誰かの5000兆円で、みんなの老後資金2000万円がチャラになる

5000兆円ほしい。

誰かの5000兆円で、みんなの老後資金2000万円がチャラになる

阪急電車の企画「ハタコトレイン」の中吊り広告が話題…というか炎上している。

働く人を応援する趣旨で掲載された「はたらく言葉たち」の内容が、大衆感覚にそぐわないというのだ。

月50万で生きがいのない生活

阪急電鉄広報部の発表によると、「はたらく言葉たち」は全部で80パターンくらいあるという。中でも、ネットでやり玉に挙がっていたのは次の一節だ。

毎月50万円もらって毎日生き甲斐(がい)のない生活を送るか、30万円だけど仕事に行くのが楽しみで仕方がないという生活と、どっちがいいか。

作者は80代の研究職とある。この世代が現役だった30年前の給与水準は、確かにそんなもんだろう。しかし今の給与水準から言えば恵まれた待遇だという意見も判る。

しかし本稿では、この給与額の妥当性についてジャッジするつもりはない。全ての言葉は、文脈から切り離された瞬間に原義を失うからだ。

もしも5000兆円貰ったら

一方、Twitterでは「やりがいのない50万円より5000兆円の不労所得がほしい」といった意見も散見された。

わかる。私も遊ぶように稼ぎたい。ちなみに5000兆円とは、インターネット上で定着した「途方もない大金」を意味する慣用表現のことだ。

せっかくなので、赤の他人からポーンと5000兆円貰える妄想でもすることにしよう。

宵越しの金はなんとやらでパーッと使ってしまいたいところだが、基礎控除額を超えているため残念ながら贈与税の課税対象である。納税分を残しておかないと翌年の税金が払えない。しかも延滞すると利子税がかかる上に担保を要求される。5000兆円の担保なんて無理に決まってるだろう。あぶく銭が入ったと調子に乗っていたら、税金で首が回らなくなってしまう。

ちなみに高給取りが退職してしばらくのんびりしようと思ったときも、翌年の住民税に気をつけろ。(突然の長井秀和)

ともあれ、降って湧いた5000兆円には贈与税の最高税率55%が課せられる。つまり予定納税額は約2750兆円だ。正味の手取りは残りの2250兆円である。無慈悲なり。

しかし人生100年時代、20代で2250兆円を手にすれば毎年30兆円も使える。ただ残りを普通預金に突っ込むと、銀行が破綻したときペイオフで1000万しか戻ってこない。小分けにしたところで焼け石に水なので、投資に回すほうが得策だ。元手がデカいので、元本割れさえしないよう気をつけていれば良い。ガッチガチに手堅い運用をしていても、一日あたり1000億円程度の交遊で目減りすることはない。

もしも5000兆円貰えなくても

一方、取りたてた贈与税2750兆円の行方も考えたい。

2750兆円というと、主要国の年間国家予算を全部足したほどの規模になるだろうか。どこかの国の年間予算ではない。地球の年間予算だ。これだけの金があれば、国債に頼る必要はなくなるだろう。長年の借金体質から抜け出せて万々歳だ。

ちなみに現在の日本人口1.27億人で山分けすると、一人当たり2000万円ちょいに相当する。なんと、将来に備えて貯めとけと口うるさく言われてる老後資金の財源も余裕で確保できてしまう。

おまけに5000兆円氏が原資を減らさない範囲で運用と消費を続けると、最低でも毎年7兆円以上の所得税および消費税が期待出来るだろう。5000兆円氏が一人いるだけで、日本の社会問題があっさり解決してしまう。

多少のインフレは予期されるが、これだけ金が回ってればそれほど問題ないだろう。人生この先も長い若年層は、元々貯蓄が少ないし。

誰に当選しても恨まないから、どっかに5000兆円落ちてねぇかな!

5000兆円ってどれくらい?

せっかくなので、5000兆円のスケール感についても考えておきたい。

5000兆円すべてを1円玉に換算すると、重量にして50億t。厚さ1.5mmとして積み上げた高さは75億km、冥王星に届くほどの距離となる。光の速さで端から端まで7時間かかる距離だ。5000兆円ヤバい。

おっと、地球のアルミニウム総埋蔵量が6千万トンとかいうツッコミはなしだ。

太陽系
冥王星、載ってねぇし。

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1molまじヤバい(語彙力)

金は天下の回りもの

結局のところ何が言いたいかというと、大金持ちの豪遊はみんなを幸せにする。よって金持ちを妬んではいけない。

大金持ちの皆さまにおかれましては、どんどん利益を出してバンバン遊び歩きまわってくれください。

金は天下の回りものであるからして、つましい庶民も庶民なりに金を使っていく所存である。

ハーバード白熱教室講義録+東大特別授業〔上〕 / マイケル・サンデル

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当時の世相に照らして、本稿と対になってる真面目な話も書きました。