天体観測イラスト日誌 2013年04-08月

2013年の天体観測イラストエッセイ春夏編。火星探査機ローバーの記録樹立、いるか座の新星(Nova Del 2013)などがありました。

天体観測イラスト日誌 2013年04-08月

2013年春夏の天体観測日誌です。この頃に星を眺めてて思ったり起きた出来事をまとめました。(´ω`*)

本稿は、2013年4月~8月に投稿した天体観測にまつわるエピソードをまとめたものです。各章はそれぞれ独立した1ページとして存在してたものですが、記事数増加によるデータ圧縮の必要性から1本に集約しました。

ISS=急いでシリウスを探せ

【初稿発表:2013-04-10】

シリウスと重なって見えた地域もあったようです。

ISS=急いでシリウスを探せ

ISS、ほぼ最大輝度でしたね。好条件の人工衛星は大した視力がなくてもばっちり見えるので嬉しいです。

特に今回はシリウスとニアミスするかもという話を聞いてたのでアラームをセットして楽しみにしてました。んが、いよいよ見えそう!…という段になってシリウスが山影に入ってしまい、慌てて移動したんですけど間に合いませんでしたよね。(´・ω・`)

でもまぁ、3日連続でかなりはっきり見えたので満足です。

【 関連記事 】

ISSを見よう人工衛星を探そうHeavens Aboveの使い方

人工衛星ウォッチングに欠かせないHeavens Aboveが日本語対応になったので解説記事書きました。楽しいよ。

935 / 旧URL /2013/04/10/iss-sirius/

オポチュニティ、アポロ17号を抜いたんだってよ

【初稿発表:2013-05-18】

オポチュニティ、アポロ抜いたんだってよ

NASAによる5/16日のアナウンスによると、今年で10年目を迎える無人の火星探査ローバーが累計走行距離 約36Kmとなった模様です。

地球外探査機として40年前に月へ行ったアポロ17号ビークルを抜いて歴代最長の走行距離を達成したことになりますね。

月探査と火星探査の違い

「一年に3Kmしか動いてないのかよ!」とか、
「40年前の記録が未だ有効だったのかよ!」みたいなことをついつい考えてしまいがちですが、

無人機であるオポチュニティに対してアポロの場合は有人だったし、加えて火星は通信タイムラグの問題も非常に大きい。そこは織り込んでおきたいところです。

元ハード屋としては、宇宙という過酷な環境で紆余曲折ありながらも期待耐用期間の10倍もの年月まともに動き続けてることに惜しみない拍手を送りたいですし。

オポチュニティは機体の素材にワールドトレードセンターNYから出てきた金属を利用してるって話も素敵エピソードです。

アポロ17号と言えば…

一方、アポロ計画の中で一番好きなミッションといえば断然17号だったりします。

17号のミッションで有名なのは「史上最も多くの人が見た写真」として知られるこの写真を撮影したこと、

The Blue Marble

あとアポロ計画最後にして最初の夜間飛行がなされたこと。

また何より「初めて宇宙に行った科学者が地質学者」ってあたりも地学科出身としてポイント高いです。生まれたときには完全にアポロ計画が終わってたから11号や13号にはあまり感慨ないですし。

あ。でも今日(5月18日)は44年前にアポロ10号が打ち上げられた日でもあり、しかもこの10号というのは 月に降りた11号の最終調整機だったりするわけで、年表見てるだけで胸が熱くなるくらいには好きです!

10号打ち上げから実際に人類が月に降り立つまでわずか2ヶ月とか、全然意味わかんないし「スゲー」って感じ。(あたま悪い)

1333 / 旧URL /2013/05/18/opportunity-apollo/

金星の日面通過から一年経過…今日も金星は見えてるのにね

【初稿発表:2013-06-06】

去年の今日、8年ぶりに金星による日食がありました。

日面通過から一年経過

いわゆる金星の日面通過ってやつです。243年に4回の頻度でしか発生しないこと、次に観測出来るのは105年後とあって ずいぶん近所も賑わいました。

早いものでそれから一年。

内惑星の軌道周期についてワイドショーで知り得たようなツッコミどころ満載の解説なんてしてくれなくていいから、薄暮の空に浮かぶ金星や水星を見て「綺麗ですね」と笑ってくれる、そんな人が増えたら良いのになって思います。

おまけの水星観望

これからしばらくの間は水星が今年いちばんの好条件でオススメ。日没から1時間以内くらいの西空を探してみて下さい。

低めの位置で明るく光ってるのが金星、その左上でやや控えめに光ってるのが見えたら水星です。(図は明日の予測図)

水星予測図

水星の神様は御利益のデパートなので見ると何か良いことあるかもよ。(・∀・)

901 / 旧URL /2013/06/06/venus-transit/

いるか座の新星(Nova Del 2013)もう見た?

【初稿発表:2013-08-20】

現在、天文ファンの間で話題の いるか座新星(Nova Del 2013)は、山形県のベテラン天文家 板垣公一さんにより、発見されたばかりの天体です。

2013年8月14日に6.8等で見つかってから、日を追うごとに増光し、16日に4等前半まで明るくなったのが確認されてます。その後、明るさのピークを過ぎたと聞いてがっかりしてたんですけど更なる続報でそれほど暗くなってないことが判って俄然やる気が出てきました。

夏に一晩中見える眼視可能な新星としては38年ぶりとのことで、私にとっても初めてとなる夏の新星をベランダでお手軽観測してみた結果報告です。(´ω`*)

意外と簡単に撮れる Nova Del 2013

いるか座新星Nova Del 2013
【いるか座新星 Nova Del 2013】(ISO400 / 30秒露光 3枚合成)

試しにパシャッと写してみました。かなーり薄くて恐縮ですが、切りかき状のガイド交点に新星があります。

肉眼での眼視はちょっと難しいかも

『肉眼で見える』って触れ込みだけど、双眼鏡とか道具は何かしらあった方が良いです。…というか宅地で4等を肉眼って無理だと思う。

湿気の多い夏は星を見るうえで条件が良くないのに、昨夜は月齢13と満月に近い状態でした。新星と月の位置も非常に近かったし。以下はガイドだけ入れた元画像です。月明かりがすごいのおわかり頂けるでしょうか。

いるか座新星 未修正状態 Nova Del 2013
【ガイド線の新星に対して左下がアルタイル、右上がデネブ、右下ベガで夏の大三角】

向こう数日の月は満月を迎えて本当に明るくなるので、うっかり視界に入れないよう建物の陰で観測したり キャップのつばで光を遮ったり対策考えておいたほうが良いかも知れません。

特別な道具は何も持ってないけど是非見てみたい!という方はダメ元で写真撮ってみるのをオススメします。星空撮影モード搭載機種ならコンパクトデジカメでも思いのほか映るので、お手元のマニュアル等で設定を確認してみて下さい。

出現位置は以下の赤丸。

いるか座新星(Nova Del 2013)位置情報
【新星(Nova Del 2013)の出現位置:ガイド星図は4D2U Mitakaにて】

都市部では望遠鏡やらカメラを駆使すれば「何とか見える」という状態ですが、条件が良ければ肉眼観測に成功された方もおられるようです。こんな機会なかなかないのでチャレンジする価値はあると思う。

新星の明るさは今後どうなるか全然判らないだけに要注目ですね!

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意外と使えるペットボトル一脚。

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めっちゃ綺麗に撮れます。

いるか座新星はいるかな? 双眼鏡で見てみよう
1111 / 旧URL /2013/08/20/nova-del-2013/

イプシロン打ち上げ中止が失敗なら一体はやぶさは…(略

【初稿発表:2013-08-27】

今日は天文クラスタ待望のイプシロンロケット打ち上げ日でして、私も昼休みをずらしてJAXAのストリーム放送を視聴しておりました。

打ち上げ直前になっても煙一つ出てこない発射台に「あれ?」って思ってたら あらら残念、打ち上げ中止で仕切り直しになっちゃいました…。

【内之浦の現地にいた大貫氏のコメントが味わい深い】

JAXA記者会見書き起こし

プロジェクトにおける失敗とは

私自身は単なるミーハーで今回全然知識を追っかけてませんが、センシングして自動停止したんだから別に良くない…?

はやぶさの件があって以降、「打ち上がってから壊れたら大変だよね。」って方向で皆の気持ちがひとつになったと思ってましたがなかなか難しいものですね。

ラムダロケットランチャー
ちなみにこれは40年以上前の日本で最初の人工衛星を打ち上げたラムダロケットランチャー。当時の記録を見てるとミラクルな話が満載で胸熱です。

【関連記事】

人工衛星とは地上の星と宇宙の隙間に煌めく一番星なのだ人工衛星とは地上の星と宇宙の隙間に煌めく一番星なのだ

ロケットは地上の星。

ベストを尽くしたって絶対なんて存在しないし、多少のトラブルがあろうと可能性がゼロになるわけでもないのにね。

1242 / 旧URL /2013/08/27/halted-epsilon/

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