一般に、日本女性は肩が華奢です。少なくとも、肩が華奢であることを良しとする人がそれなりにいます。
その流れで肩幅が広い女性をつかまえて「いいガタイしてるね」だの「男らしい」だの言う人が一定割合で存在します。そのため、肩幅が広いことを恥じる女性が少なくありません。
肩幅広い女性タレントの筆頭に挙がる山岸舞彩さんなんて、あだ名が「肩さん」ですからね。
いくら本人が肩幅ネタを容認してるとはいえ、あんな痩せてる人をつかまえて「がっしり体型」なんて意味不明にもほどがあるでしょ。
そもそも「肩幅」とは
一口に肩幅と言っても、それぞれ意味は異なります。
一般に肩幅とは「両肩のはしからはしまでの距離」を言いますが、衣類向けの採寸であれば「肩の付け根にある骨~首根っこの骨~逆肩の骨」の道のりを指します。
特に呼び分けるときは、肩の端から端までを「襖幅(ふすまはば)」と言います。引き戸の間に挟まって、ノギスのように外側の幅を測るイメージ。
一方アパレルの肩幅は「肩峰幅(けんぽうはば)」です。服のサイズでと言うときの「肩幅」も「肩峰幅」のこと。
※これ以降、特に断りがなければ「肩幅=肩峰幅」とします。
日本女性の平均的な肩幅は36cm
日本女性の平均的な肩幅とは、一体どれくらいを言うのでしょう?
若年層(20歳代)を対象とした人体寸法データベースによると、日本女性の肩幅(=肩峰幅)平均値は36.1cmとあります。(n=204)
同データの平均身長を見ると158.6cmとあり、他の測定値も市販服Mサイズの想定体型とほぼ一致します。およそ信頼できるデータと考えて良いでしょう。
残念ながらこのデータでは個人ごとのボディスコアまでは判りません。しかし幸いなことに上下の5パーセンタイル値が書かれてます。最大最小値と比較してもそこそこリニアな数字に見えるので、これを「統計的な外れ値を排除した『かなり大柄 or 小柄な人』の仮想値」とみなします。細かいことは確率統計の教科書などご参照ください。
…ということで、身長別に見た日本女性の平均肩幅は以下のような感じになるはずです。
身長が高くなるにつれ、肩幅が広くなる傾向にあるのが判ると思います。
日本人人体寸法データベース女性
日本男性における体型別の肩幅
ついでに日本男性の肩幅についても見てみましょう。
男性も同様に、高身長な人のほうが肩幅が広い傾向にありますね。(n=217)
日本人人体寸法データベース男性
肩幅が決まる要因
せっかくなので、男女混ぜて身長と肩幅の関係をグラフにしてみました。
身長ごとの平均肩幅
各身長における平均肩幅は以下の通りです。
横軸が身長、縦軸が肩幅。青が男性で、赤が女性です。
傾きを強調するために下の方を切り取ってますが、それでも男女の値は同じ直線の上に乗ってると言っていいでしょう。
つまり、肩幅を決める要因は性別ではなく単に身長です。
身長169cmのガッキーは典型的な肩幅ガールだけど、どこからどう見てもかわいさしかないでしょ。
真の肩幅を決める他の要素
肩峰幅は骨格に由来する値なので成人したら基本的に変わりません。一方、襖幅は肉付きの影響が大きいため太ったり痩せたりでそれなりに変わります。
また成人後の骨格は変わらないと言いましたが、襖幅と見た目のボリュームは姿勢でかなり変わります。特に巻き肩の場合は鎖骨が落ちるので、前から見たときの迫力が変わります。これを逆に応用したのが伝統芸能の女形です。肩甲骨の位置関係を意識的に変えて華奢な体に見せてます。
ほかに骨格が大きくなる要因といえば、肩周辺の筋肉でしょうか。特に第二次性徴期のハードスポーツで体格が大きく変わりやすいことが知られています。
まとめ
以上より、肩幅の考察をまとめるとこんな感じ。
重ねて言いますが、肩幅と性別はそれほど関係ありません。単に身長の問題です。
百歩譲って「小さいころから運動に親しむこと」を男性的と呼べなくもないですが、スポーツを楽しむ気持ちに男も女もないですよ。
…とは言うものの、日本女性が総じて身長低めで運動経験が少なめであることに異論はありません。肩幅が広いと無駄に目立つのは事実です。マイノリティの常として、既製服で似合うパターンを探すだけでも大変ですし。
とりあえず私も肩幅が39cm近くありまして、このテーマについてはまだまだ主張したいことが山ほどある。
肩幅広いガールの誤魔化しテクニックもそれなりに持論があるんですけど、ちょっと長くなっちゃうんで近いうちに別稿としてまとめたいと思います。
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