ヘアドネーションで髪を寄付するとき嫌がられないための注意点

ガン患者さんのために髪を寄付するヘアドネーション。過去に何度かやって失敗も経験しているので、自分なりの注意点をまとめておきます。

ヘアドネーションで髪を寄付するとき嫌がられないための注意点

小児癌や無毛症の患者さんに髪を寄付するヘアドネーションが盛んになってきました。ヘアドネーションとは、病気や闘病の過程で髪を失った人達に、医療用かつらを提供するという活動です。

人工毛の品質が良くなったとは言え、やはり人毛のウィッグが好まれるとのこと。私もその趣旨に賛同して、これまで何度かヘアドネーションしてます。

伸びた髪を切るだけという手軽さから広まって欲しい活動なのですが、日本での活動母体がなかった頃はいろいろ失敗もありました

最近ヘアドネーションへの気運が高まっているようなので、自分が感じてきた注意点をまとめておきたいと思います。

子供のためのヘアドネーション

ヘアドネーションする髪束

人毛のフルウィッグは高級品です。出来合いのショートウィッグでも5万円以上しますが、フルオーダーだと4~50万するとのこと。

また大人用のウィッグは市販品のバリエーションも多いのですが、子供には大きすぎます。大人用のかつらを無理に使って、ずれないようにテープなどで留めると皮膚がかぶれることもあります。

なにより、多感な時期に体に合わない装具を付けるのは心身共に負担が大きいでしょう。しかしオーダーウィッグは高い。そのため世界的に見てもヘアドネーション団体は小児用医療かつらのが中心という印象です。

日本のヘアドネーション受付窓口

日本におけるヘアドネーションの認識はまだ低いです。しかし近年ドキュメンタリーなどの影響で少しずつ浸透してきました。

国内でヘアドネーションを専門に扱う団体JHDACが出来る2009年以前は、日本でヘアドネーションをしようと思ったら単発のチャリティーイベントに参加するか海外のヘアドネーション団体に直接送るくらいしか参加手段がありませんでした。

同じ手紙を送るだけとは言え、海外に送付するのに比べたら国内郵便だけで済む現在は本当に気が楽になりました。

JHDACに髪を寄付するときの注意

日本でヘアドネーションを専門に扱うNPOがJHDAC(ジャーダック:Japan Hair Donation&Charity)です。髪を寄付する方法は、切った髪に必要事項を書き添えて郵送するだけ。

髪を寄付するときの注意はいくつかあります。ヘアドネーションの要項はJHDACのサイトに詳しく書いてあるので参照して下さい。
髪の毛を寄付したい JHDAC

  • 31cm以上の長さがあること
  • 髪が完全に乾いていること
  • 切り口を輪ゴムでしっかりまとめてあること
  • 髪束は同一人物ごとにまとめること

髪の長さが31cm以上あること

髪の長さは31cmから受け付けています。

端数については30cmを保証するためと、海外でのヘアドネーション活動が12インチ(30.48cm)が多いのと両方関係してると受け取っています。

中にはLocks of Loveのように10インチ(25cm)で受け付けている団体もあるので、どうしても30cm伸ばすのはしんどいという人は海外の団体を探してみるといいでしょう。
Locks of Love – Official Website

…とは言うものの髪は長い方が扱いやすいとのことで、私は50cmくらいで送ってます。正直あんまりロングヘアも管理が大変なので、そこはお好みで。

髪が完全に乾いていること

湿っていると移動中に繊維が痛みやすいし、カビなどが繁殖すると周囲の髪もまとめてダメージを受けるので注意します。

「輸送中に濡れてはいけない」からと、ビニールなどで幾重にも包むと梱包をほどく手間も大変らしいので、私は紙にくるんでそのまま封筒に入れています。

切り口を輪ゴムでまとめる

どんなに長くても、切り口が揃ってないバラバラの毛の塊はどうにもなりません。紐で縛っただけだと途中でほどけるのでゴムが良いそうです。

ヘアドネーション用の髪束として三つ編みなどにまとめた写真を見たことがありますが、そのような処理は不要とのこと。

髪が多くて毛束が太い場合は、一つに束ねてバスッと切ると長さが揃いません。いくつかにブロッキングしてから切ると長さが保証出来て処理も簡単です。

髪束は同一人物ごとにまとめる

ウィッグを作るときは長さなどで選別されます。友人同士で意気投合する場合は、全員のものをまとめて束ねず、個人ごとに束を作るとよいでしょう。束が分かれてれば同梱でも大丈夫みたいです。

受け取り確認が欲しいときは

送付した髪が無事届いたかどうか知りたいときは、送付用チェックシートにメールアドレスを書いておくと、お返事が貰えます。

JHDACからの受け取り通知

イラストは闘病中の子ども達のものなのかな。ウィッグ付けて気分だけでも明るくなるといいですね。気分良くなるだけでも少しは元気になるしね。(´ω`*)

意外と大変な「どこで髪を切るか」問題

さて。実は寄付する側の手間として最大の問題が「どこで切るか」だったりします。ここ見過ごされがちだけど意外と落とし穴なので注意。ほんと注意。マジで注意!

美容院で髪を切ると基本的に産業廃棄物として処分されます。髪を売るという文化も廃れた現在、切るその場で「髪を持ち帰りたいんですけど」というと高確率で困惑されます。

髪を持ち帰りたい理由を説明し、美容師さん個人が賛同してくれても「前例がないし責任問題になると困るので持ち帰りは認められない」と言われたこともありました。

ヘアドネーション賛同サロンを選ぶ

事前に相談すれば持ち帰りOKなサロンがあるかも知れませんが、基本はヘアドネーションに賛同している美容院に行くのが間違いないでしょう。

JHDACに全国の賛同美容院リストがあるのでチェックしてみて下さい。ドナーを申し出ると特典を用意してくれているところもあります。
賛同美容室・サポーター – JHDAC

ヘアドネーションが浸透する前は、理由を説明しても理解が得られず無駄にしたこともあります。一回伸ばすのに数年がかりなので結構ショックです。(ಠωಠ)

自分で切ってから美容院に行く

ヘアドネーション対応サロンが近くにない、という場合は自宅で切ってから揃えてもらいに行くという手もあります。

行きつけの美容院で事前に「こういうことしたいんだけど後で揃えてくれますか」って言えば大体どうにかなります。

前髪を自分で揃えたくらいで「ねぇ、ちょっとこれどこで切ったの?(ಠωಠ)」とか詰問するタイプの美容師さんだと めちゃくちゃ怒られるので気をつけて下さい。

賢者のおくりもの O.ヘンリー

実は髪を売買する文化というのは今でもあります。貧しい地域の女性が頭の上にどっさりまとめ髪をしていて、数年ごとに都会からトラックで二束三文で買い付けに来るとか。

そういう社会事情も含めて、無理なく続けられる範囲で協力しようと思っています。

髪を寄付しようと思うようになったきっかけ

ちなみに、私がヘアドネーションを知ったきっかけについて書いておきます。学生時代は割と意識高い系だったので、ボランティアや献血は割と積極的に参加してました。

ネットの知り合いが白血病サバイバーだったので、話を聞いた流れで骨髄移植にドナー登録。するとHLA型の合う患者さんが見つかり、コーディネーターさんと打ち合わせすることになったんです。入院の流れなど詰めていく中で、学生は親の同意書が必要という話になりました。

で。

控えめに言いまして わたくし実家とは極めて折が悪く、「おまえの都合で どこの馬の骨とも判らん奴(=骨髄バンクの人)にハンコなんか押せるか!」と一喝されて話は全部流れました。

コーディネーターさんは「他にも候補者がいるから大丈夫ですよ」と言って下さったんですが、マッチ度で言えば私が最も親和性が高かったとのこと。その患者さんがどうなったかは知るよしもないのですが、元気でいて欲しいと思います。(´・ω・`)

もっともドナーを完遂するには相応の負担感があります。家族仲が良ければ良かったで反対されることもあるでしょう。一連の手続きは「ちょっと困ってる人がいるならどうぞ」と献血気分で応じられるほど気軽なものではありません。

じゃぁ気軽なところから始めようかなと思い、いろいろ調べて海外で髪を寄付する運動があると知りました。「これだ!」と いても立ってもいられなくなり美容院に行ったのが最初です。

ちなみに、その髪は美容師と押し問答の末にゴミになりました…。

おわりに

先週は経歴詐称がずいぶん話題になりましたね。そういう意味では私もネットでアイコン詐欺してるかも知れません。

SNSアイコンは実写もイラストも短めにしてるので、たまにネット経由で会う人から「アイコンと髪型が違って一瞬わからなかった」って言われます。子供の頃から基本的にロングヘアなんですけど、何度か寄付してるうちに「髪は預かりもの」みたいな意識になってきましてん。騙す意図はないんやで。

いずれにせよ、提供側の負担が非常に少ないドネーションです。髪をバッサリ切るときは「寄付する」という選択肢を入れてみたらどうでしょうか。(・∀・)

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