ツインテールの歴史的考察および女装男子が流行るべき3つの理由

ツインテールの文化史です。(キリッ)

ツインテールの歴史的考察および女装男子が流行るべき3つの理由

2月2日といえばツインテールの日です。ξ(・∀・)ξ

2012年、日本記念日協会により正式に(?)記念日として策定されました。

これを働きかけた日本ツインテール協会によると、この日は「男性が女性にツインテールをお願いする日」として広く知られて欲しいとのこと。

2月2日ツインテールの日

男性の皆さん、ツインテールの日に心惹かれる女性に2本のゴムを渡しましょう。
女性の皆さん、もしあなたに彼の気持ちを受け止める心があるのならツインテールで応えましょう。

うん、でもちょっと待って。そんなにツインテが好きなら、自分でやればよくない?

女性の髪型と近代史

日本女性が髪を二つに結ぶ習慣を得たのは、割と近代になってからという認識です。

文明開化とヘアスタイルの変化

歴史をひもとくと、日本女性のヘアスタイルが多様化した転換点は明治時代。洋装が導入されて以降です。

もっとも、そのころの女性に支持されたのは「まとめ髪としてのアレンジ」が中心でした。
国立国会図書館デジタルコレクション – 洋式婦人束髪法(明治18年)

大正時代になるとさらにバリエーションが増え、髪を下ろすスタイルも増えていきます。一方、都市部では「モガ」としてボブやショートも流行してました。

三つ編みのおさげ

女子生徒の象徴ともいえる「左右の三つ編みおさげ髪」が一般化したのは、昭和に入る頃と言っていいでしょう。雑誌『主婦の友(昭和5年)』によると、このころはまだ「三つ編み」ではなく「三つ組み」と呼ばれてたようです。

そういえば昭和初期を描いた『この世界の片隅に』でも、尋常小学校時代のすずが三つ編みおさげ髪でしたね。

この世界の片隅に こうの史代

編まないおさげ

三つ編みをせず左右に結ぶだけのおさげ髪が一般化したのは、ゴム紐が十分に普及した昭和中期ごろと思われます。

そして、こんにちツインテールと呼ばれる「高い位置での二つ結び」が広まったのは、さらに時代を下った昭和後期と見ていいでしょう。(それ以前に結われていた可能性も当然ありますが、当時の報道写真を見る限り高度成長期以前の例は限定的に思えます。)

また昭和後期の高い二つ結びは「むしろ地味っ子の髪型」という声も複数寄せられました。現在的な文脈で言う「かわいいツインテ」は、平成に入ってからの文化ではないでしょうか。

一連の流れは、アイドルの変遷を追うことでもある程度の裏付けになると思います。

また、まげを結わなくなった明治以降でも、髪を遊ばせるのが主に少女期のみというのは興味深い習慣でしょう。どの時代でも、年齢に従って髪をまとめるようになります。髪質や生活習慣の変化で自然とそうなるんですけど。

ツインテール男子の歴史

一方、二つ結び男子の歴史はかなり古い。

古墳時代の倭人文化である「みづら」にさかのぼると、耳の周辺で髪を縛ったところからのバリエーションが非常に豊かだったことが判っています。

倭人男性の髪型(みづら)

古い時代には鋏がありませんから、基本的に髪は剃るか伸ばすかのどっちかでした。多くの国と地域で男性の長髪が一般的だったのはそのためです。

その区別から、髪型は性別ごとに全く違うスタイルへと分化します。

古墳時代の女性の髪(古墳島田)

さらに年齢や社会的地位による細かなアレンジもありました。髪型と肩書が連動しており、遠目からでもどういう人か簡単にわかるシステムです。

具体的な詳細は、古代の文化考証に詳しい逆名さんのサイト「一寸海溝日記」をご覧になるのが良いでしょう。上の挿絵を描くときの参考にも(というかほぼ模写)させていただきました。
一寸海溝日記

ツインテールが示す意味

セーラームーンなどからジワジワ火が付いた現在のツインテール人気ですが、3次元女子にとってのツインテールは時代や地域によって少し印象に幅があるようです。

ハイカーストのためのツインテール

私の中学時代、今でいうツインテールは かなり人を選ぶ髪型でした。

それというのも、髪ゴムを結べる高さは学内での地位と連動していたからです。つまりツインテールは学内でも目立つタイプの子、いわゆる「スクールカーストの高い子」だけが結えるという暗黙の了解がありました。

賢明な読者はお察しの通り、地元はズブズブのヤンキー土壌でござる。

ご近所物語 矢沢あい

高校大学と進学しても同世代の人には割と感覚的に分かってもらえてたので普遍的な事象だと思ってたんですが、Twitterでアンケート取ったらめちゃくちゃ少数派で全私が泣いてる。

ツインテールの印象アンケート

考察と結論

世間一般にツインテールは地味っ子でも結べる髪型だそうですが、アニメや漫画に出てくるツインテ娘は基本的に気が強かったり異能の者として描かれてるように思います。

だとすると髪型や見た目でキャラクターのステータスを表現するアニメ的な技法は、近代よりも古代から脈々と受け継がれてきた伝統性にあると言える。

少なくとも明治から続く女性性の段階的変化より、ミッシングリンクとしての平成ヤンキー文化のほうが親和性は高そうです。

つまるところ隔世的な源流は、太古の神秘性が憑依した男性性にある。(論理の飛躍)

  • 一部女子にとってツインテは好印象でない
  • とくに成人女性には心理障壁が高い
  • 伝統的ツインテは男子の髪型

つまり、普段からツインテをしない女性に無理にお願いしても嫌がられるだけという気がしますよね。

…ということで、男性がツインテをしても許される日にしたほうが、より建設的ではないかなと思うのでした、まる。(´ω`*)

ウルトラ怪獣 ツインテール

男装の麗人に女装する系男子。