先日Google先生に「ブルームーンとは何か?」と問うてみたところ 1.16699016 × 10-8 ヘルツ…なる値が返ってくる話をしました。
「Once in a blue moon」は「極めて稀なこと」を示す慣用句です。これは天文学的に見たblue moonの頻度、つまり「1年のうち13回の満月が巡ってくることの周期」を意味してます。
…っていうか、Googleが考える1年ってそもそもどれくらいの長さなの?
Googleの内部時間が1年で何日かを検証する
天体の計算をする上で、1年の長さが何日に定義されてるかを知ることは重要です。歴史的経緯・または精度によって一年の長さにはいくつかの考え方があるでしょう。
ユリウス暦
ユリウス暦とは年平均365.25日とする暦法です。
一年の長さを考える上で一番単純な考え方は「1年=365日」ですが、これだと閏日が完全に無視されてしまいます。それを吸収するのが「4年に1日閏日が入る」ユリウス暦です。
1年をユリウス暦(年平均365.25日)として試算
この仮説が正しければ、次式の答えは1になる予定ですが…。
…む、誤差がありますね。Googleの内部時間はユリウス暦ではないようです。
グレゴリオ暦
グレゴリオ暦とは年平均365.2425日とする暦法です。
先ほどのユリウス暦との比較では ユリウス暦 > Google暦 だと判ったので、今度はユリウス暦より少し小さい値を持って来ました。グレゴリオ暦は、旧来のユリウス暦が対応出来なかった「400年につき3日分の閏日誤差」を吸収できる精度を持ちます。
一年をグレゴリオ暦(年平均365.2425日)として試算
グレゴリオ暦は現在 多くの国で暦法の基礎に使われています。これは期待が持てそうですね。
あれ…まだ大きい??
太陽年
うーん、グレゴリオ暦より小さい値と言えば太陽年でしょうか。
太陽年とは観測事実に基づく一年の基準値で、グレゴリオ暦の運用で発生する3000年に1日分の誤差をも吸収します。少々定義が厳密すぎる&数字的に中途半端なこともあって、一般的には余り使われない子です。
一年を太陽年(年平均365.2422日)として試算
ビンゴ。(^^;
Google計算機の内部処理年は太陽暦の 365.2422日 で処理されてることがわかりました。さすがGoogle先生。世間の常識などものともせず、自然の摂理に忠実でしたね。
…だがしかし、だ!
丸め誤差を抜いたらまだずれてた
ここまで割算で検証してましたが、有効桁の都合で丸め誤差があるかもしれないことに気づいて引き算してみたところ
まだズレてるしwwwww
太陽年は毎年変動する
さきほど太陽年は「観測事実に基づく」と書きました。
改めて太陽年の定義を示すと「太陽が黄道上のある点から再び同じ点に戻ってくるまでの周期」と書けます。つまり地球の自転に伴う歳差運動により毎年長さが変わります。
2013年の太陽年と比べてみた
そこで、ひとまず2013年の中央値 365.24218957日 を突っ込んでみたところ
…違った。2013年基準じゃないようです。
Google年は 365.24219878125日らしい
そんで色々やった結果、Googleにおける一年は正確に 365.24219878125日であることがわかりました。
Google年と2013年の太陽年を比べると、0.00001日(約0.8秒)くらい違う事になりますね…。
Google年の基準年はいつの太陽年?
…となると、この365.24219878125日という値が いつのデータか気になります。調べてみたら、どうやら1900年の中央値だそうです。
( ;゚Д゚){ …え?
_人人人人人人人人_
> 1900年!? <
 ̄YYYYYYYY ̄
世界の最先端を突っ走ってるGoogle先生は、なんと1900年の時計を基準に世界を動かしていることが判りました。
【2016/03/01:追記】ちなみに、上司に何となくこの話をしたら「NTP(Network Time Protocol)も1900年1月1日起算だよ」と言われたのでメモしておきます。
UNIX時間は1970年1月1日起算なので、その辺の内部時間は全部一緒だと思ってました。だとするとGoogleの選択も妥当性があるかもですね。
Google計算機の基準年を調べてみた感想
Google検索窓、ちょっと計算したいときほんと便利ですよね。検索クエリ突っ込むと何でも出てくるもん。
Once in a blue moonの頻度
冒頭でも書きましたけど、もともとOnce in a blue moonの頻度を調べようと思ったのが発端でした。
句が丸ごと定数になってるってのが面白いなぁ…と思ったんですけど、Once in a blue moon の Google検索結果は単位が「1秒あたり」なので少し分かりにくいんですよね。
これを年ベースに直すと2.7年に1回。
ただ、このときの1年ってどういうことなの?…と思ったわけです。
つまり「年に13回満月が訪れる現象」は2.7年に1回のペースで発生して、このときの「1年」が365.24219878125日というわけでした。
Googleの「1日」はどうだろう?
ちなみに「1日」の場合は太陽日とか関係なく普通に60分x24時間みたいです。
【 関連記事 】
2014/02/06 初稿発表
2015/11/20 章の前後を入れ替えました
2016/03/01 NTPのエピソード追記と誤字修正しました
旧題:Google先生に一年の長さを聞いてみたらさすが男前だった
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