ここ数日、「薬局に”お薬手帳”を持参しない方がお得!」…なる記事がネットを賑わせているようです。
確かに表向きお薬手帳持っていくと小銭を請求されるんですけど、薬剤師さんと密にコミュニケーション取れると結構得することが多いよ~って思ってるのでちょっとメモしときます。
お薬手帳を使うと損をする!?
一回20円の積み増しでそこまで毛嫌いしないでも…と思うんですが、一円でも余分なお金を払いたくない気持ちもわかります。
市民と医療関係者の対立構図
ぼんやりネット眺めてると、健康な若年層と医療関係者の声が聞こえてきます。
健康な若年層「風邪薬程度の説明を聞くの面倒だし余分な金は払いたくない」
医療関係者 「意識ない状態で病院に運ばれても既往歴判れば生還率上がるのに」
どっちの気持ちも判るんだけど、正直シチュエーションの噛み合ってなさがすごい。
お薬手帳不要派の主張
「お薬手帳いらない」を主張する人達のうち、多く見かけたのは以下のような意見です。
「通院は一カ所だけだから飲み合わせの危険は低いのに、二度三度の説明を受けて20円ずつ上乗せされるのは納得いかない」
「知らない人が損する制度。はっきり要らないと意思表示しましょう!」
……といったようなもの。
でも私は色々調べる中で「比較的元気な人こそ説明受けた方が得する」と思うようになりました。
おくすり手帳を利用する対価
「お薬手帳を使うと損!」と言われるきっかけになった改定診療報酬制度は以下の通りです。薬の説明代が有料になったので、薬局窓口でお薬手帳を出さないと20円安くなるということですね。
調剤薬局は患者に薬を処方するだけでなく、薬を適切に使用するための指導を行う。患者が支払う薬代にはこうした薬局の指導に対する報酬も含まれている。このうち「薬剤服用歴管理指導料」は25年度までは一律410円(自己負担は3割の場合130円)だったが、この4月から、調剤薬局で配布される「お薬手帳」への記載が不要な患者に関しては、340円(同上110円)へ引き下げられ、手帳を持参した人よりも安く済むことになった。
「薬局に”お薬手帳”を持参しない方が安くなる」と知っていた人は12.8% – マイナビニュース
薬剤師の存在意義
私は医療について何かを語る立場じゃないんですが、個人的には近代医療を信頼してます。もちろん変な持論を振りかざす医師や馬の合わない医師にも当たりますけど、そういう病院は次から避けて通れば良いのだし。
基本的に医師を信頼してるからこそ院外薬局ってすごく面倒臭いです。調子悪くて病院に行くんだから、院内調剤してくれたほうがずっと楽だと思う。
そんなときに薬剤師の友達から聞いた話て目からウロコだった話をします。
医師と薬剤師は同等の力関係
日本で医師と薬剤師を並べると圧倒的に医師の力が強く見えますが、本来薬剤師は薬の決定権に関して医師と対等の力を持ってるそうです。
つまり、病状にそぐわない処方があったら医師の決定を覆せる立場なんだとか。
実際のところそこまで強い薬剤師がいるのか判りませんが、医師の処方をみて首をかしげる薬剤師には何度か当たったことがあります。そういう薬剤師はたいてい診察の経緯を突っ込んで聞いて来たりします。処方の妥当性を説明してくれることも多いかも。
日ごろつい「医師の処方する薬を調合するだけの人」と思ってしまいますが、ダブルチェックしてくれる最後の砦だったんですね。薬局の店頭で症状の細かい話をするのも煩わしいし、とっとと調剤してくんないかなと思ったりして正直すまんかった…。
まぁ、そのプロの技術料が20円で受けられると思えば高くはないです。
お薬手帳の積極的な活用法
以下は私がやってるお薬手帳活用法です。個人の一例だと思って見て下さい。
通院して投薬されると、お薬手帳に薬の名前書いたシール貰いますね。でも、それだけだと薬の効能がよく判りません。最近は薬の効能や諸注意が書かれた紙も添付されることが多いので、私はこれも一緒に貼ることにしてます。
毎度ベタベタ貼るとかえって判りづらくなってしまうので、自分なりのルールを決めておくと良いかもしれません。
「その冊子で最初に処方されたときだけ貼る」
「手帳の末尾にまとめて貼る」
などなど。
初めて貰う薬かどうか確認する作業自体が薬の名前を覚えることに繋がります。処方された薬の薬効くらい知っておいて損はないよね。
私が薬剤師さんに相談してること
これ持って病院行って「自分自身のことだからきちんと管理しておりますの!(ドヤ)」みたいな前のめりだと後ずさりされそうですけど、普通にしてればかなり親身に接して貰えます。
ちょっとした体調不安の相談や、お医者さんに聞きそびれた話もまとめて聞いちゃえば良いと思う。
自分の体を預ける人達をわざわざ敵に回すことないです。患者として真摯な態度で臨めば十分リターンは返ってきますよ。
ジェネリック薬の相談
いちばん大きいのがジェネリック薬の相談でしょう。私はよくその処方薬のジェネリック薬全体がどれくらい成熟してるのか聞くことにしてます。
ジェネリック薬でも十分効果がありそうだったらそっちにするし、一通り話を聞いて「やっぱ処方薬で」ということもあるし。場合によっては主成分が同じ市販薬を買うときにもすごく参考になります。
飲み忘れた場合の次善策
薬はきちんと飲むに越したことはないんですけど、人間なので忘れます。その時、すぐ飲んだ方が良いのか次のタイミングまで待つか聞いとくのオススメです。
遅くなっても飲んだ方が良いのか、間が空くようなら一回飛ばした方が良いのか。後ろめたい気分抱えてると病気にも良くないですし。
何だったら教わったことはそのままお薬手帳にメモしちゃう。
現在の症状と関係なさそうな薬効について
薬の効能をよく見ると、中には意外な症状に効く薬もあります。止血剤だと思ったら口内炎にも使えたり。説明書みて変わった効能や副作用を見かけたら、これまた質問しちゃいましょう。
飲み残した薬を保管してその用途に使えるかどうかもついでに聞いちゃう。ダメって言われたらそのままお薬手帳にメモしちゃえば良いんだし。
ダメだと言われたことを実際にやったら怒られるけど、禁忌事項をメモして怒る人は普通いません。
常用のサプリは申告
私は滅多にサプリ飲みませんけど、成分によってはバッティングもあり得ます。
「私はサプリマニアだから大丈夫」って猛者もいるでしょうが、細かい部分の知識は数年前の常識が通じなくなってたりするので慎重に。実際、現職の知識量って打てば響くし感心します。
自分の知識と違うときは、いつごろから広まった説なのか聞くといいですね。
日ごろの体調不安
調剤ついでに聞けるのは1~2分の雑談かも知れませんが、日ごろの体調不良や健康診断の不安なんかも伝えておくと簡単なアドバイス貰えたりします。
特に何科に掛かれば良いのかよく判らない微妙な症状を振り分けて貰えたりは地味にありがたいです。病院たらい回しとか無駄足踏むの嫌ですもん。
薬の保存期間
さっきも軽く触れたけど、大きいのはこれ。
おおかた「医師の服薬中止診断が出たら飲み残しの薬は捨てて下さい」と言われるでしょうが、鎮痛剤や解熱剤などは少しくらい保存OKだったりします。
そしたら何かあったとき市販薬を買わずに済むので1000円くらい簡単に浮きますよ。自分専用に調剤されてるんだからメチャクチャ効きます。市販薬なんか目じゃないよ。(なので譲渡は禁物です)
しかも、ちゃんと説明受けてないと気づかない効能の薬もあるわけですし。20円ずつチマチマ100円切り詰めて1000円の市販薬を買ってたら意味ないですよね。
ただし言われた保存期限は守りましょうね。期日もメモ。とにかくメモメモ。用量用法とかも勝手に解釈しちゃだめです。転用はあくまで説明を受けた範囲でね!
そういう何げないことを受診のたびに聞いてれば、たったの20円が何十倍にもなって返ってくると思うんだけど、どーなの奥さん!
まとめ
そんなわけで、薬剤師さんをそんなに毛嫌いすることないと思います。
通院ついでなら子供の小遣いみたいな額で専門家の話を聞けるのに、それ断ってデタラメなワイドショー信じる選択ちょっと理解に苦しみます。
大した持病がない20~30代だからこそ、調剤は一カ所の薬局に集中させてかかりつけ薬剤師さん作るのも選択のひとつだと思うんですよね。
使用済みお薬手帳は防災袋へ
あと、更新した古いお薬手帳は防災袋に入れておくのオススメです。万が一のときに自分に合う薬リスト一覧なので安心感ありますよ。
病状を大声で確認する薬局はイヤだ
最後に書いちゃう「こんな薬局はイヤだ」。(^^;
最近出来た明るい感じの薬局は大丈夫だと思うんですけど、古くからある薬局はちょっと注意が必要です。
他の患者さんが並んでるすぐ横で病状や薬の名前を超ハキハキ説明して下さる薬剤師さん…いらっしゃいますね…。かなり危険ですね…。お年寄りの患者さんが多いんでしょうね…。初めてかかるクリニックで、何気なく隣の薬局に入ったのが失敗でしたね…。
個別の話は奥のブースに案内してくれるようなところもありますから、込み入った話をするときは事前に一声掛けてみることをオススメします。
薬剤師さんとの相性も含めて自分に合う薬局が見つかると良いですね。
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