節分や豆まきの由来を科学する・鬼の正体から鰯の頭まで!

節分や豆まきの由来について、ちょっとだけ科学的な目線で調べてみました。イワシの頭を飾ることや「鬼は内」のかけ声には意外な理由があるかも知れませんよ。

節分や豆まきの由来を科学する・鬼の正体から鰯の頭まで!

節分とは、一年を立春・立夏・立秋・立冬で区切った前日のこと。現在、節分と言えば立春の前日を指す場合がほとんどです。

古来、この刻の節目には邪気(鬼)が現れると考えられてきました。それを払うのがお馴染みの季節行事「節分の豆まき」です。

…とか書くと、まじないじみた迷信に見えてしまうわけですが、これを「季節の変わり目に風邪を引かないよう栄養のあるものを食べましょう」に読み替えると急に普通の話になるんです!

宮中行事「追儺の儀」と鬼の正体

節分と追儺(ついな)
【左】葛飾北斎『節分の鬼』 / 【右】『吉田神社追儺』-都年中行事画帖

鬼というと、物語に出てくるような妖怪を考えてしまいがちです。鬼の正体には諸説あって、たまたま漂着した白人とすることも(巻き毛で毛深く肌が赤いことから)。

しかし、節分豆まきの元になった宮中行事「追儺(ついな)」の由来を辿ると、鬼の正体は病魔であることが判ります。

国立国会図書館デジタルコレクション – 鬼の研究 : 鬼の系譜論的な考察と民俗像(PP198-199)
1.追儺行事の沿革

「是年。天下諸国疾病。百姓多死。始作土牛多儺」

(国史大系2『続日本記』P27)と、『続日本記』文武天皇慶雲3年(706)12月の条にあり、これが日本における追儺関係行事の文献上の初見である(河鮨実英「追儺」『学苑』1970・P96)。極めて簡単な記述だが、深刻な疫病の流行が原因で土牛を作って疫鬼を追い払ったことが分かる。

熱で赤くなったり、血の気が引いて青くなったり。症例によっては皮膚が腫れ上がったり、脳に影響が出れば人が変わったように変貌してしまうこともあるでしょう。

豆まきと桃の枝

季節の変わり目は、思いがけず肌寒い思いをして体調を崩しがちです。風邪で命を落とすことも珍しくなかった時代、病魔退散の儀式をしても不思議はありません。

鬼を追い払う豆は「魔を滅する」ことから使われるようになったと言います。他方、京都の石清水八幡宮のように桃の枝を使って邪気払いする地域もあります。

桃の霊力は古事記の記述が有名です。イザナギが黄泉比良坂(よもつひらさか)の麓で雷神たちに襲われたとき、桃を投げつけて追い払ったとされてますね。

古く豆や種には生命力が宿っており、魔物を押さえる働きがあるとされました。こんにちでも桃の種は「桃仁(とうにん)」として消炎剤に使われるそうで、流行病の対抗策に良さそうです。

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流行病の恐怖が味わえます…。:;(∩´﹏`∩);:

なぜ豆は数え年のぶんだけ食べるのか

節分の折には、炒った大豆を数え年のぶんだけ食べると言われてます。

栄養があるのだから好きなだけ食べれば良いと思うわけですが、豆をあまり大量に食べるのはオススメしません。大豆には結構強い毒があるからです。

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人間の胃袋がいかに最強かをしみじみ考えさせられるエッセイ。

もっとも有害なのは生豆の話で、火を通せば大丈夫です。市販の炒り豆も美味しく頂けます。

ただ、家庭で美味しい炒り豆を作るの地味に難しいんです。豆を炒った事がある人は分かると思うんですが、焦がさず芯までかりかりに炒るの結構大変。

丁寧に炒ったつもりでも芯に苦みが残りがちだし、苦みがあるようだとお腹を壊すことがあります。そんな理由から「あんまり食べすぎるなよ」というメッセージを込めたのでしょう。

ギンナンやらコーヒーやら、年齢と摂取量がセットになってる食品は大抵おいしいけど食べすぎると良くないやつです。

そういう意味では、市販の炒り豆ほんと良く出来てるんだよね。あのカリカリ感、家庭だとなかなか出ません。平安時代の人が食べたらびっくりすると思いますマジで。古い品種に比べると豆そのものも大きいですからね。

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健康食品とはいえ食べすぎ危険。

柊鰯の頭も信心から

柊にさしたイワシの頭

節分と言えば最大の謎グッズが「ヒイラギの枝にイワシの頭を刺した柊鰯」じゃないでしょうか。焼いたイワシの頭が魔除けになるとされてますが、もう完全にイモリの丸焼き状態って言うか、控えめに言って怪しすぎる。

「イワシの頭も信心から」はこの柊鰯に由来する表現で、「どんなにしょーもないものでも信仰すればありがたく思える」ことのたとえです。

でも、もともと魔除けグッズに選ばれた理由は「焼いた煙がすごいから」なんです。これ燻蒸になって感染症を媒介するネズミや虫が減るんじゃないのかなぁ。

でも頻繁に魚を食べられる家はやっぱり富裕層に限られるわけで、そうじゃない家は裕福な家から食べ残しを貰ってきて気休め程度に飾ったのかも知れない。運良くネコを呼べればネズミ退治をしてくれるかも知れないし。

だとしたら「イワシの頭も何とやら」っていうか、それなりに合理的な理由があると思うわけです。

「鬼は内」についての病理学的理解(?)

節分と鬼

ここまで見てきた通り、節分の鬼というのは扱い的には病魔に近いものです。しかし一部には「鬼は内」と声をかける寺社などもあり、近代的にはどう理解したものかなぁと思っていました。

そんな「鬼を受け入れる」ことの理解として、「完全殺菌して無菌室から出られなくなるより、無害化、弱毒化した方が便利かも」と言われてちょっと目ウロコ。

確かに、恐ろしい病原菌もワクチンとして利用できれば心強い味方になりますね。(⊙Д⊙)

…とは言え風邪予防の基本はうがい手洗いです。春の足跡に耳を澄ませながら暖かくお過ごし下さいね。(・∀・)

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海苔巻きは切った方が美味しく頂けると思うの。