深海生物カードゲーム MYSTIQUA ミスティクアがヤバい

深海生物をモチーフにしたカードゲーム「MYSTIQUA ミスティクア」を遊んだレポートです。用語を置き換えると異様なまでのリアリティ。院生や研究者を交えて遊ぶのは危険なので注意しましょう。

深海生物カードゲーム MYSTIQUA ミスティクアがヤバい

唐突ですが、『深海生物カードゲーム MYSTIQUA ミスティクア』なるカードゲームを買いました。

国立科学博物館監修と言うことで割とマニアっぽい感じなんですが、これが久々のヒットでハマった。おちさん元々深海&ボードゲーム好きなんですけど、これはなかなかの「奇ゲー」と言えるでしょう。

お勉強要素の強いゲームは往々にして知識偏重でゲーム性に乏しいんだけど、本作は狙ってか偶然か驚異のゲームバランスを誇っている。ある程度ルールに慣れた人同士なら誰かが一人勝ちすると言うことがないのです。

MYSTIQUA 世界観

深海生物カードゲーム MYSTIQUA表紙

ゲームの概要をパッケージより抜粋しましょう。

-未知の深海生物と出会う、水深1万mの旅-

海の神秘に魅了されたあなたは、 深海生物学者になりました。深海では、水深によって生息する生物が異なります。レーダーで深海生物を探知したら、 近未来型の潜水調査船で好きな深さへ移動。奇妙で、そして美しい深海生物の生きた姿を写真に収めます。

写真=資料が集まったら、海上へもどり、学会へ提出。 ライバルよりもレア度の高い深海生物を発表したプレイヤーが、 学会でその成果を認められます。 いざ、地球最後の秘境、深海の世界へ!

なんとこれ、カードを集めるのが目的じゃなくて学会で注目を浴びて教授になるのがゴールなんですね…。

生物カードには6ポイントくらいの細かい字で深海生物の説明がずらずら書いてあるんですけど、正直なところ生態読まなくてもプレイに全く支障ないです。生態を知って欲しくて作ったんじゃないのか!?

この本末転倒感が既にアレ。

MYSTIQUA ルールと遊び方

パッケージには国立科学博物館 監修の文字が躍ります。深海と言えばダイオウイカ、ダイオウイカといえば窪寺先生、窪寺先生と言えば科博の所属…と言うことで、やたらとダイオウイカを推してるのが本日のお察しポイントですね!

プレイヤーは深海生物学の新米研究者です。

中深海・漸深海・深海層
潜水調査船に乗り込み、深海生物を探知(レーダー)しつつ、その水域まで移動したら生物のデータを入手(ピクチャー)します。

一口に『深海』と言っても、特性によって『中深層』『漸深層』『深海層』『超深海』と4層に分かれるんですが、ここでは超深海は扱いません。このレンジを調査できる有人探査艇がない…というのが理由でしょう。

ともあれ、3枚以上の資料を入手すると学会提出アクションが起こせるようになります。

最もレア度の高い深海生物の資料を提出したプレイヤーが学会の覇者。学生→研究員→助教→准教授 と経て 一番早く教授になれたプレイヤーが勝者です。

単語を読み替えると妙にリアル

ゲーム上の用語には、いくつか実態とそぐわない概念が見受けられます。類似シリーズとの互換性や、一般向けに馴染みやすい用語を選んでいるのかも知れません。

しかし、ここであえて用語の読み替えを提案したい!その理由は真面目に大学行ってた人なら判って貰えると思います。

【レーダー】
どの水域にどんな生物がいるかを調べるアクション。陸上の場合はレーダーで構わないのですが、水中の探査には異なる波長を使うので『ソナー』の方が適切でしょう。
【学会提出】
ライバルとのバトルが繰り広げられるアクションです。一般的には学会で丁々発止が繰り広げられてると思われがちですが、研究者の主戦場は学術専門誌に論文が掲載されることじゃないでしょうか。
 
ゲーム上では『レアな生物を提出した方が勝ち』というルールですが、これを『インパクトファクターの高いジャーナルに載る』と読み替えると胸熱やで。
【発掘】
学会バトルで破れた捨て札を手札として再利用できるアクション。他人が所有していたカードも取得対象です。手札2枚と引き替えに1枚拾える。『既知の研究から新たな発見が得られた』と読み替えましょう。

ミスティクア駆け引きのポイント

深海生物カードゲーム MYSTIQUAプレイスタイル
小技に頼らず素直に遊ぶ場合は運要素の強いゲームです。つまり「レーダー」と「ピクチャー」を地道に繰り返して手札を集め、学会でレアな生物を提出し続けた人が勝ち。

横取りピクチャー

一方、自分が狙っているカードが他人に横取りで『ピクチャー』されることもあります。

相手のズルにより自分が割を食う形です。盗られた場合はまた新しいカードを『レーダー』し直さないといけないので1ターム無駄になります。
横取りピクチャーでサンプル盗られるの図

横取りしまくるのが得策という気もしますが、条件を満たさない場合はペナルティが科せられるので「意地悪すれば勝ち」というものでもありません。

お一人学会

比較的序盤戦で有効な技。学会提出の条件は手札を3枚持つことですが、その時ライバルのカードが3枚に達してなければバトルは発生せず不戦勝になります。

このとき、レア度が低くても学会提出さえすれば昇進できるのがポイントです。レーダーした生物が弱いカードだからと敬遠せず、見つけ次第捕獲していけばタイミング次第でニョロニョロ勝ち進むことも出来るでしょう。

『発掘』と合わせ技で切り盛りする、と言う作戦もあり。

学会主催者は有利

『発掘』は『学会』と同じタームで実行できます。ここで、学会の開催を呼びかけたプレーヤーはバトル終了直後に『発掘』する権利が与えられます。たとえバトルに負けても、捨て札の中から最善のカードを回収できるので目減り感が少ない。

まとめ:ミスティクアは人生の縮図

深海生物カードゲーム ミスティクア

プレイ人数は2~4人、対象年齢は7歳から…ということで一見すると手軽に遊べるミスティクア。前述のように素直にカードを繰り出すだけなら5歳くらいからでも参加できると思います。

しかしゲームのルールを理解するに従って、横取りや思わせぶりな行動をちらつかせる心理戦へともつれ込んでいきます。小学生を交えて遊び始めても、慣れてくると段々意地悪になるよ。:;(∩´﹏`∩);:

あと導入部の動きが少ない!後半テンポ上がるんですけど、研究員になるまで割と時間が掛かります。

要らないよ…そのリアリティ要らないから!

…ということで非常に良く出来たルールだと思います。しかし身近に院生やポスドクの人がいたら とても誘えないゲームだと思うんだけど、実際のところはどうなんだ…。:;(∩´﹏`∩);:

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