2013年02月の天体観測イラスト日誌

2013年2月に起きた天体観測の記録をイラストエッセイ風にまとめました。光害問題や立春の特異性、抹消されたネコ座について。この頃ロシアのチェリヤビンスク隕石の落下などもありました。

2013年02月の天体観測イラスト日誌

2013年02月の天体観測日誌です。この頃に星を眺めてて思ったり起きた出来事をまとめました。(´ω`*)

本稿は、2013年02月に投稿した天体観測にまつわるエピソードをまとめたものです。各章はそれぞれ独立した1ページとして存在してたものですが、記事数増加によるデータ圧縮の必要性から1本に集約しました。(2015-09-16)

街を暗くしよう ~光害のはなし~

【初稿発表:2013-02-01】

世に光害、というものがあります。

上に反射板がついている外灯が広まれば省エネになるのに

光害とは

横浜からほど近い街に住んでます。駅前を眺めたところで大した規模じゃないんですけど、それでもこの街の夜は夕暮れ時より遙かにまばゆい。

もちろん前時代の闇夜を取り戻せと言いたいのではありません。一人歩きの女性や塾帰りの子供達を引き合いに出すまでもなくどうしたって街灯は必要なものです。

でも、空に向けて明かりを照らす必要まではないんじゃないかと。

例えば天板が反射材になってれば、少ない消費電力でも対地輝度は確保されますよね。街は明るく、それ以外は暗く、消費電力も減ってみんなが嬉しいと思うんだけど。

信号機が猛烈な勢いでLED化したように、街灯にも経済的なインセンティブが働けばいいのになって思います。

【追記 : 2013/02/03 】

「もし東京の灯りが全部消えたら、天の川見えますか?」

ご質問頂きました。確たることはそのとき次第でしょうが、すくなくとも、首都圏が大停電を起こした2011年3月11日の晩に自宅から天の川が見えたことは強く覚えています。

普段は2等星だって怪しいこの街で、決して明るくはない冬側の天の川が。

712 / 旧URL /2013/02/01/light-down-project/

インソムニア・ハイパーソムニア・下弦月

【初稿発表:2013-02-02】

insomnia は不眠症、 hypersomnia は過眠症ですね。下弦の月にはちょっとアンニュイなニュアンスがついて回ります。

下弦の月は夜中に出てきて昼頃沈む

下弦の月は、見かけ上 太陽に90度先行してるために真夜中に現れて昼頃沈みます。朝の通勤・通学時間帯に見える白い月はこの頃のもの。

プライベートな自分からパブリックな自分へ変わるものの比喩として、あるいは、それでもなお抱え続ける孤独を表すものとして、多くの物語で主人公の心境を映し続けてきたのは昼の月です。

なので改めて自分の中にある下弦の月の記憶をたどってみると、徹夜明けの独特の感傷を呼び起こすような気がします。それでも その月の形を記憶にとどめていると言うことは、少なくともその瞬間は うつむいてなかったことになるんでしょう。

だから誰しも空を見る。

矢沢あい 下弦の月 ―Last Quarter― 【Amazon】

881 / 旧URL /2013/02/02/insomnia-hypersomnia-quarter-moon/

宇宙愛に満ちあふれるオサレな女の子に出会った

【初稿発表:2013-02-06】

電車で乗り合わせた子が眩しすぎて、完全に目を奪われました。

電車で会った子がすごい宇宙愛に満ちあふれていた

構造色で光る天文柄のスタジャンってのを初めて見たもので…。

とりあえず状況がよく飲み込めなかったんですけど、持ってた鞄の仕立てが結構良いものだったし(割と綺麗な子だったし)一緒にいた彼氏(?)は普通にセンス良かったので、多分モード系のオシャレさんなんですよね?

流行りの服とか、ほんと全然わかんないです。

宇宙星神 トランスフォームフィギュアシリーズ 水星神 宇宙星神 トランスフォームフィギュアシリーズ 水星神

アレとかコレとかを彷彿とさせる設定。

1054 / 旧URL  /2013/02/06/maybe-she-loves-mercury/

草の根分けても探し出せ

【初稿発表:2013-02-07】

水星かなり好きなんですけど、近隣ではあんまり見える環境になくて残念に思ってます。

水星が好きなんだけどなかなか見えなくて悩み中

水星が見えると言うこと

水星観測のレア度はひとえに太陽に近すぎるという点に尽きますが、タイミングさえ外さなきゃ思いのほか簡単に見える星でもあります。

問題は時間と地形ですよね。太陽に一番近いところを回っていると言うことは日の出直前と日没直後のわずかな時間しか観察できないわけで、西空で見える時期の場合、内勤組は職場から見えなければ即終了です。

そこで休日に希望を託すことになるわけですけど うちの周辺は谷間地形で あまり地平が開けておりません。どこか気軽に見える場所がないかと、数年来探し回っております。ちょっと足を伸ばせば見えるのは判ってるんですけど。

あと水星は彗星来たとき観測の目安にもなるので、見やすい場所を探しておくと天文イベントのとき慌てずに済みます。オススメ。

694 / 旧URL /2013/02/07/looking-for-mercury/

早くも今年が1割過ぎたけどまだ去年だから!

【初稿発表:2013-02-08】

2月8日になりました。

2月だけどもう夏の星座が見えています

え~。なんと、もう2013年が10.5%も経過したということになりますね。でも旧暦だとまだ12月28日だし!まぁ、今から本気出します。

2月とは言え、明け方にもなりますと いわゆる冬の星座はほとんど西の空に落ちてしまってます。第一、本来この時期に見頃の星は夕べのうちに見てるわけですから必然的に意識は春の星へと向かいますよね。

で。

春の空の代表格として うしかい座のアルクトゥルスを探すわけですよ。北斗七星の柄の先を弓なりにたどるとオレンジの星があるですよ。そのカーブをそのまま伸ばすと白いおとめ座のスピカがあって 左にオレンジの土星。ここで、「去年の冬は土星とスピカがもっと近かったなぁ…。」なんてことを考えながらさらに伸ばせば、アンタレスですよ。

…アンタレス!?さそり座がもう見えてんの!?

あ!!夏の大三角まで!!

…みたいなね。(´ω` )

さそり座の女 美川憲一 さそり座の女

これ何が凄いかって、オンデマンドプレスなの。

【関連記事】

【悲報】今世紀の8分の1が終わろうとしています

7月2日が一年の折り返し地点でありますが、今年は21世紀の1/8地点でもありました。

655 / 旧URL /2013/02/08/one-tenth-year/

見えないものが見えている

【初稿発表:2013-02-09】

突飛な発想してたかなー。あんまり身に覚えがないです。

手作りの望遠鏡で作り出した もう一つの月の話

子供って、筒が好きですよね。変なおもちゃ買い与えるよりよっぽど遊ぶ気がします。幼児がいる家に行く時、1000円のおもちゃ買うくらいならラップの芯でも持たせた方が絶対喜ぶと思う。…ま、チビにウケてもその親から確実にイヤミ言われますけども。

それでこの時も不要の紙管が欲しいというので渡したら黙々と壁を眺めたあげくに望遠鏡で月を覗いてるんだと言いだしました。見れば壁と筒の隙間から差す光を三日月に見立てているようです。

「何をバカな…」と大上段に構え、「望遠鏡観望とは!」って演説をぶちかまそうとして

…はた。(´・ω・`)

もともと月だって外部光源がなければ光らないわけだし、横から照らされて浮き上がった壁紙の模様がうっかりクレーターっぽいし、視界を区切ることで視認性って確かに上がるし、コレはコレで良いかなーみたいな。

少なくとも自分には、両者をわざわざ区別して諭すほどの明確な妥当性が思いつきませんでした。

子供が必ず真理を突いてるなんて思わないけど、素直に耳を貸すことは自分の可能性を広げることに繋がるのかも知れない。

光・レンズ 手作り天体望遠鏡

ご多分に漏れず(?)ラップの芯で望遠鏡を自作したクチです。

887 / 旧URL /2013/02/09/another-moon-for-kids/

灯す明かりと消す明かり ~311星空プロジェクト~

【初稿発表:2013-02-11】

あと1ヶ月で2011年3月11日から丸2年になります。

3月11日に合わせて電気を消して夜空を眺めようというプロジェクト

もしかしたら、すっかり食傷気味の人がいるかも知れません。

でも、これが言いたくて始めたことだから、やっぱり書きます。

空を眺めたところで、どうなるものでもないんです。それでも、同じ空を眺めることにはきっと何かの意味がある。

先日も、ISSを見送りながらしみじみ思いました。

星好きなら何度も見てるはずなのに、見終わってネットを覗くたび多くの人がISS見えたって騒いでて、本当に何がどうしたって言うくらい騒いでて、それ眺めてんのが凄く好きです。

311星空プロジェクト

先日、311星空プロジェクトという活動を知りました。発起人は仙台の有志だそうです。3月11日の、あの時間から6時間後に、明かりを消して空を見ようと。

いつかの光の向こうには 命と時間が透けている。

思う気持ちが集まれば 希望も動き出すだろう。

他の誰かに届くほど 思う気持ちが集まれば。

聖なる夜に:2012年12月の天体観測イラスト日誌

537 / 旧URL /2013/02/11/silent-night-for-311/

謎の発光現象に遭遇するなど

【初稿発表:2013-02-17】

相変わらずしつこく水星の見える場所を探しておりましたところ…。

水星探しが趣味なのです

水星探しは時間との勝負

過去にもちょいちょい書いてるとおり、水星見るのが好きです。

ギリシャやローマ神話における水星の守護神は科学や旅の神でもあり おまけに天界でも指折りの俊足とされてます。…なので理系・放浪好き・元陸上部の自分にとって水星は「とりあえず見られるようなら見ておけ」っていう感じの天体。

ともかく東方最大離角の日は夕方に西の空で好条件となるため、前もって目星をつけておいたポイントまで行ってみたのですが西の空にだけ雲が厚くかかっていて見ることが出来ませんでした。

昔 住んでた街はいずれも東西の地平が開けてたんですけど山に囲まれたこの街から見るのは本当に難しい…。でも、次回の見頃である6月は今年最大の好条件なのでその時に賭けたいと思います~。

謎の発光現象

4コマ目にあるとおり、雲間から謎の発光現象を見ました。

絵はごちゃごちゃ書くと判りにくいから見通しよく描いてありますけど、実際は木立に阻まれて少々視界が悪いです。

…なので見間違いかも知れないんですけど北東から南西にかけて動くかなり明るい光を見ました。(-8等とか?)時間は18時ちょうどくらいで、色は赤。分裂はたぶん無し。日没は17時25分くらいなので、夕焼けではないです。

あれは火球だったんだろうかと思い返しながら帰路につき、帰宅後に火球の報告がないかと関連サイトを見て回ったんですが書き込みは無し。深夜になったら誰か書くかな~と待ってみたんですけど新スレ立たず。結局一日経っても動きがないので、どうやら見間違いらしい…。(´・ω・`)

まぁ、数日してからスレッドが立つこともあるので自分への備忘録として書いておきます。

【関連記事】

【巨大流れ星・火球は通報しよう!(隕石情報まとめ)】

大きな流れ星の目撃情報を集めてるサイトがいくつかあって流星群の研究などに生かされてます。通報先や関連情報をまとめてみたので参考になさって下さい。

744 / 旧URL /2013/02/17/unknown-flashing-light/

月が笑えば 山笑う  季節ごとに変わる月の傾き

【初稿発表:2013-02-18】

今日は二十四節気の『雨水』で、上弦の月でございます!

季節によって月の傾きは違う

まだ寒さの残る早春の候、生まれて間もない月はニコニコ笑いながら西の空へと向かいます。日付が移るに従って相対的に地面との角を変える月は季節ごとの傾き加減も少しずつ違うんですね。

今は上弦の月が最もその名にふさわしく見える季節。

白磁の皿のように星を受け、弧を真下にして沈んでいきます。それが、水ぬるむにつれて少しずつ身を起こしていくようになると次第に緑がほころび始める。

「山笑う」は、ご存じ春の季語。

なれば「月笑う」だって今の季語にちょうどいいと思いませんか?

712 / 旧URL /2013/02/18/moon-smiles-in-spring/

コペルニクスは天動説を発見してない

【初稿発表:2013-02-19】

2月29日はニコラウス・コペルニクスの誕生日だそうです。今年で生誕540年。コペルニクスと言えば天動説を引き合いに出す人がいますけど、彼が発見したものだという誤解が結構ありそう。別に彼が見つけたわけじゃないんですよね。

コペルニクスと天動説の再発見

若き日のコペルニクスは、神学に身を置く傍ら医学なども修める才人でした。やがて天文学に傾倒するようになります。しかし当時 全盛であった天動説にはどうも馴染めずにいました。それというのも、天動説を説明するための運動モデルは拡張に拡張を繰り返した、大変複雑なものだったから。

「偉大な神が作った世界はもっとシンプルであるべきだ」…と考えた彼は古い文献を片っ端からひもといて とうとう紀元前に書かれたアリスタルコスの地動説にたどり着くのです。

コペルニクスの功績は地動説の発見ではなく再発見したことだったんですね。

ルネッサンスという時代

「とっくの昔に出来上がっていたものが いつの間にか失われていて後世に再発見された」というエピソードは、天動説に限らず 良くある話みたいです。

美術で言う透視図法や空気遠近法といった方法論も、紀元前には既に それなりの技術が確立していました。しかし、新たに生まれた宗教観によって次第に社会が変容していきます。その、結果どんどん思考や表現の幅が狭くなってしまった。

その殻を打ち破って「真実」にアプローチしていったのが中世という時代のようです。この頃をしてルネッサンス(「復興」または「再生」)と呼ぶのはそのため。

コペルニクスは神を冒涜したわけではなかった

描いてて非常に鬱々してきましたが、「Aを好きだと公言しているCが、Aの名誉のため切り開いた道」を何も外野が邪魔することないと思うわけです。

百歩譲って文句言う権利があるとしたら表現者たるA本人だけでしょう。だけどおそらく、Aはそれに真っ向から異を唱えるような人ではない。

ほんっと面倒臭い話ですよね。

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天動説から地動説に至るまでの流れが判りやすくてオススメ。天文の文化的アプローチも豊富です。ちなみに先日、本書の編集に携わった方と偶然やりとりする機会がありました。世間は狭い。

※ 「本日コペルニクスの生誕540年(伏せ字を満たしなさい)」より表題を変更しました。
681 / 旧URL /2013/02/19/copernicus-revived-heliocentrism/

2月22日は猫の日!愛猫家ラランドと抹消されたねこ座

【初稿発表:2013-02-22】

本日、ぬこ様の日であらせらるるぞ。

かつて ねこ座(Felis)が存在したらしい

ねこ座はFelisだけど女学院はFerrisですぇ。

もう21日の段階で、場合によってはそれ以前から、「22日はネコの日」ってそわそわしてる人が本当に多くてネコ派って多いんだなぁ、と感心しました。

かつて 存在したというネコ座について

さて、ねこ座を制定したのはラランドです。しぶんぎ座を制定するなどしたフランスの天文学者ですね。

彼自身が大の猫好きだったことから現在のうみへび座とコップ座のあたりに ねこ座を設定したそうですが、今ひとつ流行らないまま忘れ去られてしまいました。猫モチーフだったらもっと人気が出ても良さそうなのにね。

やっぱりモチーフとして自分の飼い猫であることを前面に押し出したのが敗因でしょう。みんなの猫さまってことにすれば角も立たなかったと思うんだけど。

【追記 : 2013/02/27】

2月22日22時22分22秒にネットでニャーと叫んだ人の数は「あけおめ・ことよろ」「バルス!」に次いで多かった…りはしないのですが、普段ちょう真面目な大学教授までニャーニャー言ってて、ステキでした。

中でも、『222は猫というよりアヒルでは…』と仰っていた琉球大物理の前野先生は異能の人です。(´ω`*)

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同姓同名で化学の先生がいらっしゃるので注意。

1016 / 旧URL /2013/02/22/feb22nd-cat-day/

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