本稿は、アインシュタインの相対性理論を駆け足で理解するものです。
本来、相対性理論の理解を得るには最低でも大学の教養レベルを要しますが、ここでは極力数式を排除してざっくりと追いました。より理解を深めたい方は専門家による一般書籍を読むと良いでしょう。
相対性理論とは
相対性理論とはアインシュタインがまとめた物理学的理論の俗称で、特殊相対性理論と一般相対性理論からなります。
それまでのニュートン力学では、運動している物体が置かれた空間そのものについて論じることは極めて限定的でした。しかし相対性理論の登場によって、エネルギーへの理解が大きく変わっていきます。
あるものが光速で動くときの物体・時間・空間…つまりモノだけでなく「時空がどのように振る舞っているか」が判るようになったのです。
特殊相対性理論
一般相対性理論
注:以降の文中で「重さ」を「質量」として使う場合があります。
相対性理論の実践
たかしくんです。
たかしくんは100mを14.9秒で走ります。
中学を卒業する頃には、100mで11秒を切るまでになりました。燦然と輝く陸上部の星の誕生です。
光速に近づくと物体の質量は増加する
相対性理論によると、静止している物体よりも動いている物体の方が重くなります。つまり、止まっている たかしくんより動いている たかしくんの方が重くなります。
光速に近づいたたかしくんの質量は29Kgから56Kgになっていました。
ところで、物体を動かすには質量が小さい方が重い物体よりも有利です。子供のうちは元気に動き回れても、大人になると動きが緩慢になるのはそのためです。
たかしくんは速く動けるようになるため、もっともっと頑張りました。すると体はどんどん重くなっていきました。
光速で運動する物体は縮む
光速で運動する物体は縮みます。これをローレンツ収縮と言います。
一般に、たくさん運動をすると脂肪が減って骨や筋肉がつくことが知られています。
人体の組織は種類ごとに比重が異なるのですが、運動に寄与する組織は脂肪に比べて比重が高いため、トレーニングすると同じ質量でも体積は小さくなっていきます。
また、質量に対して体積が小さくなることでモーメントにも変化が起こります。運動時の重心が安定するため、更なるタイム向上が見込めるわけです。
重い物体は周囲の物質を引き寄せる
一般相対性理論により、重い物体の周囲は空間が歪みます。少し前に話題になった「重力波」は、まさにこの概念が元になっています。
細マッチョになった たかし君は周囲の人を惹きつけモテモテになり、楽しい時間はどんどん過ぎていきました。
光速に近づくと時の流れが遅くなる
光速に近づくと時間の流れが相対的に遅くなります。これを昔話の浦島太郎になぞらえて「ウラシマ効果」と呼んでいます。
運動すると若々しくいられるのも、こうした物理法則の一環と言われています。
そんな たかしくんでしたが、ふと足を止めて周りを見ると、同級生はすっかり変わってしまっていました。時は移ろいクラスは受験体制に入っていたのです。
部活三昧だった たかしくんは運動をやめたことで寿命が縮む思いがしました。
止まっていてもエネルギーを持つ
E = mc2
相対性理論について詳しく知らなくても、この式を見たことがある人は多いでしょう。
従来、物体は運動や熱や電気が流れていないとエネルギーを持たないと考えられてきました。しかし相対理論により止まっている物体にもエネルギーが存在することが明らかになったのです。
走ることをやめた たかしくんは、ただの たかしくんになりました。
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紅の豚
飛べないブタはただのブタ。 |
しかし、その潜在エネルギーで猛烈に勉強しまくり、希望の大学に入学することが出来たのです。3年の夏までしっかり部活動に打ち込んだ生徒が、スパッと気持ちを切り替えて勉強に専念する現象は一般に良く知られています。
一般相対性理論からの展開
大学に入った たかし君は、陸上部の門を叩きました。新入生の中では最速の人材であり、先輩も期待をかけています。しかし一般入試組のなかでは、という限定条件付き。部室には既にスポーツ推薦で入ってきた けんじくんがいたのです。
彼とはインターハイでちょっとした確執がありました。まさか同じ大学だったとは…。
渦巻く二つの強大な星、うなる重力波。
派閥に巻き込まれて膨れあがった人間模様。惹かれあって弾かれて、やがて二つの星は一つのブラックホールへと…!!
「陸上部のたかしくん」セカンドシーズンに請うご期待下さい!
おわりに
記述内容は執筆時現在の情報に基づきます。ちなみに4月1日に書きました。
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「相対性理論」を楽しむ本―よくわかるアインシュタインの不思議な世界 (佐藤勝彦) |
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