2011年3月11日14時46分18秒。
東日本大震災が発生したとされる時刻、現地では止まったきり動かない時計が沢山遺されている。
ただし、それぞれの時間で。
5分の温度差
あの日、自分の察した かすかな震えが遠方で発生した地震だと確信したとき、指してた時刻は14時51分に近かった。
だけどその後のテレビが繰り返し46分と伝えるから、東京や横浜の人までもが 熱っぽく「46分」の体験を語り始めた。
つまり、マスコミが彼らの時を5分巻き戻したのだ。
縁もゆかりもないはずの町並みや海岸沿いの様子を克明に語り出す人達。まるで山手線にでも乗って、さも見てきたかのような口ぶりで。
ただ、その彼らが見てきたという真実は浅学な私の理解を超えるものだった。どうやら、科学の波打ち際で水遊びをしただけの私には到底理解の及びもつかないない物理法則が世には存在しているらしい。
常識を覆す大量発電システム、画期的な除線方法、魔法のような新技術を紐解いてみればエネルギー保存則にさえ従わない。私の信じる原則と彼らの信じる原則がどちらも真実であるならば、彼らと私の属する次元は違うものだと確かに言える。
事実、彼らは時空を越えているのだし。
だとすれば、あちらの法則がこちらの世界を変えることもないのだけど、次元の狭間でちらちらと切片が形をなすので我々の気を散らすのだろう。
いい加減、タイムトラベラー気取りは辞めたら良いと思うんだけど。
時差があること 地続きであること
週末、携帯宛にメールが届いた。
今もポケットの中にある「春になったら遊びに行くよ」の文字と、仙台にいる懐かしい友達の名前。14時51分から続く世界に暮らしてて、ちょっと嬉しかった最近の話。
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