図書館で調べ物してたら大きな文字で書かれた児童書を見つけました。たぶん絶対欲しい人いると思うし素敵な活動なのでシェア。
大活字本と対象読者
近年、目が悪い人向けに大きな文字で刷られた「大活字本」というジャンルがあるのは知っていました。実際たまに見かけますし、小さい文字が読みにくい人に大変好評だとか。
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でもよくよく本のタイトルを眺めてると、ほぼ高齢者向けのラインナップなんですよね。これはこれで便利なので、老親にタブレット買うときとか大活字版のスマホ活用書を一緒にプレゼントすると喜ばれるそうですよ。
講談社 青い鳥文庫 スペック比較
そんなときにたまたま見つけたのが、「講談社・青い鳥文庫」の大活字本です。青い鳥文庫は小学生に人気のある児童小説レーベルで、少し前に映画化されて話題になった『若おかみは小学生!』シリーズなんかも青い鳥文庫。
劇場版 若おかみは小学生! |
本の大きさ
まずは両者の判型比較から。
普通の青い鳥文庫が小B6判で少年少女向けコミックと同サイズなのに対し、大きな文字の青い鳥文庫はA5判とワイドコミックと同サイズ。A5判は教科書や参考書なんかとも同じですから、小学生の手や本棚に馴染む判型というのも良く考えられてる気がします。
文字サイズ
次は肝心の文字サイズです。
文字のポイント数は、普通の青い鳥文庫が9ポイントくらいです。児童向け図書とは言ってもかなり小さい方ですね。大人向け書籍でも普通に見かける文字サイズです。これを夢中になって読んでる子は、かなりの読書家と言って良いでしょう。1ページ当たりの情報量は14行x40字、見開きの最大文字数は1120字です。
一方、大きな文字の青い鳥文庫は22ポイント。文字サイズだけでなく、極太文字を使ってるのでめっちゃインパクトあります。新聞の中見出しくらいの文字だと思って下さい。1ページ当たり9行x22字で、見開きの最大文字数が396字。400字詰の原稿用紙1枚分くらいですね。
そして特筆すべきはルビもデカい!多分11か12ポイントくらいあります。
もともとルビという表現は極小活字の別名から来てますから「12ポイントのルビ」というのも謎っちゃ謎なんですけど、なんにせよ文字が大きくて読みやすいです。
書体の違い
読みやすさといえば、普及版とは書体が違うことにも言及したい。
ノーマル青い鳥文庫で採用されている書体は明朝系フォントなんですが、大きな文字の青い鳥文庫にはゴシック系フォントが使われています。公式サイトには特に書かれてなかったんですが、おそらくフォントウェイトが重い(=文字が太い)ことと併せて「強度乱視などでも文字の線が消えないようにするための配慮」でしょう。
同じ文章でも表示する書体によって読者の理解度が変わることは経験的に知られています。近ごろでは理解力を高める文字の研究も進んできているようで、ゴシックに代表されるサンセリフ系フォントの方が内容を理解しやすいことが判ってきました。
あくまで個人的な予想ですが、もしかするとこれ極端に読書が苦手な児童への入門書としても有効かも知れません。
どこで買える?
具体的に「大きな文字の青い鳥文庫」が欲しい人向けの情報も載せときます。
巻末の説明によれば、講談社の許可を得た特別な印刷所で作ってるみたいです。一般市場には流通しておらず、お客さんの注文を受けてから一冊ずつ印刷・製本するオンデマンド書籍とのこと。
気になるお値段
価格はタイトルによって微妙に違いますが、ざっくり眺めた感じ一冊1800円前後でした。
普及版に比べるとどうしても高くなっちゃいますが、黎明期のオンデマンド印刷の値段を知ってる身としては「オンデマンド書籍も安くなったなぁ」というのが率直な感想です。
公式サイト一覧
公式情報がこちら。
講談社「大きな文字の青い鳥文庫」
青い鳥文庫の特設サイト内にある「大きな文字の青い鳥文庫」のページ。
有限会社読書工房
「大きな文字の青い鳥文庫」の印刷所。視覚障害者向け書籍を専門に手がけているようです。
メジロー ONLINE 書店
「大きな文字の青い鳥文庫」を専門に扱うオンライン書店。上記の読書工房が運営しているみたいです。
【有限会社 読書工房】
TEL: 03-5988-9160
FAX: 03-5988-9161
E-mail: info@d-kobo.jp
図書館にリクエスト
あと現物へアクセスする方法としては、図書館へのリクエストを利用してみるのもひとつの手ではないでしょうか。公式ページにも、図書館に向けた目録の紹介文が載っていました。
特殊な形態の書籍ですし、最初から図書館で導入されることを想定した販売モデルなのかも知れません。
まとめ
そんなわけで、ロービジョン児童向けの小説レーベル「大きな文字の青い鳥文庫」のご紹介でした。
本稿を書くにあたって大活字本の版元を一通り探して回ったんですが、児童でも楽しめそうなタイトルを扱ってる出版社はやっぱりだいぶ限られますね。特に「現代作家による児童向け娯楽文学」に絞ると、青い鳥文庫の強さが群を抜いてます。
もちろん長く読み継がれてきた名作には安定の良さがあります。でも「いま流行ってる作品を友達と共有する」のも大事なことだと思うんですよね。
「大きな文字の青い鳥文庫」には冒頭に挙げた『若おかみは小学生!』はもちろんのこと、女児に人気の『黒魔女さん』シリーズなんかも対応してました。あさのあつこさんや宮部みゆきさんの著書も。
小説 聲の形 大今 良時 (原作) / 倉橋 燿子 (文) |
あと個人的に目を引いたのが、倉橋燿子さんの著書が対応してたことですね。この方、小説版の『聲の形』を青い鳥文庫で書いてます。この流れで『聲の形』の大活字本が出たらちょっとグッと来ませんか?
視力が原因で読書を諦めてる小さい人達に届きますように。学校の図書室とかにも入ると良いな~。
電書なら紙より安くて好きな文字サイズに出来るという噂もあるのですが、まぁそれはそれとして。
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