2013年01月の天体観測日誌です。この頃に星を眺めてて思ったり起きた出来事をまとめました。(´ω`*)
本稿は、2013年01月に投稿した天体観測にまつわるエピソードをまとめたものです。各章はそれぞれ独立した1ページとして存在してたものですが、記事数増加によるデータ圧縮の必要性から1本に集約しました。 (2015-09-10)
今夜はそばにいて
【初稿発表:2013-01-03】
身勝手なアタシを許して。
今日は三大流星群に数えられる しぶんぎ座流星群の極大日ですね。大型流星群は何故だかイベントとかぶるので困ります。天文趣味をやってて悩ましいことの一つが流星群の観測ではないでしょうか。
三大流星群に数えられる1月しぶんぎ群、8月ペルセウス群、12月ふたご群。月齢などの条件により、それなりに星が流れる年は数年に一度しかないのですが、それぞれ正月・お盆・年末の繁忙期と重なってなかなかゆっくり観測出来る機会がありません。
しぶんぎ座流星群のピークは主に1月4日の明け方なので、何かしらの宴会とバッティングしがちな時期でもあり葛藤と妥協と小言が渦巻く事態になりがちだったりします。
夏の大イベントであるペルセウス座流星群もお盆の真っ最中だから結構もめますしね。ま、条件がいい年は適当にぶっちぎりますけどね。
しぶんぎ座=りゅう座
なお、しぶんぎ座の領域は現在りゅう座と呼ばれているため古い天文ファンの中にはしぶんぎ座流星群のことを「りゅう座流星群」と呼ぶ人もいます。
ちなみに このしぶんぎ座を制定したラランドは大変な愛猫家で、当時「ねこ座」というのを提唱したにもかかわらず残念ながら定着しなかった…というエピソードがあるのでした。
553 / 旧URL /2013/01/03/quadrantids-draconids-meteor-stream/
真実は細部に宿る
【初稿発表:2013-01-06】
画力は指摘しない方向でお願いします。
赤道直径比で地球の11倍もあるものが10時間で1回転してるんだから、それは扁平にもなるでしょう。木星の径はかなり上下に潰れていて、赤道方向と極方向で 7%ほどの違いがあります。
…でも、市販の惑星オブジェってほとんど「まんまる」なんですよね。
扁平度で言えば縦横で一割違う土星の方が歪んでるんですけど、浮き輪すると目線が横に広がるから何となく本体が丸くても許せてしまう気がします。結果的に木星のまんまるが目立つという。
この流れで重力に抵抗する衛星の話とか すごく好きなんですけど、話がとてつもなく長くなりそうなのでまたいずれ。
引き続き木星は見やすい状態にあるのでご覧になってみて下さい。オリオン座の右上あたりにある めちゃくちゃ明るい星です。
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ベーコンをガチャガチャのカプセルに詰めたら多分こんな感じだと思うの。 |
2091 / 旧URL /2013/01/06/jupiter-radius-ratio/
七草粥が意味する太陽の復活と豊穣への祈り
【初稿発表:2013-01-07】
七草ですね。
うちの七草がゆは基本的に自宅で採れたものを入れる決まりなので、その年によってニンジンだのチャイブ(洋葱)だの入ってたりしますが、まぁそれはそれとして。
ご存じの通り日照時間は冬至が一番短いわけですけど、地軸が傾いている都合で一年で最も日の出が遅くなるのは七草の頃だったりします。
七草粥は「おせちで疲れた胃を休める」と言われてるけど、本質的には太陽の復活とその年の豊穣を占う儀式なのではないかしら。
冬季に行われる祭りの多くは太陽の復活を願うもの
世界中を見渡すと冬に行われる祭りの多くは太陽の復活を願うものですから(広義にはハロウィンやクリスマスもそうですよ)、おそらく七草も豊穣への祈りが込められているんじゃないかと思ってます。
もちろん七草自体は旧暦時代からある風習です。でも昔の人は星の動きや季節の変わり目をよく知ってましたから、野草の芽吹きを見て作付けの計画を練っていてもおかしくはない。
そんなことを考えると、暦が切り替わって葉物を摘むのが困難になったにもかかわらずこの文化が絶えず続いてきたことは驚異的ですらあるのです。
真相は、もうとっくに失われてしまったかも知れないけれど。
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963 / 旧URL /2013/01/07/nanakusa-gayu/
7日、8日、9日と… ガリレオ・ガリレイ追悼企画
【初稿発表:2013-01-09】
藤圭子でわっしょい。(謎)
点を打つだけの絵なので一瞬で描き終わる予定だったんですが、正確に位置を調べてたら結構時間がかかりました。手抜き出来そうなネタに限って意外と手間がかかる罠。そんなわけで、本日のテーマはガリレオ・ガリレイ追悼企画です。
正直ガリレオの命日は昨日(1月8日)なんですけど、日本が9日になっても、イタリアはまだ8日ですよね!…っていう、言いがかり的な流れで押していくのでよろしくお願いします。
ガリレオ4衛星のうち3個は1月7日に発見
ガリレオと言えば逸話に事欠かない大学者ですけど、偉大な功績の一つに『木星の衛星発見』があげられます。現在ガリレオ衛星と呼ばれる4衛星のうち、最初の3個を発見したのが1610年の1月7日でした。
絵を見て頂ければ判るとおり、それぞれかなりの速度で移動してます。たとえば一番内側を回っているイオの軌道半径(42万Km)は地球に対する月のそれ(38.5万Km)より遠いのです。しかし月が地球を27日ちょいで一周するのに対し、イオが木星を周回するのはなんと2日かかりません。
ちなみに、ここで言う「一周」は宇宙から客観的に眺めた「一周」であって実際はその間に惑星自身も動くため、見かけの周期とは異なります。地球から見た「新月から新月」が「月の公転周期」ではないのと同じ理由ですね。
いずれにせよ想像を絶する速さだと思いませんか。そのスピードで回ってないと木星の重力に負けて落ちてしまうわけですから。
単純に考えて、地球の月の17倍もの速度で回っていることになるのです。気長に観測してると動いているのがリアルタイムに判るほどですし。ガリレオ衛星は結構明るい星なので、コンデジでもうまくやれば映ります。是非チャレンジしてみては如何でしょうか。
実際、こんなの見ちゃったら天動説なんておよそ支持できなくなるでしょうね。見えてる現実を理解しようと思ったらそうするしかない。
藤圭子 GOLDEN☆BEST
時代が違ったら別の売れ方しただろうな~って思わせる希有な才人。何でも良いけど、中に星がつくとあらゆるものが昭和ファンクになっていくのは何故なんだぜ。 |
908 / 旧URL /2013/01/09/galilean-moons/
街中観測にオススメの惑星集合
【初稿発表:2013-01-10】
最近はリマインダーが増えて天体観測が便利になりました。ほぼ月イチで訪れる月と5大惑星の接近は肉眼でもハッキリ見えるので街中天体観測にオススメです。中でも金星は全天で最も明るい星の一つで、手ぶらでも都会でもそれなりに見応えあるのが嬉しい。
イベントとしては地味なんですけど、派手な天文イベントのときだけ見ようとするとうまく星を探せなかったりするんですよね。
天文年鑑で見て「あ、今日は近いんだ」と思ったんですが、日本で月が昇る頃にはもう結構動いちゃった後でした。思いつきで出かけると思ったように見えないこともあるので事前準備は怠らないようにしましょう、という悪い見本ですね。ウヒヒ。
惑星の位置を事前に把握しよう
天体観測でガッカリしないコツは事前の下調べをしておくことでしょうね。惑星の位置を教えてくれるWEBサイトやアプリで月との距離感を掴んでおきます。
このとき、周辺にある星や星座に注意を向けておくとお馴染みの星が増えて経験値が上がっていきます。星の位置ってなかなか一度には覚えられないので、イベントごとに少しずつ覚えることにしてます。
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パソコンがプラネタリウムになりますなり。 |
684 / 旧URL /2013/01/10/crescent-moon-lost-venus/
アルデバランは右目だったり心臓だったり(いま三ツ目)
【初稿発表:2013-01-18】
いま見頃の牡牛座と木星は、割と高い位置にあります。
アルデバランはラテン語で「ウシの心臓」
おうし座にある赤みの強い一等星アルデバランはラテン語でコルタウリ、つまりウシの心臓に見立てるようです。一方アラビア語では「(すばるの)後に続くもの」という意味だとか。
現在の星座絵だとアルデバランは「おうしの右目」として描かれてるので、お客さん(=惑星)が通るとがらりと印象が変わって見えます。
ちなみに「すばる(プレアデス星団)」はアルデバランのちょっと右上にある「もわもわ」です。比較的明るい星が集まっており、視力0.01の私でもなんとか裸眼で存在が確認出来るくらいですから是非探してみて下さい。
3×3EYES(1) 高田裕三 |
859 / 旧URL /2013/01/18/aldebaran-taurus-jupiter/
冬空は無数の瞳が光ってる
【初稿発表:2013-01-19】
冬の賑やかな星空のおはなし。
大体、いつも夜8時とか9時に走ってます。この時期は明るい星が高い場所に集まってるので どっちを向いてても視界の端できらきら光って気になりますね。
流れ星が飛んでくるときのために何となく全方位に視野を広げてるので その都度 再確認して「あれ、違った」みたいな。でも、昔の人も星に見られてるって感覚があったんでしょう。
冬の星は「目」にちなんだ名を持つものが多い
先にお伝えしたとおり おうし座のアルデバランは「ウシの目」ですし、ニュージーランドではすばる(M45)が「Matariki:小さな目」と呼ばれるそうです。
さらに隣にあるふたご座のカストルとポルックスは双子それぞれの頭部と見なすのが一般的ですけど、日本各地の古い呼び名では「カニの目」「ネコの目」「犬の目」「両眼」「眼鏡星」など目にまつわる呼び方が沢山あるようです。
言うほどの数じゃないように見えますけど、すばるは星団だから複眼的にこれだけで数十個になるって話もあります。
723 / 旧URL /2013/01/19/twinkling-eyes-in-winter/
1月下旬に未確認流星群あらわる!?
【初稿発表:2013-01-21】
この数日、やけに流れ星を見ている気がしています。
ド近眼の目に映るってことは相当明るいはずなんですよ。一応1月20日前後はおおぐま座流星群の出現期となってるんですが、この群はそれほど数が期待できない流星群なので変だなぁ、と。
あんまり気になったので日本流星研究会の長田さんに伺ったところ
散在流星でしょうか。群活動は停滞期ですが、透明度の良さに救われて案外多くの流星を観測できますね。
つまり「ただの偶然でしょ?」とのこと。
だけど、いわゆる理想的な流星観測環境と違って市街地を裸眼で歩いたり走ったりしている最中に見てる訳です。なるべく繁華街を避けてるとは言え、観測に適した条件ではありません。つまり気のせいでなければ飛んでる流れ星は相当明るいもののはず。
どうも腑に落ちないので、電波観測してる方のデータなど引用して その時間帯に結構大きい流星が飛んでたことを示すと興味を持って下さいました。それで1月下旬に未確認流星群が潜んでる可能性を教えて頂いたという次第です。
なのでこれから月末にかけて空を眺めてると まだ広く知られてない天体ショーを楽しめるかも知れません。全体の数は少ないながらも明るめの流星が多いみたいですよん。
でも最後に「去年の天文年鑑でチラッと紹介したよ~」って伺って あわてて精読したら確かに書いてありました。イヤハヤ…本当にお手数おかけしました。でへ。
791 / 旧URL /2013/01/21/unknown-january-meteor-stream/
空が高く見える今年2番目に小さな満月
【初稿発表:2013-01-26】
これは今年2番目に小さな満月。
(ウサギは…記憶スケッチなので気にしないで下さい…。)
満月の大きさは毎回違う
冒頭でも挙げたとおり、この週末に月齢15を迎える月は一年で2番目に小さな満月にあたります。
天体の軌道は普通まんまるではないので、地球との距離も周期的に変化しています。近づいたとき満月になれば大きく見えるし、遠ざかったとき満月になれば同じ形でも小さく見えるんです。
今回は地球と最も離れた地点から4日ほど移動したところで満月を迎えたために このようなことになりました。
ちなみに新月でも同じ事が言えて、大きい新月が地球に影を落とすと皆既日食に、小さい新月のときだと金環日食になります。日食は普段肉眼では見えない新月の大小を視認出来る好機といえるかも。
月が最も地球に近づく日の満月=スーパームーン
そして一番地球に近づく日の満月は「スーパームーン」とも言います。
2011年3月20日の月は、最も近づいた瞬間から1時間以内に満月となる「エクストリーム・スーパームーン」の日でした。
あれは18~19年に一度の希有な出来事であったと、震災直後のラジオから聞こえる声に感嘆した人々も沢山いたのではないでしょうか。
それに比べると今夜の月は控えめなサイズということになりますが、小さな月は相対的に空が高く感じられますから、個人的にはこれもアリだと思うんですよ。
なお、今年最大の満月は6月23日ですね。ちなみに今年もスーパームーン。ついでに言うと来年も、再来年も、その次も。(`・ω・´)
※スーパームーン、毎年必ず起きるわけじゃないんですけど続くときは続くみたいなんですよね。
【備考】
・2013年の月軌道データは誠文堂新光社刊 天文年鑑2013を利用
・未来における月の遠近日点計算は
【Lunar Perigee and Apogee Calculator】を利用しました。
DRAGON BALL モノクロ版 1: 巻1 (ジャンプコミックスDIGITAL) 大きい月って言うと、なんかこれ思い出します。 |
1397 / 旧URL /2013/01/26/tiny-moon/
昨日は十五夜・今日は満月 …丸いのはどっち?
【初稿発表:2013-01-27】
満月の表現は、月齢をどのように解釈するかで『満月』と『十五夜』を呼び分けることがあります。十五夜は旧暦(8月)15日、満月は月齢が15になることですね。
十五夜と満月の定義は少し違う
「新月を含む日をその月の最初の日」とする旧暦の考えだと、正確に月齢を出す現在の計算方法と1日ずれることがあります。月齢とイベント両方描いてあるようなカレンダーだと「あれ?」とおもうこともしばしば。
今回の朔望月は新月が12日だったので、そこから数えた15日目は26日で完全に丸くなるのは27日の昼間13時半ということでした。
つまり、今回の月がまん丸になる瞬間は日本からは見えなかったってことですね。ちょっとだけですけどね。ほんとにものすご~くちょっとだけ。望遠鏡で眺めると、そのほんの少しの欠け分でも味わいが違ったり季節によっても欠け方が変わったりして興味深いところです。
それと空高いところの満月も綺麗ですけど、低い時もまたいいですよね。さても今日は朝焼けとビーナスベルトを同時に拝めた良い暁でした。
1104 / 旧URL /2013/02/01/light-down-project/
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