ブラックムーンとブルームーン 極めて珍しい?新月と満月の話

月の状態を示すブラックムーンって言葉をご存じですか。

月を色で表したものと言えばブルームーンって表現がありますね。「ブルームーン」が示す状態にはいくつか定義がありますが、良く見聞きするのは

  1. 「青く見える月」
  2. 「一ヶ月に満月が2回あること」
  3. 「春分/夏至/秋分/冬至で区切った3ヶ月に満月が4回あるときの3回目」

など。

いずれも珍しい現象であることから“once in the blue moon”は「極めて稀なこと」を意味する成句です。

ところで今日2014年1月31日は『一ヶ月の間に2度目の新月がある2回目の日』でした。新月と満月、形は違いますが確率論的には「一ヶ月に2回満月が観測出来る2のブルームーン」と同じ頻度条件と言えます。

そして2や3と同じような条件であるときの新月をブラックムーンと呼ぶのだそうです。

ブラックムーンとは

英語版Wikipediaでブラックムーンの項を引くと

1:一ヶ月に新月が2回あること
2:春分/夏至/秋分/冬至で区切った3ヶ月に新月が4回あるときの3回目
3:一ヶ月のうち満月の日がないこと
4:一ヶ月のうち新月の日がないこと

…と書かれています。3番と4番、気持ちは判るけど「満月」だったり「新月」だったり混乱を招く定義ですね。(^^;

ブルームーンと比べると、やや表現に幅があるのは興味深いです。天体観測する上で新月は日食か暦の基準以外にあまり注目されないものですが、占星術や文学では割と重視されるのでその影響かも知れません。

太陽との位置関係から新月そのものを観測することは困難ですけど、晴天に浮かぶ細い月の青さに覚えがあれば新月こそブルームーンと呼ぶにふさわしいような気がします。

ここ10年に起こる『ブラックムーン』のリスト

ざっと検索した限りでブラックムーンのリストが見当たらなかったので一ヶ月に新月が2回起こるタイプのブラックムーンをまとめてみました。

月齢計算のざっくり結果からアタリをつけて検算しなおす、という非常に原始的な方法でリストアップしましたので!見落とし・計算違いがあったら修正するのでお知らせ下さい。

一ヶ月のうちに新月が二回起こるブラックムーン・カレンダー

  • 2011年 7月1日・30日
  • 2014年 1月1日・31日
  • 2014年 3月1日・31日
  • 2016年 10月1日・31日
  • 2019年 8月1日・30日
  • 2022年 5月1日・30日(GMTの場合は4月)

なお2014年は1月だけでなく3月も「新月2回タイプのブラックムーン」が起こります。その影響で 間に挟まれた2月から新月が追い出され、これまた「新月がないパターンのブラックムーン」になりますね。(つまりセット)

一ヶ月に2回タイプのブラックムーンは2~3年に一度は起こる計算ですけど3ヶ月連続はかなり珍しい現象と言えるでしょうね。

二分二至に新月4回のブラックムーン

【2015.02.20 本章追記】
ちょっと判りにくいんですけど、冬至~春分~夏至~秋分で区切った3ヶ月の間に新月が4回来るタイプのブラックムーンです。

  • 2015年 2014.12.22 / 2015.01.20 / 2015.02.19 / 2015.03.20

見極めるタイミングとしては、冬至・春分・夏至・秋分の二日後くらいまでに新月が来てたら可能性が高いのでチェックしてみて下さい。

※2015.02.19は「旧正月だから新月だな-」とのんびり構えていたら、ひょんなことからTwitterでブラックムーンである事を知ったので本章追記しました。(^^;

ブラックムーンが起きる最低条件について

ここで改めてブラックムーンが起きる条件を整理してみます。

色々と条件が違うように見えますが、太陰暦と太陽暦のずれをどこで切り出すか?…という話なので、いずれも月と地球の公転周期から計算で求まります。

【ブラックムーンが起きる条件】
 
1:一ヶ月のうちに新月2回      → 二月以外
2:二分二至の三ヶ月に新月4回    → 2・5・8・11月の20日前後
3:満月のない月           → 閏年じゃない二月
4:新月のない月           → 閏年じゃない二月

つまり1月(と、その年の3月)が1番タイプのブラックムーンだと翌2月が3番タイプのブラックムーンになり(例えば2014年)、

ある2月が3番タイプのブラックムーンだとすれば前後の1月3月が「一ヶ月に2回」タイプのブルームーンということに。(例えば2010年。なお、2010年11月には2番タイプのブルームーンも起きてます。)

実は今月の新月は一年で一番大きくもあった

さて。

この話とは別に、月の軌道が楕円であることから月の見かけの大きさは毎日微妙に違いますね。その流れで、毎月同じように見える満月や新月も地球に近ければ大きく見えるし遠ければ小さく見えます。近年人気の「スーパームーン」に関係する現象です。

で、2014年1月の新月は今年の新月の中でも1・2の大きな新月でした。

ここで思い出すのは、さる1月16日の満月。1月16日の満月は2014年で最も地球から遠ざかった日に起きた小さな満月だったのでした。

楕円軌道を描く月が最遠であるとき満月となったならば、そこから前後半月をずれた新月は必然的に地球の近くに来ますから最小満月(ミニマムーン)の前後半月の新月は必ず大きいし、最大満月(スーパームーン)の前後半月の新月はすごく小さいです。

肉眼で見えない物の大小を論じても仕方が無いんですけど新月のサイズは日食の皆既・金環に影響するので結構重要。日食の日は必ず新月だし、その直近満月のどちらかは必ず月食だし満月と新月は色々対になってて面白いですよね。

一ヶ月でどれくらい月の大きさが変化しているかというと…

ミニマムーンと最大眉月

写真は最大新月と比べて、やや小さい程度の2014年1月29日の月と1月16日の最小満月(ミニマムーン)を同倍率で重ねたものです。

毎日見てる月でも結構違うものですよね。

once in a blue moon は 19年に7回

ブルームーンの周期は「29.530585日である平均朔望月(月の満ち欠けに要する日数)」と「30.436875日である一ヶ月平均(地球の公転周期の1/12)」の微妙な差分によって生まれています。そんなわけでブルームーンとブラックムーンは互いに(ほぼ)対の概念でした。

ちなみにGoogleで「once in a blue moon」を検索すると親切にも
1.16699016 × 10-8 ヘルツなる値が返ってきます。

once in a blue moon

ただこの1秒に0.0000000116699016回という頻度が小さすぎて謎なので ごにょごにょっと変換すると、ご覧の通り

ブルームーンを変換

「2.7年に1度起きる現象」だと判ります。19年に7回とか言われたりもしますね。

2.7年にたった一晩、が「極めて稀」かどうかは気分の問題ですけど、太陰暦だと閏月の挿入周期に相当します。

3年にいっぺん一ヶ月丸ごと増えるとか、冷静に考えてかなりきつい。「去年の今頃は」で行動したら確実に農業とか失敗しそうですもんね。その意味で太陽の動きをベースにした節気を基準とするのは合理的だったと言えそうです。

ブルームーンカレンダー

向こう何年かのブルームーン暦をおいておきます。日付変更線の都合で多少前後することがあるのでご注意下さい。

2010年のブルームーン
2010-11-21 二分二至タイプ
2012年のブルームーン
2012-08   ひと月に2回タイプ
2013年のブルームーン
2013-08-21 二分二至タイプ
2015年のブルームーン
2015-07   ひと月に2回タイプ
2016年のブルームーン
2016-05-21 二分二至タイプ
2018年のブルームーン
2018-01   ひと月に2回タイプ
2018-03   ひと月に2回タイプ
2019年のブルームーン
2019-02-19 二分二至タイプ(アメリカ農業暦)
2019-05-18 二分二至タイプ(天文歴)
2020年のブルームーン
2020-10   ひと月に2回タイプ

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