特殊な女子会を開く理由を誰か納得いくように説明して欲しい

「なんとかガール」に特化した女子限定イベントが苦手です。

特殊な女子会を開く理由を誰か納得いくように説明して欲しい

理系女子、ギーク女子、歴女、カメラ女子、ランガール、山ガール、宙ガール、筋トレ女子、盆栽女子、ポタガール etc…

多趣味・多属性のせいか、これまで私が形容された「ナントカ女子」の称号はかなりの数にのぼります。

このへんのジャンルは今までずっと「女のくせに」という枕詞がついていたはずなのですが、時代というのは変わるものですね。

ともあれ「女性のための○○講座」「○○女子会」なるイベントの告知を見る機会が増えました。ちなみに、この場合のマルマルには男性比率の高い特殊技能が入ります。

ただ、こういう女性限定の技術イベントって開催意義がほんと判らないんです。誰か納得のいく説明をして欲しい。

女子会の必要性

特に理由なく友達同士で集まってダラダラ日ごろの愚痴を言い合ったりするのは、個人の自由だと思います。女子限定で集まってコスメや彼氏やダイエットや「乳がん検診行ってる?」みたいな話をするのも判ります。

でも理系女子とかIT女子とか、そういう技能的な括りで女の人だけ集められたとして、わざわざ話し合うことって何があるんでしょうか。

まず話の合いそうな相手として、なるべく自分と近い技能の人を探そうとしますよね。だったらその専門の会に行ったほうが層が厚くないですか?

それにマイノリティ救済のための女子限定なら、LGBTへの配慮はありますか?男女比が極端に偏ったコミュニティには結構いますよ?配慮する自信がないなら「ない」と拒絶する覚悟はありますか?

裾野を広げるためなら初学者限定にするとか、テクニックがなくても情熱だけで参加できそうな企画を考えるとか、いくつもの可能性を検討した最適解としての女子限定ですか?

もっとも、ドンピシャ分野じゃなくても特殊技能を持った女性同士で気になるトピックというのは一応あって、

「肩書き一緒なのに自分だけお茶汲みさせられて作業効率が悪い」とか、
「生理休暇が取りづらくて困る」とか、
「近似スペック男子とどれくらい評価が違う?」とか、
「職場に結婚後も働くロールモデルがいなくて不安」とか、

そう言う座談会なら判るんですけど、もはや専門性すら関係なくて男性比率の高い専門職なら何でも良い気がするし、体やお金の話は初対面でするにはちょっと生々しいので話し合うとしたら二次会で個別案件というか既に友達同士の相談フェーズに移ってる気がします。

ときに前職は極めて女性比率の低い業種だったんですが、よその女性技術者と交流する機会があると「ほら女の人だよ仲良くやりなよ」みたいな感じで水を向けられることがありました。唐突にペアリングを促される動物園の珍獣ってこんな感じでしょうか。

女なら誰でも良いってわけじゃないです。

「女性ならではの視点」という呪い

この手の主催者側の主張には大抵「女性ならではの視点でこのジャンルを盛り上げて行きましょう」というのが掲げられていて、例えばアプリ開発の話なら子供のプリント類を管理するアプリとか料理のレシピをどうにかするアプリとか、それらしいネタは確かにあると思います。

でもそれ厳密に言うと女性ではなく「子育て中の親」や「料理好き」の視点ですし、普段と違うアイディアを探してるなら「暮らしに役立つネタ希望」とかピンポイントに課題を設けた方が多様な視点で集まるはずです。

決して本質的な女の視点ではないはずなんです。

ふるい落とされるアイディアの原石

普通ノンジャンルのネタ出しを求められときは、まず自分の身近なことから考えますよね。

でも「女性らしい自由なアイディアを」と言われたら、一度拾い上げられた原石が「女性らしさと」いうふるいにかけられて人目につかないまま打ち捨てられていったりします。

あるいは、広大なフィールドから不慣れな「女性らしさ」に分け入って、なんとか自分に出来ることを探しはじめる人もいます。

「暮らしに役立つネタ」で縛るのと一緒にみえるかも知れませんが、「暮らしに役立つ」は評価可能だけど「女性らしさ」の形はあやふやなのです。

何なら自分が運動嫌いで押しの弱い感じの男性だとして、どこに行っても「男らしい企画」を任されることを考えてみたらいいです。最初は頑張って期待に応えようとするでしょう。そんなとき、場にいた誰かが「やっぱり男の人の発想だね」と言いました。

茶々を入れた人に悪意があるかは問いません。褒めてくれてるのかも知れません。でも、どこに行っても似たようなことが起こるとしたら。想像して下さい。毎回です。それが10年、20年と続く日々を。

おねがい

男性比率が極端に高いジャンルで女性を盛り上げたい気持ちは理解します。自分が関係者の場合は仲間が増えたら楽しいだろうと思います。

なんだかんだ言っても同性のほうが相談しやすい話というのはありますし、広大なフィールドに点在する仲間を一カ所にかき集めれば気の合う友人くらい見つかるかも知れません。そのメリットは否定しません。

でも、その時はせめて「女性ならではの」という呪いの言葉を封印して欲しいのです。

もちろん呪う気持ちなどないでしょう。でも、うんざりです。呼吸をするように繰り出される「結婚しないの」「子供はまだなの」と同じくらい地雷。

もちろん対人地雷なので条件を満たさなければ発火しません。「女のくせに」と言われ続けた重みで起爆します。そうやって動けなくなった人を、少なからず見てきました。

女の子は本当にピンクが好きなのか 堀越英美