月齢表示つきのカレンダーをめくっていると、満月と十五夜が別の日に書いてあったりします。思わず誤植を疑ってしまいますが、誤植じゃなければ合ってます。
必ずしも十五夜と満月は一致しないものなんです。…というか結構ずれます。
じゃぁ、十五夜と満月ってどう違うの? そしてより丸いのはどっちなの?
十五夜とは旧暦15日の晩のこと
辞書で「十五夜」を引くと、次の二つの意味が出てきます。
広義には「旧暦15日全般」を示し、特に中秋節の代名詞となった感じですね。
なぜ「15日の夜」を示す言葉があるのか
ではなぜ「15日の夜」なんてものをわざわざ指定する必要があるのでしょうか。それは旧暦15日といえば満月が昇る日だからです。
おや、冒頭で満月と十五夜は別物と言ったのにおかしな話ですね?
新月は旧暦1日のこと
話の切り口を変えます。
昔は新月のたびに「月が新たに誕生した」という考え方をしました。そのため、旧暦では新月の日を月が始まる日と数えます。「月立ち」→「ついたち」です。古典好きな人なら朔日(さくじつ)とも言うのをご存じでしょう。
一ヶ月における月の満ち欠けを「朔望月(さくぼうげつ)」と呼ぶのもこの流れです。柑橘類のハッサクは「八月朔日ごろから食べられる」のが由来とか。
そんな「新月から数えて15日目の夜が十五夜」です。満月は「一ヶ月の半分が過ぎたところ」というイメージですね。
旧暦では月の形で日付が判る
このように、月を基準とする旧暦では「月の形」と「時間の経過」がほぼ一対一対応になってます。つまり
という位置づけです。印刷されたカレンダーなどない時代の話だということを考えると、なかなか便利なリマインダーと言えるでしょう。
英語も同じ発想ですし、毎日月を眺めてたらみんな同じことを考えるんでしょうね。
満月とは月が地球の反対に来ること
一方、満月は「月が太陽の反対に来る」ことを示す現象です。満ちた月、欠けてない月のこと。
月の満ち欠けサイクルは24時間だと割りきれない
ここで月の満ち欠けが完全に地球の自転とシンクロしてれば十五夜=満月となって「めでたしめでたし」だったんですけど、残念ながらそう都合良くは出来てません。
実際の月の満ち欠けは29.5日周期と端数が出るので、その影響で満月の瞬間は15日目になったり16日目になったり微妙にずれます。
結論:丸いのは満月
…と言うことで、まん丸い月は「満月」のほうでした。
ただ、最も満ちる瞬間から半日以内なら「満月前夜の十五夜」も満月と考えて問題ありません。日付としては翌日でも夜としては一続きなので。
そもそも日付の区切りが今と違う
あとこの問題に関して誰も触れないんだけど、実は一番重要な話。
そもそも昔の人が日付を切り替えるのは深夜0時じゃなくて日の出の瞬間です。古語で「あした」が「朝」を意味するのはそのため。
朔日である新月は太陽と同じ位置にある。その太陽と月が同時に昇ってカレンダー月が始まる。現代の時計とは日付感覚そのものが違います。
太陽と共に昇った月が、ちょうど入れ違いになるまで14.8日。丸15日が経過した時点で16日の朝を迎えます。だから、よほどの例外がない限り旧暦の十五夜は満月で合ってます。
太陽暦へ切り替えたときにパラメータが分離して、今のカレンダーで見ると別の日に見えてるだけで。
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