盗まれた1万円のロードバイク、女子高生が使った時価千円の下着

ロードバイクの窃盗事件で「1万円相当の自転車」と報道された部分に多数のツッコミが入ったことについての観察記録です。

盗まれた1万円のロードバイク、女子高生が使った時価千円の下着

「盗んだロードバイクで大阪~青森900Kmを走破」なるニュースが飛び込んできました。

大阪で盗んだロードバイクで青森に移動…その距離900キロ 「3日間食わず」 横浜の家出少年を逮捕 – 産経WEST

家出中の無職少年(18)が、男子高校生(15)の所有する一万円相当のロードバイクを盗んで逃走した疑い、とのことです。

Twitter見てたら「900kmすごい」って反応が多い中、自転車クラスタが軒並み「一万円のロードバイク…?」って部分に言及してて超ウケる。

実際、スポーツバイクって安物でも6万以上しますからね。

15の夜 尾崎豊

窃盗事件の被害額

窃盗事件で発表される被害額とは、購入額ではなく評価額です。…と言うことは、一般に次の式が成り立つでしょう。

購入額 >> 被害額

具体的な算出方法は「お巡りさんのみぞ知る秘術」でしょうけど、感覚的には「中古下取り価格の下限」くらいの認識です。

購入額 > 中古販売価格(プレミアなし) > 下取り価格平均 > 被害額

…みたいな感じ。

ただしこれは刑事事件の場合で、「それ自体の価値」を争う民事訴訟の場合は売値に近い額な気がします。(個人の印象です)

減価償却試算の例

具体的な警察の評価式が判らないので、一般的な資産における減価償却計算をしてみます。

自転車の法定耐用年数は2年ですから、定額償却における償却率は0.5。購入額が10~25万円の自転車を23か月使った時点の残額は一万円前後になるでしょうか。

被害額の実情

…以上のような話をTwitterでしたところ、次のようなご意見を頂きました。

「ちゃんと算出することもありますが、被害届を出す段階では言い値に近いことも多いですね(購入した段階で購入価格の5〜7割になり、古くなるほど下がる、ぐらいのアドバイスはします」

…あらそうですか。でもこれはこれで実感に沿ってますね。相応の納得感があります。
※普段ならソースを貼るところですけど、今回は先方保護のため伏せます。

衣類の時価評価額

だがしかし、本件は意外な流れに舵を切るのです。

一連の流れで「下着ドロの被害品『ブラジャー、時価3,000円』とかなのもこういうカラクリです」なるご意見を頂きました。さらには「あれのせいで女性の下着の価格を実際よりかなり安いと思っている男性は本当に多い」とも。

確かに女性用下着って結構なお値段がするんですけど、私は「古着の割には高額査定だよなー」って思ってました。(;・`д・´)

そこで女性用下着の被害額を検索したところ、1点あたり千円が最頻出値であるらしいことを理解しました。

待って待って?この「千円」の内訳をショーツに限定しても、「ロードバイクが1万円」との対称性を保ってないですよね?

被害女性が淡々と調書を取られてる場合は被害額100円として処理されたケースもあったので、査定額には性的搾取に対する潜在的苦痛が加味されてることは想像に難くありません。

うーむ。

私だって下着泥棒に遭ったら気持ち悪いと思うんですけど、下着が三千円ならロードバイクの評価だってもう少し上げてやって欲しい。

車両盗難は軽微な罪か

自転車乗りは、常に前輪やサドル盗難を気にしながら駐輪してます。必要に迫られて盗まれるなら諦めもつくけど、悪ふざけとしか思えないような外され方をすると金額以上に腹が立つ。

だがしかし、車両盗難からの900Km逃走は、もしかしたら自分が被害者でも赦してしまうかも知れません。だとすれば、必要に迫られた車両盗難は軽微な罪と言うことに!?

うわー、めっちゃモヤモヤする…。(;´Д`)

結局のところ何が言いたかったかというと、警察発表による『1万円相当のロードバイク』は『販売価格が1万円とは限りません』と主張したかったのでした。

「1万円のロードバイクあったら欲しいわ~」というコメントを多数見かけましたが、仮に同じグレードの自転車が中古で売られていても実売価格は大幅に異なる可能性があります。

それと女性用下着は男性物より遥かに高価です。乱暴に扱うと地味に恨まれたりしますので、男性諸氏はくれぐれもご注意下さい。

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軽微な犯罪

【2017/02/19 本章追記】微罪処分の基準に関して資料を教えて頂いたのでメモ。

犯罪捜査規範(昭和三十二年七月十一日国家公安委員会規則第二号)

(微罪処分ができる場合)
第百九十八条  捜査した事件について、犯罪事実が極めて軽微であり、かつ、検察官から送致の手続をとる必要がないとあらかじめ指定されたものについては、送致しないことができる。

同様に、以下は平成17年に発令された広島地検による県警への通達文書です。

【PDF】送致手続の特例における微罪処分手続について(通達)

被害額がわずかで(おおむね20,000円の範囲内 ,かつ,犯情軽微であり, )盗品等の返還その他被害の回復が行われ,被害者が処罰を希望せず,かつ,被疑者に前科・前歴がなく,素行不良者でない者の偶発的犯行であって,再犯のおそれのない窃盗,詐欺又は横領事件及びこれに準ずべき事由がある盗品等に関する事件

多少の地域性はあるでしょうが、2万円が分水嶺なんですね。でも移動のための車両盗難より、サドル外しの愉快犯を厳罰化して欲しいことに変わりはないのだ!(ಠωಠ)