2013年09-12月の天体観測イラスト日誌

2013年秋冬の星空観測イラストエッセイです。アイソン彗星(C/2012 S1 ISON)、オリオン座流星群やふたご座流星群、水星食などがありました。

2013年09-12月の天体観測イラスト日誌

2013年秋冬の天体観測日誌です。この頃に星を眺めてて思ったり起きた出来事をまとめました。(´ω`*)

本稿は、2013年9月~12月に投稿した天体観測にまつわるエピソードをまとめたものです。各章はそれぞれ独立した1ページとして存在してたものですが、記事数増加によるデータ圧縮の必要性から1本に集約しました。

栗名月の十三夜!豆名月だし団子は あんこ・きなこ・お豆腐で!

【初稿発表:2013/10/17】

旧暦9月13日は十三夜。十五夜と並ぶ月見の日ですね。旧暦8月15日の中秋の名月に対して「後の月(のちのつき)」と呼ぶことも。

十三夜の悲哀

十三夜は日本独自の風習で文化的な側面が強いせいか、天文イベントの割には天文書における扱いが軽い気がします。秋真っ盛りだし、収穫祭みたいなものなのでしょう。

栗名月に豆名月

この十三夜、栗名月や豆名月とも言いますね。少し欠けている月の形が栗や豆の見立てにもなるでしょうか。

子供の頃、豆はあんこ(=あずき)のことだと思ってましたが長じてダイズのことだと知りました。みたらしにしろ、あんこやきなこにしろ、豆つながりで良さそうです。

ところで白玉粉でお団子作るとき、絹ごし豆腐に少しずつ粉を足して豆腐の水分でお団子作ると冷めても固くなりにくくなるのでオススメ。

十五夜は芋名月

ちなみに旧暦8月15日の十五夜は、芋名月と呼ばれて里芋を供えます。

里芋を蒸して皮を剥いて食べる「衣かつぎ」って料理がありますが、十五夜はこれを月見団子代わりにしてキューっとやるわけですよ。

芋は常備菜にされがちですけど、こればっかりは掘りたてオススメ。自家栽培が無理なら泥つきの子芋を買ったその日に作るといいです。いずれにせよ夜は冷えますし、暖かい服装で秋の月を楽しみましょう。

784 / 旧URL /2013/10/17/13th-moon/

オリオン座流星群はハレー彗星のかけら…そして来年へ!

【初稿発表:2013/10/22】

夕べはオリオン座流星群の極大日でしたね。皆さんはご覧になりましたか?

オリオン座流星群とハレー彗星の関係について

当地は残念ながら曇り空で流れ星を見ることが出来ませんでした。

去年のオリオン座流星群は想像以上に楽しめたので その期待もあって数日前から折に触れて空を眺めていたんですが、昼は晴れてても夜になるとぐずつきはじめてサッパリでした。

もっとも今回は満月に近く条件も非常に悪かったから仕方ないですね。気持ちを切り替えて来月のしし座流星群…は、まさに極大日が満月でありますから 12月の双子座流星群 …も、かなり条件が悪い、と。

…ハイ消えた!

オリオン座群の母彗星は3000年前のハレー彗星が出したチリ

ハレー彗星と言えば前回の接近は1986年ということになるわけですが、星が好きなだけで周囲に詳しい大人もいなかったので結局何もしないまま終わったような。

後にオリオン座流星群がハレー彗星を元に光ってると知って、失ったものを取り戻したかのような気分になったものです。

でも実際に光ってるのは1986年に振りまいたチリじゃなくて3000年前のチリなんですね。地学や天文の時間軸は頭で判っててもくらくらします。

だから通りすがりのサラリーマンが「ベテルギウスそのうち爆発するんだってよ。」とか言ってても100年後かも知れないじゃん、みたいな。

2014年のオリオン座流星群は期待できそう

来年の今頃は月齢27と新月に近いので、2014年のオリオン座流星群に期待しましょう!(・∀・)

あと今週はメチャクチャ明るい人工衛星がばんばん通るので結構楽しみにしてたんですけど、台風が続々と押し寄せてかなりの絶望感ですね。星の世界のことなんで、気長に待つしかないんでしょうけど。

610 / 旧URL /2013/10/22/orion-meteor2013/

今朝の水星食見た!?

【初稿発表:2013-12-02】

今日(2013年12月2日)の夜明け直前、4年ぶりに月による水星食がありました。繊細な月に消えてくのは内惑星ならではですね。

水星食2013

一応言い訳しておくと、太陽の一番内側を回る水星は夜明け前・日没後の低いところでしか見られないうえ、今回はごく地平線に近いところ(仰角0.5度)の現象でした。

そう言う意味では食の終わりかけ、月の影から出てくるところもシャッターチャンスではあるんですけど空がすっかり明るくなってたので撮りそびれました。

ただ、これ撮影するとき少しでも見晴らしの良いところをと思って自宅の屋根にのぼって観てたんですけど、出入り口を無造作に閉めたらロックかかっちゃって焦るなど。

望遠カメラとクッソ重い三脚を担いだまま外壁伝いに降りましたよ。見ため完全に不審者だし、人に見られなくて本当良かった~。

夜明け前からスタンバってたのは一体何だったのかって話もありますが、暗いうちに撮った木星が綺麗だったから、まぁいいです。

545 / 旧URL /2013/12/02/marcury-occultation2013/

ブログ始めて一周年なので浮かれ電飾について語る

【初稿発表:2013/12/06】

誕生日ケーキ
何かいつの間にやら12月だなーと思いながら、行きつけのサイトが一年の総括記事を書いてたり街がクリスマスイルミネーションに飾られたりしてるのを見て大事なことを思い出しました。

おち研、今日12月6日で一周年です。

ブログを始めたきっかけ

…とは言え、もともと無料のブログサービスを使って始めたもののシステムが肌に合わずドメインやらサイト名やら二転三転して今のシステムに落ちついたのが5月下旬の話なので、実質半年ですね。

始めた動機を一言で説明すると長くなるんですが、かいつまんで言うと「もう少し電気使用量減らさない?」って気にさせられたのが事の起こりでした。特に電飾。

イルミネーションの全てが悪だとは言わないけど、目がくらむほど飾り立てることもないんじゃないかと思って。特に近郊は全国でも指折りの電飾タウンなので一般家庭でも月何万って電気代を使うお宅が稀ではないんです。そんな中、逼迫する電力需要のニュースを見るとやはり複雑な気分になりますね。

そんな悶々とした気持ちを抱えていた頃、東の空に水星を見つけました。水星を司るメルクリウスは科学と旅人を守る俊足の神様だから、理系で陸上部でバックパッカーやってた自分としては非常に親近感がある。

その上、彼は生と死を繋ぐ存在でもあるよなぁ…とか考えていたら都心から40分ほどのこの街から天の川が見えたことを思い出しました。かつて住んでた北の街の一帯で、とても大きな地震があった日のことを。

そんなわけで世のなか全ての物事は繋がってると思うし誰かを想って費やされる努力は相応に報われて欲しい。あと、美しいものの価値をそのままの形で他の人に伝えられたら。

木星

空や自然の中で起きてることを、ふと考えるきっかけにして貰えたら嬉しいな…なんてことを考えながら日々駄文を重ねてます。

非常にわかりにくいことをやってる自覚はあります。書く筋肉もすごく落ちてるなと思います。来年はもう少しうまくやれると良いんですけど。

日に数百と来て下さる方を大事にしていきたいなぁ。いつも本当ありがとうございます(-人-)

541 / 旧URL /2013/12/06/1th-birthday/

真昼の金星みえるかな?年内でひとまず見納め金星情報まとめ

【初稿発表:2013/12/10】

2012年は非常に金星が美しい一年でしたが、今年の金星は公転軌道の都合で高度が低く今ひとつな印象でしたね。

でもこの数日は今年一番の輝きでとても明るく光ってるので、目がいい人なら真っ昼間でも見えるかも!あと、今日12月10日の国際宇宙ステーション(ISS)は金星のすぐ近くを通るので、その辺も要チェックです~。

昼間の金星を見てみよう

2013年、金星が一番明るく輝いたのは12/7だったのですが、中旬まではまだまだ十分明るいので観察好機だと思います。年末になると急に高度が下がって見えにくくなるので興味ある人はお早めに。

惑星の見える位置は刻々と変わるので前もって確認が必要ですね。オンラインで調べるには国立天文台のページが詳しいです。

 今日のほしぞら

地域によっても微妙に変わりますけど、近日中は14時くらいに南中、気持ち目線を上げた(20度)くらいのところにあるはず。

あと、金星を探すときは太陽が視界に入らないよう建物や窓枠の影から観察することをお勧めします。太陽自体を凝視しないように気をつけましょう。

宵の明星
【2013/12/05宵の金星】

日が暮れ始めるとあっという間に暗くなるので「昼間の金星」っぽさが出るのは15時台まででしょうか。

真昼の金星
真昼の金星

金星も満ち欠けする

前述写真の拡大窓に映ってる金星は真円じゃなくて少し歪んでます。金星は月同様に満ち欠けしてるからというのがその理由。

月と違って金星自体が地球と近づいたり遠ざかったりしてるため。一番明るく見えるのはまん丸じゃなくて三日月くらいの頃だと言うのも興味深いですね。


【Oblique view of the phases of Venus】(PD)

各惑星がどれくらいの高度に見えるかは、それぞれの位置関係に加えて そのときの季節(=地軸の傾き)も関係するので結構複雑(で面白い)です。

2012年は40度以上の高さに見える期間が長かったので遅い時間まで楽しめたんですが、2013年は最大でも25度程度なので派手さに欠けるかな。山間部や都会では特に沈むのが早いですし。

12月10日は国際宇宙ステーションが近くを通ります

また、今日のISSは金星のすぐ近くを通過するのでそれも楽しみ。一部地域では金星と重なって見えるようです。人工衛星による金星の食、とも言えるでしょう。

ISSの金星通過
【図はHeavens Aboveより観察地は東京都渋谷に設定】

東京都渋谷から見た場合、南西の低い位置で17:41ごろです。重なって見える範囲は焼津からさいたま通って日立を結んだ線の近傍とのこと。

ISSのスピードを考えると、観察できたら相当ラッキーでしょうね。

649 / 旧URL /2013/12/10/brilliant-venus2013/

2013年のふたご座流星群は早寝早起きが三文の得♪

【初稿発表:2013/12/13】

今年もやって参りました、12月14日前後が見頃のふたご座流星群。毎回コンスタントに星が降る、年間三大流星群のひとつです。

ここ数日、ラブジョイ彗星見るのに忙しくて話を書きかけのまま止めてたんですけど今朝かなり大きな流れ星を見かけて一気に目が覚めました。

…ピークって実は今夜では!?(白目)

ふたご座の探し方

2013年は満月近くて条件がやや悪

2012年は主な流星群の極大日が新月近く いずれも好条件だったんですが、今年は打って変わって悪条件続きだったので気合いが足りてませんでした。

しかし満月に近づく明るい月も、明け方には沈んでしまうことですしせっかくの三大流星群を逃す手はないって事で早起きしましょう~。極大になる正確な時間は日本時間の14日昼だそうで観測好機はその前後という事になりますね。

ただ月齢などから考えると14日の晩よりその日の未明のほうが良さそうです。実際、専門家の方々も前倒し観測を勧めていましたし。…と言うことで14日の早朝に期待

4時54分頃の長経路流星(-2等級くらい)

ちなみに今朝見た流れ星ですけど、まっすぐ東を向いていたところ上の方からすーっと視界に入ってきて おとめ座スピカと うしかい座アークトゥルスの真ん中あたりに落ちていきました。

見てて「お、流れ星。あぁ…ふたご座かぁ!」

…って考える暇があるくらい長く飛んでたので「金くれ金くれ金くれ」だったら間に合ったかも知れない。まぁ、下世話な話はさておき流れ星を見るには絶好のチャンスです。

去年は空の端から端まで渡るほどの大物(流星痕も残った)や音が聞こえそうなほどの分裂火球も観察できたけど今年は一体どうでしょうね。いずれにせよ沢山飛ぶことを願いましょう。(^^

双子座流星群 観測のポイント

ふたご座
【ふたご座(の頭部)】

ちなみに今ふたご座のすぐ近くに木星があるんですが、他の星と比べても段違いに明るいので ふたご座を探すときの良い目印になります。もっとも流れ星は空全体に飛びますから、ふたご座ばっかり見ててもしょうがないんですけど。

とにかく冬の観測は寒いので暖かい服装でお出かけ下さいね。じっとしてるの半端なく冷えるし、寒さって本当に心が折れますから。

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観測のことだけ言えば、寝ながら見るのが一番良いです。

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あと住宅街の隅とか、中途半端な郊外で観察するときは防犯対策もしておくことをオススメします。

それではまた!

792 / 旧URL /2013/12/13/gemini-meteor-stream2013/

ふたご座流星群&ラブジョイ彗星&イリジウムのほうき星コンボ

【初稿発表:2013/12/14】

今朝方はふたご座流星群が賑やかで、星降る夜明けを堪能しました。そろそろ前半が見納めなラブジョイ彗星も見られて満足です。

そして夜が明けてからも青空に輝く-8等級のイリジウムフレアが観察できましたし「動く星」好きとしては実に盛りだくさんな内容でしたね!(^^

ふたご座流星群とラブジョイとイリジウムフレア

ふたご座流星群の群流星

専門家の速報値によると1時間あたりの流星数HRは200を超えたそうです。もちろん、理想的な環境で観測することが前提ですが街中観測でもそれなりに見えたので豊作だったのは間違いないでしょう。

でも写真に収めるとなると話はぐっと残念モードになりますね。でもおちさん頑張ったよ。10~30秒露光で数百枚撮ったら1枚写ってたよ。

4等級くらいのゴミみたいな流れ星だけど良いんです。楽しかったのは紛れもない事実ですから。ただこれ、まさかの散在です。つまり、ふたご座流星群の群流星ではありません。

ラブジョイ彗星を試し撮りしたうちの一枚…と言えば判る方は判るでしょうか。明け方の北東方面なら、ふたご座群流星は左上から来るはずなんですよね。

(´・ω・`)

ラブジョイ彗星

話題になってはいるものの、宅地から肉眼観測出来るレベルではないのでひとまず位置を合わせてパチリ。…で、写ったのが3コマ目。

わーい、わーい!(´ω`*)

…ってやってるうちにカメラの電池が切れて望遠写真が撮れませんでしたよね。寒いと電池の持ちが悪いんですよ。

(´・ω・`)

白昼のイリジウムフレア

たびたび話題にしてるイリジウム衛星。今日は明るくなってから見えるデイライト・フレアも楽しめました。

先日、昼でも見える金星の話をしましたが、-4等級より明るい天体は昼でも見えることがあります。今朝のイリジウムは-8等級との予報で、4日月ほど明るさにあたります。タイミングさえ合えば肉眼でもはっきり見ることが出来るでしょう。

そこでカメラを充電し直してISO感度を晴天用に下げ、三脚にセットして角度を調整しながらカウントダウン…。

「3…2…1…今だ!」
シャッター、カシャッ!  イリジウム、キラッ!

…っしゃぁ!( ・ㅂ・)و

…チッ…チッ…チッ…チッ…カシャッ!

(((( ;゚Д゚))){………!?

そう、星空撮るときの手ぶれ防止にタイマー撮影モードにしてたんです。要するに、イリジウムは4コマ目の写真を撮影した2秒前に光りました。

えぇ、ほんの一瞬の出来事でしたね。

(´・ω・`)

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551 / 旧URL /2013/12/14/shooting-shooting-star/

東の太陽、西の月、地上には手の届く距離で無数に輝く七色の星

【初稿発表:2013/12/21】

起き抜け、青く澄んだ西空に沈みゆく月が見えて思わず三脚担いで外に出たら地上にも無数の星が転がってました。

月と霜とプリズム光

結晶が六角形なの判るでしょうか?繊細なエッジが体温で溶けてしまわぬように息を潜めて見てました。

霜の結晶

手に取れる距離の小さな虹があちこちに掛かってとても綺麗。

霜の虹色

1mmにも満たない結晶は日が差すとともに消えちゃいましたが、この構造は幾星霜を越えても変わることのない摂理です。

月と地球の公転周期とか、水の分子構造とか、可視光の波長とか、口に出すと「これだから理系は」って言われるから黙ってる事は多い。

美しいものを美しいと感じることに言葉は要らないって言うけれど、美しさをすくい上げる精度は対象と対話した時間に比例すると思います。

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