巨大流れ星・火球は通報しよう!(隕石情報まとめ)

流星の中には、フラッシュを焚いたように明るく光るものもあります。大きなものは隕石として地上に落ちてくることも。それらを見たときに調査団体へ報告する注意点をまとめました。

巨大流れ星・火球は通報しよう!(隕石情報まとめ)

視界をかすめただけでも気がつくような、非常に明るい流星を火球と呼びます。場合によっては隕石として地表まで到達するものも。学術上も大変貴重な現象・資料になりますので目撃された方はしかるべき機関に報告しましょう!

…とは言ってもどこに連絡したらいいのかとか判らないですよね。

私も子供の頃に隕石に出くわして問い合わせ先に困った経験があるので関連情報をまとめておくことにしました。

火球の基準は金星くらいの明るさである流れ星

火球の定義については主観的な部分も大きいのですが、国内で精力的に活動している天文家集団の日本火球ネットワーク(JN)によれば宵・明けの明星(=金星)と同程度以上のものを追跡対象としているようです。

日没前でも見える金星
【夕暮れの空に浮かぶ金星】

日没後ならもちろん、夜明けや夕方の薄明かりでも見えるほどの明るさと言うことですね。このような明るい流れ星を見たら報告して欲しいということです。

通報前にひと呼吸 火球と間違えやすい現象いろいろ

飛行機雲や人工衛星など、ものによっては流れ星と紛らわしい現象がいくつかあります。国立天文台のサイト内によくある質問がまとまっているので普段星を見慣れていない方は最初に確認しておくと良いですね。

  1. 見えていた時間が「1秒以下」から長くても「5秒程度」まで(まれに10秒程度見えている流星もあります)
  2. 飛行機よりはるかに速く移動した
  3. 日の出や日の入り前後の空が明るい頃ではなく、空は十分に暗かった(ごくまれに、昼間でも見ることができるような明るい流星もあります)

「私が見たものは流れ星だったのでしょうか?」 – 国立天文台

その他のチェックポイントとしては次の項目も重要です。

  • 見た日付と時刻(出来たら「秒」単位まで)
  • どのくらいの時間見えてたか(一瞬、10秒、1分くらい、など)
  • 見えた方角と向き(東から南に高さ45度から20度くらいに、など)
  • 明るさ(光度またはどの星より明るかった、など)
  • 移動速度

火球・隕石の目撃情報連絡先と記入例について

上記リンクなど参照した上で、やっぱり流れ星だと思ったら日本火球ネットワークの掲示板へどうぞ。もし時刻や観測地域の似ている書き込みがあれば、同じ流れ星を他にも見た方がいる可能性が高いです。

日本火球ネットワークJapan Fireball Network(JN)
JN火球報告掲示板

手作り感あふれるサイトデザインですが、活動期間も長く国内トップクラスの天体観測集団のひとつなので大丈夫です。(何が)

SonotaCo Network Japan.
火球報告書式(NMS)

火球目撃情報を報告するときの注意点

JN掲示板を見ていると、同一火球と思われるスレッドの林立が頻繁に起こってます。大きな火球になると半径数百キロ等、かなりの広範囲で観察されますので既存スレッドにごく近い時間帯のものがないか確認してから書き込まれると混乱が減るのではないかと思います。

隕石を拾ったときは

仮に大火球に遭遇して落下地点付近に居合わせた場合、黒焦げになった石を見つけたら隕石の可能性があります。以下はJNメンバーによる対処の告知です。

見つけたら、まず比較できるものと一緒に写真を撮ってから、手で直接に触らず、ビニール袋に密封してください。そしてできるだけ早く鑑定できる人に見せてください。

【備考】

手で触るなというのは、人に対する心配というか「貴重な隕石をヒトの菌で汚染させない」ためですね。鑑定先については地域の博物館に問い合わせれば取り次いでくれます。

いずれにせよ殺人現場並の現場保存が求められるようです。

隕石鑑定室
星を拾ったときの心得 – いばら市広報「星から宇宙へ」

チャコ隕石 標本 小 チャコ隕石 標本 小

隕石には岩石質の物と金属質のものがあって、それぞれ全然扱いが違います。

流星・火球・隕石について学べるサイト

流れ星や隕石について興味を持ったら、科学館のサイトなどで詳しい情報が得られます。

隕石の構造や特性について

隕石の基礎知識は以下のサイトで知ることが出来ます。

国立科学博物館-宇宙の質問箱-小惑星・彗星・流星・隕石編
流星物理教室

地震計を用いた隕石の分析手法について

実際に落ちてきた隕石を分析する手法も公開されています。目視から入射角を計算する方法や、巨大隕石落下時に発生する超音速衝撃波を分析に活用する手法など色々。

中でも、超音速衝撃波を地震計で捉えた京都大学 山田研の分析結果が非常に興味深いです。

2010年8月7日の隕石の軌道

以下は科学論文ですが、6ページの概要で読みやすいので三角関数読める高校生ならいけると思います。興味ある方はこちらもどうぞ。巨大隕石落下時に発生する超音速衝撃波の利用についてです。

周密地震観測網記録による火球経路の決定:石原・吉明 他(2001)

隕石の構造は面白い

何はともあれ、隕石(…というか隕鉄)はめちゃくちゃ綺麗なので、沢山見つかって欲しい元地学徒です。

隕石のウィドマンシュテッテン構造

隕鉄の表面を研磨してエッチング処理すると、ウィドマンシュテッテン構造と呼ばれる特徴的な結晶構造が出てきます。学生時代に岩石学の授業で色々見たのが楽しかったから、もっとこの美しさが広く知られて欲しいんですよね。

何より一瞬で消えてしまう流れ星を皆で追っかけるのはすごく楽しいので、参加者が増えて欲しいなぁと思わずにいられないのでした。(´ω`*)

※なお、記載内容に問題や訂正事項などございましたらご連絡下さい。随時対応します。

隕石の見かた・調べかたがわかる本―藤井旭の天体観測入門

コアなテーマ!

隕石コレクター

日本ではあまり注目されないけど、各地の隕石を探し求めて生計を立ててる隕石ハンターなる人達もいるようです。