体育館の水拭きやワックスがけは管理ガイドラインで禁止されてる

体育館フロアの水拭きやワックスがけは、怪我や補修費用の増加原因になるようです。

体育館の水拭きやワックスがけは管理ガイドラインで禁止されてる

「体育館の不適切な清掃管理により劣化した床材でケガ人続出」という趣旨の記事を読みました。体育館の床は、管理ガイドラインによって水拭きもワックスがけも禁止されているのだそうです。

フローリングで乾湿を繰り返すと板が反るのは知ってたんですが、ワックスもダメなの?と思ったのでメモ。

日本体育施設協会のガイドライン

SNSで教わったところによると、類似記事は読売新聞にも出てたようです。

全国の体育館で、本来避けるべき水拭きやワックス掛けによる清掃が一般的に行われ、事故の原因になっている(中略)

水拭きなどの水分で木製の床板が変形、木片が剥離して利用者の体に刺さる事故が起きていることから、事故調は文部科学省に対し、各施設に適切な管理方法を改めて周知するよう求めた。(後略)

2017.5.30 毎日新聞朝刊より

スポーツフロアのメンテナンス

体育館の水拭きやワックス掛けを禁止しているのは日本体育施設協会とのこと。

オンラインで読める管理指針が見当たらなかったんですけど、日本体育施設協会による書籍『スポーツフロアのメンテナンス』に「ワックス掛けの禁止(3章2項)」という項目がありました。

スポーツフロアのメンテナンス / 日本体育施設協会
  1. 概論
    1. スポーツフロアの劣化と維持管理の重要性
    2. 維持管理の方法と分類
    3. 維持管理の手順
    4. 維持管理上の重要事項
  2. スポーツフロアの清掃管理
    1. 日常清掃
    2. 特別清掃
  3. スポーツフロアの保護
    1. 仕上材を傷める要因
    2. ワックス掛けの禁止
    3. 仕上材の保護対策
    4. ラインテープの取り扱い
    5. 床金具などの保護
    6. 床下地材の保護
  4. スポーツフロアの点検
    1. 点検の頻度
    2. 管理者による点検内容及び処置事例について
    3. 専門家による診断の事例
    4. 床の損傷の主な原因について
    5. 診断・リフォームの問い合わせについて
  5. スポーツフロアの補修・改修工事
    1. 床の構成材と補修・改修の概要
    2. 塗装面の補修・改修
    3. フローリングの補修・改修
    4. 床下地材の補修・改修
    5. 全面改修
    6. 下地コンクリートの補修・改修
    7. 改修工事を行なう際の留意点

運動施設としての安全性と競技性を保つため、一定水準の管理が必要という感じでしょうか。

ほかにも体育館の建材メーカーやメンテナンス業者の複数サイトに「体育館は水拭き・ワックスがけ禁止」との記述が見られます。

体育館の床を水拭きしてはいけない理由

体育館の床を水拭きしてはいけない理由は、住宅用フローリングが水拭きを嫌うのと同じようです。

木は濡れると反って狂いが出ます。木材が歪んで裂けた場合、スライディングするような競技で非常に危険。

新聞記事でも「バレーボールやフットサルをしていた利用者が床に滑り込んだ際、はがれた床板が体に刺さって大けが」とありました。

読んでるだけで痛いのですが…。(;´Д`)

普段のお手入れは、化学モップによる乾拭きが基本とのこと。

化学モップ 替糸

体育館の床をワックスがけしてはいけない理由

次にワックスがけしてはいけない理由。

一般的な木質床材へのワックスがけは表面を保護する目的で行いますが、体育館の場合はすでにスポーツに適した摩擦特性を持つコート剤が施されてます。その結果、ワックスがけ禁止の理由は大きく二つに分けられました。

一つは、せっかくの表面処理がワックスによって覆い隠されてしまい本来の性能が出なくなること。

もう一つは、補修のために本来のコート剤を塗り直そうと思っても油分にはじかれて塗れなくなること。

特に二つ目の理由では、再塗装する際に余計なワックスをサンディングして塗装可能な状態まで削り出す必要があります。工期と工賃が無駄にかかるやつですね。

市販の体育館用ワックスは?

一方、体育館用ワックスというのも探すといろいろ売ってます。

体育館の管理業者は一律に「市販のワックスを使うな」というスタンスですが、中にはウレタン塗装に重ね塗り可能なワックスというのもありました。

この辺は体育館の性能と安全にかかわる部分なので素人判断できないのですが、商品によって後から簡単にはがせるものと簡単にははがせないもの、特定の下地を選ぶものなど、各種あることを確認しています。

少なくとも特定の下地専用ワックスは別の床に使えませんし、施工に特殊処理を要するコート剤はDIY向きではありません。教室と体育館兼用として売られてるワックスに至っては論外でしょう。

素人判断が難しい以上は専門家に判断を仰ぐのが妥当で、専門業者が一律に市販のワックスを禁止したくなる気持ちは分かります。

まとめ

体育館フロアの水拭きは板のささくれの原因になり、ワックスがけは本来の性能を損ねます。安易なワックスがけによって補修費用が大幅に増えてしまう可能性も。

新聞記事で取り上げられた事例は水拭きが原因と思われる怪我ばかりでしたが、ワックスがけが原因の転倒事故もありそうです。

良かれと思った清掃方法でケガ人が出ると悲しいですし、気になる問題点は早い段階で信頼できる業者に相談したほうが良いのでしょう。

コストカットというと真っ先に削られがちなメンテナンス費用ですけど、本来ここは削っちゃいけない部分だと思うの。