NHKのダイオウイカ放映以降、にわかに活気づいてきた深海人気。話題の国立科学博物館 特別展「深海」を遅まきながら観に行って来ました!
しんかい6500・ダイオウイカ・グソクムシのスリートップは既に多くの方が書いてらっしゃるので、見逃しがちな小展示を中心にお届けします。
【追記 : 2013/10/01】
当初この話は8月に書いたものだったので目玉展示の写真を載せることは控えていたんですが、残り1週間を切って会期もほぼ終わりなので写真足しておきます。
併せて各セッションごとの感想も大幅に書き足しました。
突然ですが深海展の感想まとめ
特別展「深海」
各展示で心に残ったことなどのメモ。
ゾーン1:深海の世界
『深海』とはどういう環境なのか、パネルや動画による説明色々。『暗くて冷たいけど決して一様ではない』ことがあの手この手で示されてます。
夏休みという時節柄、小学生が熱心にメモを取ってるのが微笑ましいです。随所のイラストが友永たろ氏なのもカワイイ。
【memo】
なお、ここには『水圧でちぢんだインスタントラーメン容器』が展示されてます。
小学生を押しのけるわけにいかなかったので写真を撮ってないんですが、展示されたカップの銘柄が「ブタメン」なのはある種の見どころと言えるでしょう。
かつて定番だった日清カップヌードルの容器が2008年に紙パック化されたので それ以降スチロール容器のラーメンを色々試してブタメンに行き着いたそうですよ。
ゾーン2:深海に挑む
言わずと知れた目玉展示は しんかい6500の実物大模型。大ホールの真ん中に鎮座しております。
他にもJAMSTECが擁する調査船の精巧模型がずらりと並んでますね。しかも、フラッシュ焚かなければ写真取り放題なのも嬉しい。
もちろんこうした精鋭艦は耳目を集めるのにふさわしいのですが、地味め展示も開発者の熱意がダイレクトに伝わって来るから見てて楽しいです。
個人的なイチオシは自律型無人探査機「ツナサンド」。水深1,500mの航行ができるとか、潮に流されず動けるとか、小さいけどハイスペックで素敵です。
更に進むと無人機かいこう7000IIもいました。これは「しんかい」より深航できるということで展示の扱いも割と大きめです。
なぜIIなのかは具体的には書かれてませんでしたが、涙なしには語れないエピソードが…。(^^;
失敗事例 – 深海無人探査機「かいこう」行方不明
あとしんかい6500の内部構造を本体に投影してる展示が地味に良かったです。
いわゆるプロジェクションマッピングで 艦から5mほど離れた所に投影機があるんですけど、ドットが綺麗に見えるんです。(写真だと微妙に滲んじゃいましたけど)
直進性に優れたLED光源を使ってるとは言え、驚くべき鮮明さでしょう。あと立体である船体に歪みなく投影してるのも要チェックだと思いました。
球面に映すプラネタリウム映画を想像すると良いんじゃないかと思います。テクスチャをしんかい6500の造形に合わせて変形させてるんでしょうね。
隙間を埋めるような展示もなかなか興味深いです。
駿河湾の生き物を調査したカタログ的な論文の表紙がグソクムシでした。日付を見ると1997年のもの。当時の関係者に今の人気ぶりを予測していたのかどうか伺ってみたいですね。
ゾーン3:深海生物図鑑
円形会場にぐるっと標本が並んでます。
知ってる生き物を見つけると何気に嬉しい。テヅルモヅルやタカアシガニなど、人気の高い派手な生き物はもちろん あんなものから こんなものまで、圧巻のラインナップです。
DS広げながら歩いてる小学生がちらほらいて「ゲームなんていつでも出来るのに勿体ないなぁ!」…と思ったらゲーム機をデジカメとして使ってました。疑ってすまんかった…。
ある種 死体のオンパレードとも言える光景であり、げっそりしたご婦人達とキラキラした子供達の対比も実に味わい深いものでした。
標本の中でちょっと変わっていたのはヌタウナギ(写真左)でしょうか。他の標本と比べると固定液が著しく色づいていました。この生き物は敵に襲われるとぬるぬるの物体を出すんですけど、おそらくその影響でしょう。
この先は、お待ちかねの熱水噴出孔およびイカへと続きます。
ゾーン4:深海に生きる
ここは学生時代に専攻してた分野と重なるので一番楽しみにしてた部分です。深海底という特異な環境で織りなす複雑な生命の営みが紹介されてます。
具体的には熱水噴出口とかスケーリーフットとかシロウリガイとかヒバリガイとかユノハナガニとか鯨骨生物群集とか、硫化水素的なあれこれ。
個別の細かいパネル展示もそれぞれ興味深い内容でしたが、一般に馴染みが薄いせいか素通りされる方が多かったように思います。
深海好きな人にとっては盛り上がるゾーンなので、他の展示より空いてるとむしろ得した気分になれるかも。
熱水噴出孔の模型です。なんかいろいろ群がってますが、実際にはもっとびっしり無数の個体がへばりついてます。
あと思わず足を止めたのが、海底を掘削した地層サンプルのレプリカ。
小さな説明板に、宮城県沖の地震断層レプリカである旨が簡素に書かれてます。
目立つ図解もなく次の展示がイカ部屋とあって、立ち止まる人は誰もいませんでした。でも私はそこから動けなかった。
私の学生時代の専攻分野には地震学も含まれます。しかし大学を離れて久しい私には、これを正確に読み取る力がありません。JAMSTECで働く学友が、震災直後にサンプリングの船を出すとか言ってたことを思い出しました。
以下、イカ
第5、第6ゾーンはお待ちかねのダイオウイカあれこれです。
そそり立つマッコウクジラ、そして宙を舞うイカ、阿鼻叫喚の幼女達。
スルメイカ待ったなし!という感じのダイオウイカ氏。
こちらはNHKスペシャルでも活躍した水中カメラ「でんきくらげ」。その絶妙なネーミングに、中高年のおじさま方が絶妙にモニョっていたのが印象的でした。
ゾーン7:深海の未来と開発
そんな光景を十二分に堪能したら第一会場を後にしましょう。くコ:彡
続く第二会場の冒頭は、深海生物が日常生活に浸透してるさまが実感出来る内容となってます。小粒ながらも ずらりと並んだ食品サンプルがとても楽しい好企画でした。
一方こちらは熱水鉱床の実物サンプル。キラキラと黄鉄鉱が輝いてて綺麗です。
もはや展示会場だった売店
最後のミュージアムショップに足を踏み入れると、最初に目に飛び込んできたのは全長6mのダイオウイカぬいぐるみでした。
とにかく無数のイカであふれかえっててスゴイ。
イカ、イカ、そしてまたイカ。あと、しんかい6500とクジラとメンダコがちょっとずつ。
もはや土産物売り場と言うよりも、完全に展示会場の一部です。
イカのかぶり物を買おうかどうかを真剣に悩んだ末に思いとどまって、本展の図録とミニノートを買いました。
ホロ表紙フルカラー図録が1800円なのは完全にお買い得ですね。
各種展示は解説も含めてほぼ丸ごと収録されてます。生態標本に至っては展示物より状態の良い写真が満載でした。
【子供向けのイカがわしいワークシート】
長々読んで頂いた『深海』展レポートもそろそろ終了。でも、あともうちょっとだけ続くのじゃ!(○・`Д´・○)9
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