浜の謎オブジェ「砂茶碗」は潮干狩りの大敵ツメタガイでした!

アサリの天敵ツメタガイは、砂茶碗と呼ばれる不思議な形の卵を産みます。これを見つけたら潮干狩りは絶望的だと思え!でもツメタガイ自体も美味しいらしいですよ。

浜の謎オブジェ「砂茶碗」は潮干狩りの大敵ツメタガイでした!

磯遊びしてるとたまに見かける変な物体、ずっと名前がわからなかったんですけど「砂茶碗」と言うそうです。なんでもツメタガイの卵塊とのこと。へー、ツメタガイってよくヤドカリの替え貝とかで売ってるやつですよねぇ。

なんと、アレとコレは親子だったんですね! しかもアサリとか上等なもん食ってるから料理すると美味いらしい…。(*’ω’*)

ツメタガイの卵塊 is 砂茶碗

砂茶碗

砂茶碗って名付けた人はもう天才だと思う。

サイズ比較になるものを入れてませんでしたが、それぞれが成人女性用の飯茶碗くらいのサイズです。卵塊と言っても茶碗状のそれぞれが一つの卵というわけではなく、卵自体は非常に小さいのです。どうやら砂と卵と粘液が混ざったもので出来てるらしい。

触ったときの印象は劣化したゴムに近いでしょうか。知らない人が見たら港から何かの部材が流れてきたと思うかも。少し粘り気がありつつ最後は脆く崩れるような、独特の感触です。

それにしても不思議な形ですよね。この成形過程も興味ありまくり。どうやら砂の中で卵を粘液ごと壁面に押しつけるようにして産み付けると周囲の砂と一緒に固まるようです。

ツメタガイの産卵

Learn about Moon snails & Relatives – Snail Odyssey

タマガイ科ツメタガイ属ツメタガイ(砑螺貝/津免多貝)

ツメタガイ成体

砑螺貝、「砑」という字を引いてみたら「皮のツヤ出し」とかそんな感じの意味みたいです。確かに貝特有のざら感は全くないですね。超ツヤツヤ。

肉食系でアサリ食べまくり

そしてツメタガイの好物はアサリなど貝類です。ツヤツヤの理由は肉食だからでしょうか?テントウムシなんかも肉食種の方がツヤツヤだったりしますよね。

ツメタガイの食害を受けたアサリ
Ruditapes philippinarum Predated by Glossaulax didyma】CC BY-SA3.0

確かに、こう言う穴の空いたアサリは良く見かけます。ツメタガイの仕業だったんですね。こんな堅いものを一体どうやって穴あけてんのかと思ってましたが、酸で殻を柔らかくしてから削るとのこと。

そんで今回いろいろ読み漁って知った今回のハイライト。この二枚貝の尖ってるところって一番殻が薄いんですって。構造的に見るとかなり強そうですけど、物理的に一番薄くなってる部分だから設計強度は上げていて、でも化学的に攻められると弱いわけですね…。(((( ;゚Д゚)))

ツメタガイの正体 – 史上最強の潮干狩り超人

とにかくアサリの天敵ですよ

これまで、「砂茶碗」というものを見た事があって、「ツメタガイ」の存在も知っていて、「アサリを食べる貝」がいることも知ってたけど全部同じものだとは知りませんでした。

よく考えたら「砂茶碗で遊んだ記憶」は「潮干狩りしにきたけどボウズ」とセットなのです。がーん、そら砂茶碗いたらアサリ採れんわ。のんきにビラビラ遊んでる場合じゃなかったー!><

いろんなページ眺めてる間にも、水産系のサイトで『一般の方も駆除にご協力下さい』みたいなこと書いてありましたので、今度卵塊を見つけたら浜辺で日干しにしておきます。

ツメタガイを食べてみよう

…ということで、後学のため美味しそうな料理をメモしておくことにします。
ゆで時間がレシピによって長かったり短かったりするのは貝特有の性質でしょう。さっと熱を通すかじっくり煮込めば食べられるけど中途半端だと固くなるってパターンかと思います。

ツメタガイの炊き込みご飯

【材料】 ツメタガイ – Wikipedia

ツメタガイ
昆布・鰹節
根ショウガ
万能葱
醤油・塩

  • 1~2分下ゆでする
  • サザエの要領で身を抜き取る
  • 良~く洗ってしっかり砂を取る
  • 肝と身を分ける
  • 身を細かく切る
  • 肝とダシ醤油で米を炊く
  • 炊きあがったら身を混ぜて薬味を添える

身とワタを分けてるのがポイントでしょうね。足があわび並に筋肉質なので中途半端に煮ると本当に固そう。

ツメタガイの佃煮

【材料】 ツメタガイの佃煮 – なぎさのレシピ
ツメタガイ
根ショウガ
料理酒
醤油
ざらめ

  • 10分ほど下ゆでする
  • 身を取りだして更に2時間ほど茹でる
  • 冷凍庫で保管しておく (←???)
  • 解凍して細かく切る
  • 砂が出なくなるまで良く洗う
  • 調味料を鍋にかけ煮立ったら貝とショウガを入れて煮込む
  • 煮汁が減ってきたら完成

なんで凍らせるんだろ。細胞を破砕して味を染みこませやすくしてるんですかね?

ツメタガイのエスカルゴ風

【材料】 海のエスカルゴ、ツメタガイを食べる – DPZ
ツメタガイ
バター
パセリ
ニンニク
パン粉

  • 1~2分下ゆでする
  • 身を抜き水洗いして身を切る
  • バター、パセリ、ニンニクを混ぜる
  • 身を貝に戻してバターとパン粉を載せて焼く

こ・れ・は! う・ま・そ・う! ヒュー!

イワタニ フッ素加工 たこ焼きプレート CB-P-TAF

This is Japanese エスカルゴ皿!

砂茶碗ことツメタガイについての感想

レシピ調べてたら色んな意味で「これは食わねば!」という感じになってきたので、そのうち試してみたいと思います。(割と近くに漁業権クリアできる浜辺があるので)

おまけ:タマガイといえば深海クラスタ的なアレ

あと、Twitterでツメタガイの話をしてたら深海クラスタの仲良しさんが「タマガイ科ということはスケーリーフットと何か関係が?」て話になりました。やっぱ深海生物好きとしては そこに目が行きますよね!

スケーリーフット(和名ウロコフネタマガイ)とは深海棲の巻き貝です。鉄のウロコを持つ厨二設定により一部界隈で大人気。

【関連記事】

硫化鉄の鎧をまとうスケーリーフット黒・白・龍スケ触ったよ!【硫化鉄の鎧をまとうスケーリーフット黒・白・龍スケ触ったよ!】

海の専門家JAMSTECの研究員さんにサンプル見せてもらった話。

どちらもタマガイの名を持つ点が非常に気になります。…というところで両者の比較をしてみましょう。

ツメタガイとスケーリーフットの違い
ツメタガイ スケーリーフット
腹足綱
 >新生腹足上目
 >吸腔目
 >高腹足亜目
 >タマキビガイ下目
 >タマガイ科
 >ツメタガイ属
 >ツメタガイ
腹足綱
 >アマオブネガイ上目
 >ネオンファルス目
 >
 >
 >ネオンファルス科
 >Crysomallon属
 >ウロコフネタマガイ

分類的に見ると「貝の仲間」ってところ以外は全く被りませんね。お仲間度はかなり低いみたいです~。