君はユニクロがユニセックスブランドだった時代を知っているか?

ユニクロは試着しないと安心して買えない点で客側の購買コストが結構高いと思う話、ほか2編です。

君はユニクロがユニセックスブランドだった時代を知っているか?

任天堂Tシャツの現物が見たくて久しぶりにユニクロへ行った。

折り込みチラシを頼りに年に2~3回足を運ぶことがあるけれど、手ぶらで帰ってくることがほとんどだ。最後にユニクロで服を買ったのはもう4年ほど前のことになる。

別にオシャレ番長を気取りたいわけじゃないのだけど、単純に欲しいサイズの服がない。

案の定、何も買わずに帰ってきた。

なんで男女とキッズで図案のラインナップが違うんだ。おまえんとこのブランドコンセプトは「ユニセックスカジュアルウェア」じゃないのかよ?

ユニクロはサイズ感が大きい?

ユニクロはオフィシャルのサイズ表と比べると仕上がり寸法がずいぶん大きい気がしている。

私は永遠の中1サイズ(身長体重が12歳平均)なのだけど、ユニクロだとXSでも相当デカい。

現在のトレンドが80年代風のルーズファッションだということを差し引いても大きすぎると思う。

例の4年前に買ったシャツはキッズの150でも大きくて140を買ったくらいだ。

確かに小柄で子供服を選ぶ人は少なくない。でもそういう人は決まって華奢なのだ。私は身長体重こそジュニアサイズだけど骨格そのものが大きいので、他のブランドだとXSでもきついことがある。

思えば「ユニクロでは女物を買う」という細身の男性を見かけるようになって久しい。やっぱりユニクロはサイズ表記よりでかいのだ。

昔のユニクロって小さくなかった?

ところで、10年くらい前のユニクロ服はむしろサイズ表記のわりに小さかった印象がある。

そのころユニクロでXSを買うのはおこがましく、Sも窮屈でMを着ていた。

当時もサイズ感が謎だったけど、値段の割に生地が良かったので細かい点は気にならなかった。小さめに仕立てることで布をケチってるのだと理解した。

ちなみにふた昔くらい前のユニクロは男女のデザインが分かれてなくて、XSからMが主に女性用でMから上が男性向けだったと記憶している。

つまり、ユニクロのサイズ感は時代とともに変遷している。

ふた昔前:適正
  ↓
ひと昔前:小さめ
  ↓
ここ数年:大きめ

…ということで合ってるだろうか。

真のグローバル企業ユニクロ

ユニクロに行くと子供服がちょうどいいこの状況、妙な既視感があると思ったらあれだ。海外のアパレルショップに行った時の感覚に良く似ている。

欧米の服はアジア人の感覚より二回りくらい大きくできてる。私はUSサイズだとほとんど8歳児用を選んでるけど、そもそも向こうの服は裁断が雑なので成人してから1歳半向けのシャツが入ったこともあるくらいだ。

あれ、もしかして…と思って店舗数を調べてみたところ、やはり海外店舗のほうが国内の店舗数よりずっと多かった。今や国内832店舗、海外1,029店舗だそうだ。(2017年2月現在)

なんだ、じゃぁ本当に海外流通を見越して大きいほうにサイズを寄せてるのかも知れない。商品によってカッティングがバラバラなのも含めて、完全にグローバル基準だな。

ともあれ、同じブランドなのに試着しないと安心して買えない時点で開発費用をユーザに転嫁してるとも言える。

ここで試着の行動原理について考えてみたい。試着の持つ意味は、少なくとも2種類に分けられる。「合格ラインに達してるどうかを確かめる」要素と、「不合格かどうかを確かめる」要素だ。実際に購入に至るかどうかでいうと後者の方が買う確率が高い。

前者は掘り出し物感があるのでギャンブル性が高く、後者は安心感が高いので「行きつけのお店」になりやすい。

ごちゃごちゃした商品展開は諸刃の剣で、買い物そのものを楽しみたい人にはエンタメ性があるけど必要なものだけ買いたい人にとっては煩雑なだけだったりする。

思えば、ユニクロはベーシックな服を探しに行く場所ではなくなった。

そういう意味で、ここ数年のユニクロのブランドコンセプトは間違いなく「ごちゃごちゃ感」なのだろう。

「こういうアイテムが欲しいからあの店に行く」という行動原理を持つ人は、もはやユニクロのターゲットではないのだ。

もっと言えば、昔のユニクロを懐かしむ人もユニクロの顧客ではない。

ニューヨークでフラッグシップ店がオープンした時はシンプルなユニセックスウェアであることが評価されたと記憶してるんだけど、いまや海外店舗でも女性向けのエアリーな服が売れ筋なんですかね?