パンダの着ぐるみ健康法

二回りくらい大きく見える服を選ぶのがコツです。

パンダの着ぐるみ健康法

サンプル数が1なのだけど、私の主張を聞いてほしい。

冬にパンダの着ぐるみを着ると健康になれる。

集中力が増す

正確に言うと私が着ているのはパンダの着ぐるみではなく「パンダ風パーカー」なのだが、毛足が長い起毛素材なので当社比20Kgくらい太って見える。

パンダの頭部を模したフードを被れば、目に映る自分の手元だけがこの世の全てだ。外野が完全に視界から消えるので、純粋に作業に集中できる。

競走馬が他の馬をスクリーンアウトするために被るマスクと同じような効果があるのだろう。

暖かい

これはぜひ主張しておきたいのだが、モコモコの服は非常に暖かい。

何を言ってるんだと思うかもしれないが、これまでルーズな服は体型を崩す元凶だと信じていた。そのため、あまり大きめの服を着たことがなかった。

改めて考えるとサイズがぴったりの服は体積に対する表面積の割合が広い。通気性の良い素材だと中の暖気が抜けやすい構造と言えるだろう。

逆にブカブカの服は、厚い空気層が体を覆うので比較的外気の影響を受けにくい。

冬でも汗ばむくらい基礎運動量が多い人の場合、蒸散による皮膚表面の温度低下を緩衝することにもなるはずだ。

自然と食事量が減る

以上の理由により、タイトな服は保温性がやや落ちる。ついつい小まめに動くなど、無意識のうちに体を温める努力をしてしまう。そのぶん食べても太りにくくはあるのだけど、体力ゲージが地味に削れていくのを止められない。

一方、保温されていると追い炊きするように食べる必要がなくなり、必然的に摂取カロリーが少なくて済む。

自己肯定感が増す

20Kg太って見える服を着ているのだから、脱げば当然20Kg痩せて見える。

長年の運動習慣があると筋トレしようがジョギングしようが体形がほとんど変わらないので、服を1枚脱いだだけでまるで別人になれるのは正直かなり新鮮だ。

周りにガチトレーニング勢がいると多少腹が割れてるくらいじゃ誰も褒めてくれないからな。自分で自分を褒めなきゃやってらんないっス。

注意点

モコモコ健康法を実践するうえでの注意を二点ほど挙げておこう。

まず一つめは、重ね着の枚数はむしろ厳選すること。

運動機能を維持するための保温が目的なので、体の動きを制限するほど着ぶくれたら本末転倒になってしまう。野外での防寒とは目指すところが異なるので、風のない屋内に限定したインナー選びを心掛けたい。

さらに言うと、脱いだときダイレクトに体の線がわかる状態だとなお効果的だ。現状を直視することは、いい意味でも悪い意味でもやる気が出る。

メガネっ娘が実は美少女だったりするように、毛刈りをしたポメラニアンが気づけばチワワになってるように、パンダの皮を脱ぎ捨てた人類は華麗に変態するべきなのである。

パンダパーカー背中

あともう一点。

パンダが好きな人の前で決してパンダ姿を見られてはいけない。パンダファンは、世に出回るパンダグッズの白黒模様が正しいかどうかをチェックせずにはいられない性質がある。うかつにニアミスするとお互い不幸になるだけだ。

原理主義的なパンダファンは、肩を斜めに切り替えたラグランスリーブのパンダ服にさえ文句を言う。ラグランスリーブは服のデザインとして相当パンダコンシャスの部類に入るだろう。いくらなんでも評点が厳しすぎる。

パンダパーカーの着用は、肉体的には楽が出来るが精神的にはタフである必要がある。どちらをとるかはあなた次第だ。

カバーオール パンダ