昨日カピバラはモルモットの仲間だという話を書きましたが、それに先駆けてWikipediaを見に行ったらスゴイこと書いてありました。
食用のため、バチカンでは魚類に分類されている。
なんと、クリスチャンにとってカピバラは魚類なのだそうです。
へ…へぇ…。
英語圏でもカピバラ魚類説は話題になっているらしい
保守層における進化論の浸透度が今ひとつ判りませんが、とりあえず軽率に創造論をdisることは避けて客観的な検証を試みます。
取り急ぎ検索窓に capybara catho… と入力したところで『capybara catholic church fish』と先読みで補完されました。なんと、カピバラ魚類説は世界的な関心事だったのです…。(^^;
とりあえず出てきた検索結果は英語版のYahoo!知恵袋だったりネタサイトだったり、まとまった記述がないので、Wikipediaでも見に行くことにしました。
それらしい記述を見つけたので該当箇所を引用します。
四旬節の期間中、南米~特にベネズエラで~カピバラ肉は大変人気がある。カトリック教会は、特別な摂理によって、そうでなければ許されないカピバラ肉の摂取を許している。
Capybara – Wikipedia, the free encyclopedia セクション”Conservation and human interaction”より抄訳
あ、なるほど四旬節か!
カトリックの風習という事でイタリア語でカピバラの資料探し
四旬節(=レント)は、キリスト教における重要な行事のひとつです。
カトリックの話だし、もしかして英語よりイタリア語のほうが資料が充実してるんじゃないですかね。そこで同じWikipediaでもイタリア語版に飛んでみたところ、案の定色々書いてありました。
なお、おちさんイタリア語わかんないのでYahoo!のマルチ翻訳に放り込みます。
XVIII世紀に魚にカピバラの肉を確かめて、四旬節の間にその消費を許すために確かな、南アメリカのindiosesで必要なものに応ずるために、カトリック教会。
そのような決定の口実は、カピバラが水(それでも彼らがきわめて政治的だったというそのような決定上の理由)の中で大部分のその時間に渡す考慮でした。 彼らがプランテーションを荒廃させたので、カピバラは実際ヨーロッパの農民から締め出されました、しかしそれなしで、あなた/彼らが使われたか、何らかの方法で消費されました: 髪は、それ、あまりにたくさんスポンジ状の皮膚、脂肪と味気のない肉の毛皮を作るにはあまりに、非常にやせています。 それでも、あなた/彼らはindiosesによって有り難かったです、それはそれの彼に食事させるために常に彼らを追いました、そして、彼らはその時この自由な多量の楽しみました。
殺されたカピバラの同じ多量、そして、使っていないしかし変わるindiosesの文化に理解できる少し耐えられるカトリック教義と少数派によって課される四旬節の断食の指針を作られるそれ;したがって、教会に提案される伝道のイエズス会士(齧歯動物の肉の消費を許すために反乱と変節を避ける目的による)。 提案は、肉によって節制の原則により多くのinusualis derogheのカピバラ1を作って歓迎されました
Hydrochoeris hydrochaeris – Wikipedia セクション”Curiosità”より
…おうふ…。orz
キリスト教の文化背景を元にカピバラ肉の件を超訳
学生時代に取った宗教史の知識を元に、前章の引用部をざっくり超訳してみます。
『中世の南米に入植したヨーロッパ人は農地を荒らす害獣としてカピバラを駆除したが、その品質が彼らの要求を満たさなかったので食肉や毛皮として利用されることはなかった。その一方で復活祭までの一月あまりはキリストに対する服喪期間とされレント節と称して断食もしくは肉食禁止などの食事制限が課せられる。
古くからカピバラを利用していた先住民にとってこれは理解しがたい内容であり、布教のネック、ひいては暴動の危険と紙一重であった。
そこでイエズス会は、カピバラが水中で多くの時間を過ごしていることを口実に『カピバラは魚類である』との承認を与え、本来肉食が許されないレント中にカピバラ肉の消費を可能にするという、極めて例外的な措置をとったのである。』
…と言う感じでしょうか。
【追記 : 2013/10/20】
カトリック文化圏では、レントの肉食禁止より派生して、金曜日になると魚を食べる習慣があるのですね。
リア王の1幕シーン4に “to eat no fish”(魚を食べない=プロテスタントである)
なる表現があるとか。
カピバラ肉は鰯と豚肉を混ぜた味がするらしい
また、似たようなカピバラ肉の話はNYタイムスのWEB記事にも載っていました。
「NYタイムス:ベネズエラで齧歯類はごちそう(PP6-7)」
カトリック教会はレントの間の肉食を禁止したものの、多くのベネズエラ人はカピバラが肉より魚に似てると主張し(て許可され)ました。
それはカピバラ肉の塩漬けが鰯と豚肉を混ぜたような味である事とも関係があるでしょう。言い伝えによると魚肉認証の後押しとなったのはカピバラが『chigüire(chee-GWEE-reh)』という発音だったからとも言われています。
In Venezuela, Rodents Can Be a Delicacy – New York Times
うっわ~、ダジャレかよ!
【memo】
何の言葉にかけてるのか、色々調べても良く判らなかったんですが、聞いた話によると釣り具に「シグレ」と言うセミ型ルアーがあるんだそうですね。
「蝉 釣り」である「cigarra pesca」(スペイン語)で検索したら確かに海外製ルアーがいろいろ出てきたので、セミと魚を連想させる線はそれなりに成立しそうです。(konkazueさん感謝!)
…それにしてもカピバラ肉って鰯と豚を混ぜたような味がするんですねぇ。南米でモルモット食べてきた人は鶏肉みたいだって言ってましたけど、実際のところどうなんだろ。
日本でウサギを○羽と数えるのもお坊さん発祥だし
…というところで思い出すのは中近代の日本におけるウサギの扱いではないでしょうか。
なんで哺乳類であるウサギを鳥のように数えるかと言えば、僧侶が獣肉を食べるのが許されなかった時代に「後ろ足で立って羽(←耳)があるんだから鳥だよね鳥!」とかゴネた名残なので、こういうのは世界的に見ても良くある話なんでしょうね。
小笠原製粉 カピバララーメン(ゆず風味しょうゆ味) 90g×12個
日本における食用カピバラ。なんでユズ風味かというと「カピバラと言えば温泉」だからだそうです。 |
【追記 : 2013/09/18】
書き上げてから知りましたけど、この話題を追っている人はそれなりにいるようですね。日本語と英語でそれぞれ「個人の憶測ばかりで公文書が見当たらない」と言う主旨の書き込みを見つけました。
確かにバチカンの公式見解集にあたるものは出版されてて閲覧可能とは言え、これって正史には載らないタイプの話なんじゃないかなぁ。バチカンのことだから、探せば当時の記録も残ってるとは思いますけどね。
【追記 : 2014/03/22】
バチカンに眠る膨大な手書き文書を、日本のOCR技術でデジタル化することが決まったそうですね。カピバラの話もいつか活字で読める日が来るかもよ。
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