天才をクローン培養させたときに神童が生まれる確率

遺伝子の話もどき

【概要】

 常人には得がたいほど有能な者を神と呼ぶことがある。この者が配偶者を得て子をもうける場合、子が突出した才能を有するかどうかは成長するまで判らない。

 一方、神がかった人物にはある種のモノアミン神経伝達物質が過剰に分泌することが判っている(Tequituo, Deschedone et al. 1998)。こうした人物からクローン胚を生成すれば突出した人材が量産できるのではないかと言う仮説が立つだろう。

 そこで、条件を満たす被験者の試料から減数分裂によって生成される全223乗通りの配偶子を得たのち、この自家交配の結果である約35兆パターンの胚についても天才性が発現するかどうかを調べた。

減数分裂の仕組み

 中でも、元の被験者と同じ遺伝情報となる配偶子の組み合わせを特にクローン胚とする。

材料と方法

 試料は被験者の頬の内側組織を金属ヘラにて採取した。

 細胞混濁液より不純物を除去してDNAシークエンシングを行う。ここで1組23対(2n)の染色体構成を便宜的に Mn ={Mn1 ,…, Mn23}と Fn ={Fn1 ,…, Fn23}に分け、減数分裂によって作られる配偶子839万種のパターンを求めた。このとき、交叉による遺伝的組み替えは発生しない。

遺伝的交叉・キアズマ

 iPS細胞化した試料に対し、一対の配偶子を再帰的に導入することで約35兆通りの受精卵を得る。それぞれ培養したのち、蛍光物質などを用いて神経伝達の流れを観察するものとする。

 なお、一連の経過を記録するに当たっては、n=23であり1bitを誤り訂正符号とする24bitデータ・ラメ型 多段ベクトルDBを採用している。

結果

 蛍光反応は個体によって有意な閾値が見られた。先天的に神童と言えるものの組み合わせは、概ね800万通りである。天才性を有する胚は元の遺伝情報と近い個体に集中した一方、クローン胚における形質の再現性は必ずしも高くなかった。

ここで配偶子が223乗通り (=N) あるときの組み合わせは約35兆通り (=(N2+N)/2) であるが、重複を許せば70兆個 (=N2) 通りとなる。そのため全体から見た自家受精での神童発現率は 0.000011% とわかった。

考察

元の遺伝情報Pと新たに作った遺伝情報Qの類似性は、カルバック・ライブラー情報量として離散的に求めた。(Kadoukawa, Waccanneiyo 2005)

 一方クローン胚において厳密に同じ形質を再現しないことは、交叉による偶発的な遺伝情報の変化や個体を取り巻く環境が影響するものと思われる。

結論

 神がかった才能には八百万の神を生む力があるが、その発生確率は最大でも10万分の1と決して高くない。つまり遺伝によって新たな神が生まれることを期待するのはあまり効率的でないことが判る。

 しかしながら神業を間近に見る環境は後天的な能力開発に大きく寄与すると考えられるため、今後は適切な努力と指導が能力の開発に与える影響について調査していきたい。

謝辞

 本研究に関して、執筆の動機を与えて下さったワタヌキ氏に深く御礼申し上げます。

おわりに

減数分裂の組み合わせ計算って情報屋さんだと割と暗算できるよな」とか、「223乗って800万と近似してるな」って思って始めたんですけど、相変わらず破壊力が足りませんでしたよね。

減数分裂の仕組みについては↓このへん↓見ると判りやすいです。

生殖細胞のでき方 ~遺伝子のバトンタッチ~ – NHK高校講座