屋台のりんご飴ってリンゴにアメ掛けただけじゃなかった

長らく「りんご飴は料理と言えるのか?」と思ってましたが、実際に食べてみたらリンゴの味を引き出す合理的な調理法でした。作りかたなど調べるうちに知った文化をまとめた記録です。

屋台のりんご飴ってリンゴにアメ掛けただけじゃなかった

食品添加物や不衛生な食品を極端に嫌う家で育ったため、子供の頃は縁日の露店に近寄ることさえ許されませんでした。先日初めてリンゴ飴を口にしたので感想など記録しておきます。

もっとも禁止されてても欲しければ隠れてでも買うんであって、大人になるまで食べてみようと思わなかったのは別にそれほど興味が無かったから。でも実際に食べてみるとなかなか美味しいものですね。

リンゴ飴の存在意義とは…

りんご飴って不思議な食べ物です。何でわざわざ林檎を飴がけにするんだろう。しかもたったそれだけのものが300円も500円もするし!端的に言えば、砂糖を掛けただけの林檎にそれだけの金を払う意義が見いだせなかったのです。

「リンゴの飴がけだったら、アメとりんご一緒に食べれば良いじゃん。」

長いことそんな風に思ってました。

実際のりんご飴は想像以上に調理された立派な料理

結論から言うと、リンゴ飴はリンゴの飴添えではありませんでした。熱い蜜と接した境界面はうっすらだけど確かに火が通っていて、生の林檎とは明らかに異なる味わいだった。

つまり通常の焼きリンゴをウェルダンと言うなれば、りんご飴レアの焼きリンゴとでも呼ぶべき代物なのでしょう。揚げたとも焼いたともつかない皮目の歯ごたえは思いのほかスナック菓子っぽいし、加熱したことで立ち上る香気も飴の中に閉じ込められてて合理的。

しかも大きいリンゴと小さいリンゴでは 元の品種特性に加えてサイズによる熱の通りも変わってくるので味のバランスがかなり違いますね

お…これは意外と面白い。(・∀・)人

リンゴ飴の作りかた

取り急ぎ、どなたかのレシピを漁るべくクックパッドでも行こうとしたら まさかのりんご飴テーマのサイトを発見しますた。(白目)

用意するもの

  • りんご ……… 適量
  • 砂糖  ……… 100g
  • 水   ……… 30cc
  • 食紅  ……… 少量(あれば)
  • 料理用温度計・クッキングシートがあると便利


ringo-a.me

材料は林檎の量によって何倍か加減して下さい。
水:砂糖 = 1:3 ~ 1:4くらいが作りやすいようです。

  • 中火の鍋に水と砂糖と食紅を入れて煮溶かす
  • 150~165度程度で軽く煮詰まってきたら火を止める
  • 飴に林檎をくるりんとからめてクッキングシート上で冷ます

レシピは至ってシンプルで、要は少量の水で溶いた砂糖を軽く煮詰めてからめるだけ。

飴菓子は何度か作ったことあるけど火加減大事です。色づき始めると一気に焦げてカラメルに、かき混ぜすぎるとフォンダンになってしまうので慣れないうちは「まだゆるいかな?」くらいで加熱をやめた方が良いかも。温度計で計りながら作業すればより安心ですね。

【memo】

フォンダンとは…
加熱した砂糖を白く再結晶化させたもの。ペースト状に作って粒チョコのセンターにしたり、ゆるく作ってデニッシュやドーナツにかかってたりするアレです。

あと、作り終えた後の鍋に紅茶や牛乳を入れておくと洗い物が楽&プラス一品増えます。(^^

りんご飴の飴部分について補足

しかし砂糖菓子って水との比率が重要ポイントですよね。

30ccの水に100gの砂糖を足して150度まで加熱するとのこと、本質的にアメ部分はべっこう飴と同じ作りかたです。水に対するショ糖の溶解度は20度のとき200なので最初は多少ざら感が出ますが、100度だと500近くなるから30ccに100gでもちゃんと溶けます。

シロップやヌガーと言った、砂糖液の煮詰め温度による仕上がりの差異は下記ページ末尾の表に詳しいです。

「菓子と砂糖のおいしい関係」(2)|農畜産業振興機構

焼きリンゴ的な要素があることや、ショ糖の吸湿性を考えると、見た目に反して賞味期限が短い食べ物の気がします。このへんも屋台に向いてる要因でしょうね。

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りんご飴の食べ方いろいろ

厚い飴をガリガリかじるか、がぶっと身の方を行くかによって好みが分かれそうですね。

ところで、色んな人の感想をクロールしているとき少なからず見かけたのが「飴がメインなんだから、果肉に到達したら捨てる」という意見。

えぇぇ!?(((( ;゚Д゚))) 

世の中にはリンゴ飴の果実部が嫌だって人もいるらしいのです。正直意味が判りません。どういう心境なんだろう。姫リンゴならともかく、普通サイズのりんごだと相当もったいないのでは…と思って色々調べているうちにちょっと変わったものも見つけました。

中国版りんご飴ビンタンフール冰糖葫芦

中国にもりんご飴に相当するお菓子があるそうです。『冰糖葫芦(ビンタンフール)』あるいは『糖葫芦(タンフール)』とも言うらしい。

サンザシ飴
冰糖葫芦または糖葫芦(サンザシ飴) Google検索結果より

中身は林檎ではなくサンザシなので、サンザシ飴と呼ぶべきでしょうか。サンザシとはりんごに似た親指大の果実で、中華料理ではお馴染みの食材です。

中国産 無添加 サンザシ(山査子) 1kg入り (チャック袋)

リンゴもサンザシもバラ科なので、似たような味が期待できそうです。よく中華食材コーナーに「半練り菓子・半調味料」みたいな加工品が売ってますけど、こんな風に青果のまま丸ごと食べられるとは知りませんでした。

これなら一口サイズで無駄がないですね。もし中華街で見かけたら試してみよー。

理想のりんご飴をつくろう!

色々と食べ比べて検討した結果、自分は普通サイズのリンゴより姫リンゴの方が好みの食感だと判りました。サンザシもそうだけど酸味を甘みで包むのがりんご飴のポイントだと思うし、その点でも小さいリンゴの方が酸味のバランスが良さそうです。

作るにあたって小さいリンゴが必要になったんですけど、果物屋さんでもなかなか売ってないし困ったなー、と思ったらありました。

…花屋に!

行きつけの花屋にクラブアップルの苗が入荷してたんです。比較的若木のうちから着果して育てやすさにも定評がある品種群ですね。

リンゴ飴ひとつに何年計画だよ!って軽く葛藤したけど買っちゃいました。実家でモモの木とか育ててたし超余裕。(○´ з`○)~♪

クラブアップル …でも枯れた。

寒さに強いリンゴの中でも、特に育てやすいクラブアップルをダメにするというガーデナーとしてあるまじき失態に驚きを隠せません…。orz

はるか海を越えてやってきたヨーロッパ製のテラコッタ鉢も泣いてるよ。(T_T)

まぁ、また苗見たら買いますけどね。

【関連記事】

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これまたひと味違う感じのリンゴ菓子です。食感は超軽いのにめっちゃカロリー高い!

【追記 : 2013/06/10】

調べてる最中に見かけた民族伝承によると、妖怪口裂け女に襲われたときはべっこう飴を投げつけるといいそうです。飴に気を取られている間に逃げおおせられるとのこと。一瞬「良いこと聞いた」って思いましたが、普段アメちゃん持ち歩かないしなー。

…っていうか、自分が子供の頃は「口裂け女にはポマード唱えれば良い説」が有力でしたね。あれ何だったんだろう。未だに何でポマードでひるむのか良く判りません。

【追記 : 2013/06/30】

サンザシ飴の話を知ったので付け足しました。ちなみに、サンザシの木も持ってます。いつか自家製りんご飴つくりたいですね。

あと ringo-a.me の作者さんにこのページ見られて「木まで買ったんですか、強者ですね」的なこと言われました。ひゃっほい。(・∀・)