夏至は「一年で最も昼が長い日」だけど他にどんな特徴があるの?

夏至は「一年で最も昼が長い日」ですが、それ以外にどんな特徴があるのか思いつくまま書き出してみました。

夏至は「一年で最も昼が長い日」だけど他にどんな特徴があるの?

雨が続きますけど夏至ですね。

一年で最も昼が長くなるこの時期、東京近郊で空が完全に暗くなるのは午後8時近くになります。皆さんの地域は如何でしょうか。

夏至は「一年で最も昼が長い日」と言われますが、意外とそれ以外のことは知られていない気もします。色々と面白い特徴があるので思いつくままにご紹介していきましょう。

夏至は「一年で最も昼が長い日」

夏至は北半球において一年で最も昼が長い日です。

昼の長さとは

ここで言う「昼の長さ」とは、「日の出から日の入りまで」を指します。

  • 日の出 … 太陽の上端が地平線と重なった瞬間(ちょっとでも地平線から出た瞬間)
  • 日入り … 太陽の上端が地平線と重なった瞬間(完全に地平線に隠れた瞬間)

ちなみに、太陽が地平線にかかってから完全に出たり入ったりするまでに2~3分かかります。

日の出にかかる時間

【2016/06/26 追記】最初、日の出日の入りにかかる時間を「4分」って書いてたんですけど、あまりにも表現が雑だったので2~3分に訂正します。

太陽の視直径が0.53度、1日が1440分ですから、1度回転するのに要する時間が4分。つまり太陽が完全に出たり入ったりするには2分ちょっとかかる計算です。

ただし、これは赤道直下など太陽が真っ直ぐ上下に昇降する場合です。観察地点の緯度によって地平線と太陽が昇降するときの角度(≒赤緯線)が異なるため、それぞれ地平線と接している時間は異なります。

日の出日の入りにかかる時間

図は太陽の入射角が45度の場合です。地理的には稚内周辺に相当し、日の出や日没にかかる時間について言えば ほぼ日本での最長ケースと考えて良いでしょう。ちなみに一年を通じてこの角度は変わりませんが、太陽の経路と南中高度が一致するのは春分・秋分の日に限ります。

このときの赤緯線が45度なので、経路が√2倍されて

4 * 0.53 * √2 ≒ 2.998

道北での日の出日の入りには3分弱かかることがわかります。

ただもう一つ気をつけるべきことがあって、実際には光の屈折による回り込みを考える必要があります。目視だと計算よりももう少し長く見えてると思います。屈折率は状況によるので、「最長で4分未満」くらいの気持ちであんまり深いこと考えないで「4分」と書きました。

低緯度地域だと角度がきつくなりますから、そのぶん日の出日の入りにかかる時間は短くなります。

最も夜明けが早い日と最も日の入りが遅い日は別

また、日の出や日の入りの時刻そのものは街によって変わります。

夏至日と「最も夜明けが早い日」や「最も日の入りが遅い日」は一致しません。最も夜明けが早いのは夏至の一週間くらい前、最も日没が遅くなるのは夏至の一週間くらい後です。

夏至の頃の太陽は、午前1時台から昇り始めて夜10時近くにもなるのです

北海道の東部では午前1時台から空が白み始めるんですね。なんと丑三つ時に夜が明けちゃう。おばけの出る幕がなくなっちゃいますね。

北海道なら梅雨もないことですし、じめじめした妖怪の類いが嫌いな人は北海道に行ったら良さそうですよ。

最も日の出が早い時間の例

【2016/06/26 追記】日の出時刻の変化の一例を載せておきます。日の出日の入り時間の試算より、2016年6月11日と12日の日の出時刻を抜粋します。

6月11日と12日の日の出時刻の例
6月11日 6月12日 差分
札幌 3:54:43 3:54:37 ******
仙台 4:12:30 4:12:27 ***
東京 4:24:44 4:24:43 *
大阪 4:44:11 4:44:10 *
広島 4:57:13 4:57:12 *
宮崎 5:07:50 5:07:50
沖縄 5:36:15 5:36:18 ***

日の出日の入り時間

南西に行くにしたがって両日の差が詰まり、沖縄では11日の方が早いのが判るかと思います。こんな感じで日々ちょっとずつ時刻が変わっていきます。(大筋でそれぞれの変異はsinカーブに従います。)

夏至の夜明けと日の入りの様子

夏至の夜明けと日の入りの様子
宇宙から見た夏至の夜明けと日の入りの様子

夜明けと日の入りの様子を宇宙から見たらどうなっているのか、想像してみたことはありますか? 実は夜明けや日の入りの様子って、朝と晩でずいぶん様子が違うんです。

写真は気象衛星「ひまわり8号」から見た2016年6月21日の地球です。このとき、夜明けや日没がどんな風に進むかを示したのが次の図。

夏至の頃の日の出日の入りの様子
夏至日における日出・日没の様子

左側の朝は道東から九州にかけて順に夜が明けるのが判るかと思います。根室の夜明けから沖縄まで、たっぷり2時間近く掛かるようです。

一方、右の夕方は日本列島のアーチと平行に暮れていきます。最も早く日が暮れるのが千葉周辺なのちょっと意外ですよね。

主要都市が闇に飲まれるまで わずか30分ほどです。地軸の傾きが日本列島の配置とほぼ一致することから日暮れの時刻は全国ほぼ同時に訪れることになります。

この時期、天文クラスタのTwitterは全国ほぼ同時に各地の夕焼けが投稿されるので実に見応えがありますよ。いろんな街の空を眺めるのは凄く楽しいので、是非そういうアカウントを探してフォローしてみることをオススメしまっす。(´ω`*)

【関連記事】

空を分かち合うための合い言葉!「冬はつとめて・夏はよる」

他の季節の日の出日の入りの様子はこちらからどうぞ。

【更新履歴等】

2013/06/21 初稿発表
2016/06/22 大幅に書き足したので表題変えました
2016/06/28 ご質問頂いて2016/06/26追記文を補足しました。
旧題:夏至ですね!もしもおばけが嫌いなら夏は北海道で過ごすべき

ひまわり8号リアルタイムWeb – NICT
地球のモデル図は国立天文台 4D2U MITAKAにて作成しました。