度削れば済むから、あらかじめ削っておく必要がなかったのでしょう。

でも昔は鉛筆ってそれなりに高価だったし、何本も用意できない家庭にとっては苦肉の策だったのかも知れません。

三菱鉛筆 ハイユニ Hi-uni 2B ダース(12本入)

昨今1ダース100円くらいで買えちゃうからあまり意識しないけど、鉛筆ってそもそも高価な物ですよね。今もハイユニとか1500円以上しますし。

使える総量としてはむしろ不経済な貧乏削り

ただ、両端から削ったら「持ち手を確保しなきゃいけないぶん使える芯の量は目減りしちゃうんじゃないの?」…と言う気もします。

探してみたら、実際そういう意見もあるようです。

「両端を削るのは結果的に使用出来る部分を減らすのだから、この不経済さは『金持ち削り』と呼んでも良さそうなのに、何故『貧乏削り』と呼ぶのだろうか?」という疑問を持っていた。

泥棒削り?それとも貧乏削り? – ば○こう○ちの納得いかないコーナー

金持ち削り!? ( ;゚Д゚)

なるほどだけど、その発想はなかった…。

泥棒削りとは

泥棒削り

一方、泥棒削りという名称はどうでしょう。

これは鉛筆のおしりを削って名前を書いたことに由来するようです。持ち主の名前を書くとき、おしりの塗装をそいで木部に直接ペンで記名することがありますね。

他人の鉛筆を盗んだ場合はそのままだと元の持ち主がばれてしまうので、証拠隠滅のためにざっくり削ることがあったとか。そのことから「両方削ってる=誰かの鉛筆を盗んだ」という発想のネーミングだそうです。

ほー。

昔は子供もナイフを持ち歩いてた

ただし、どうにも違和感が残ります。

鉛筆が高価だった時代こそ、子供がナイフ持ち歩くのは普通のことだったのでは。小刀の代名詞でもある肥後の守って、団塊ジュニアのちょっと上くらいなら誰でも使ってたって認識で合ってますか?

永尾駒製作所:昔なつかしいナイフ 肥後の守 青紙割り込み 大

鉛筆も買えないような貧しい家庭の人こそ ナイフで小物を作ったりして遊んでたはずです。だとしたら、ビンボな子は少しでも長く使えるように片側だけ削るほうが合理的だと思うのですが。

それに誰かの鉛筆をパクったら、名前の所を一回り大きく削り直して新しい木肌に名前書き直せば済むんじゃないかな。両端削ったら泥棒呼ばわりされることが予期されるんでしょう?

鉛筆削りが普及したのは大人の過干渉

上の世代の話によると、鉛筆削りの普及は高度成長期に台頭したPTAが深く関与すると言われてます。子供から危ないものをどんどん遠ざけるようになり、その一環で子供も刃物を持てなくなった。

景気が良くなるにつれ何だかんだで鉛筆足りてたと思うし、ビンボや泥棒って言葉は次第に原義を失っていた気がします。

両端削りは「みっともない」

前述の通り自分の周囲で両端削ってる人はほとんどいなかったのですが、たまにやってる人がいると「みっともない」という評価だったように思います。

ついでに言うと、両端削ってる人の大半はお調子者だったような気もします。

お調子者って家の経済状況に関係なく無駄なことするし、あまつさえその尖った鉛筆で謎の武器を工作し始めたりしますし。

でも「危ないからやめて」が聞くような相手じゃないから、よりよく「効く」表現で対抗する必要がある。それが「貧乏」や「泥棒」という表現に繋がったと推察するのですが如何でしょう。

「貧乏」は西日本で「泥棒」は東日本

ネットで実例拾ってたら「貧乏削り」と呼ばれてた地域は中部以西が多く、「泥棒削り」は関東が多い印象でした。

商人文化が強い地域で貧乏呼ばわりされたり、武家文化が強い地域で泥棒扱いされることは一定の抑止効果を持つのではないかと思います。

鉛筆の両端削りアンケート報告

【追記:2015-08-15】気付けば150件近くアンケートが溜まっていたので中間報告やります。

貧乏削り/泥棒削りアンケート結果

まずは回答者の分布チェックから。

アンケート母集団
主要回答層は予想通り40代の皆さんでした。ただし、それ以上の層で使われない表現なのかネットやってないだけなのかは不明です。反応が多かったのは愛知と東京で、あとチョビチョビという感じですね。

鉛筆削り/泥棒削り出身地別回答

以上の点を踏まえて、貧乏削り派が 神奈川泥棒削り派は圧倒的に愛知、呼び名がないのは東京の皆さんでした。ただ、東京は上京組も多いのでちょっと判断に迷うところです。

しかし、これだけ見ると商人文化と武家文化では語れない感じ。もう少しデータを集めてから考察してみたいと思います。ただ、個人的にツボだったのが以下のコメントですね。

バカ削りでした            10歳代/女性/新潟

ほんとこれ。
表現方法が何にせよ、本質的にはお騒がせ野郎へのカウンター攻撃だと思ってるので。

「貧乏」「泥棒」両端削りアンケート

【追記:2018-11-06】アンケート結果報告です。

有効票が721票、全体の得票で一番多かったのが圧倒的に愛知の人でした。

「貧乏削り」派は上から順に大阪→兵庫→神奈川
「泥棒削り」派は圧倒的多数が愛知で、次点が岐阜、僅差で新潟。
「名称なし」は上から東京→福岡→神奈川…という感じでした。

泥棒削り・貧乏削りアンケート結果

貧乏削りは中部に固まってて、あとは微妙にばらけますね。名誉毀損の地域性で説明つく気もしますが、断定するにはまだ弱い感じ。何にせよ興味深いです。

【 更新履歴 】

2015-08-15 『アンケート中間報告』の章を追記しました。
2018-11-05 利用してたアンケートシステムを閉じたので結果報告を追記しました。