友人の見た夢の内容がめちゃくちゃ格好良かったので描き起こしてみました。
星のかたち
なにこれセンスありあまる。
話の流れから言って、間違いなく主人公はこの星の創造主か守護神だろう。
その神様が、なぜ菓子折もって人間相手にお詫び行脚をしてるのか。人(?)が良すぎる。ギリシャあたりの神様だったら絶対に「てへぺろ☆」の一言で済ませているところだ。
マンガなら、落ち込む主人公を見かねた世話焼きキャラが電柱の陰から飛び出してくる頃合いだろう。
だが、待って欲しい。天文学的に言って、主人公は何も悪いことなどしていない。
微惑星の形成
主人公は、星の変形が自分のせいだと気に病んでいる。しかし、ひょうたんのような形をした天体は別に珍しくもない。おそらく、この星はまだ若いのだ。
自分で光らない地球のような天体は、原始惑星系円盤と呼ばれる無数のチリの中から生まれる。小さなチリ同士がぶつかり合いながら、やがて岩塊へと成長していく。
国立天文台によるシミュレーションを見ても判る通り、初期の微惑星は卵形をしているものが多いようだ。
そしてある程度の大きさに育った塊が衝突を繰り返すうち、ひょうたんのような形状にくっついてしまうことがある。
ひょうたん型の天体として有名なのは、探査機「はやぶさ」が訪れたことで知られる小惑星イトカワだ。イトカワも、大小二つの岩塊がぶつかったことで現在の形状になったと考えられている。
ただし、衝突のエネルギーがあまりに大きいと二つの岩塊はドロドロに溶けてしまう。ひょうたん型にくっついたのであれば、それこそが軽微な衝突だったことの証左と言えるだろう。
住民に大きな被害がなかったことは幸いであった。
星は重くなると球に近づく
惑星の重要な定義の一つに「自身の重力によって静水圧平衡に達していること」というのがある。
平たく言うと、星は重くなるにつれ勝手に丸くなる性質がある。つまり、球でない星は充分な体力が備わっていない。
無理を押して他人にせんべい配ってる場合じゃないのだ。
自転軸のぶれと昼夜バランス
だが、希望はある。
安定的な軌道を確保することが出来れば、計算上、周囲の位置エネルギーを無理のないペースで利用できるようになる。
ただし衝突を繰り返す過程でどうしても自転軸がぶれるため、住民はしばらく昼夜のペース配分に悩まされることになるだろう。この時期の天体において、睡眠障害は特有の風土病と言えるかも知れない。
ともあれ、ここまでの星の成長過程に特別の異常は感じない。このまま順調に管理を続けていけば、おそらく星は自然と球体に育っていくだろう。
いち天文ファンとして、生真面目な星の神様がゆっくり休めることを願うばかりである。
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