ブルーベリー・バニラ・イチゴ香のするサビキ用の釣り餌がヤバい

鯵など小魚を狙うときの「サビキ釣り」用の釣り餌にフルーツフレーバーの商品があるそうです。イロモノに見せかけて実はスゴイ子です多分。

ブルーベリー・バニラ・イチゴ香のするサビキ用の釣り餌がヤバい

Twitterですごいの流れてきました。

ブルーベリーフレーバーの釣り餌だそうです。しかも本当にブルーベリー香がするらしい。やべぇ、マジかよ。

ブルーベリーは磯臭い

およそ無関係にみえる釣り餌とブルーベリーですが、実は意外な共通点がある。香気成分ジメチルサルファイド (硫化ジメチル, dimethyl sulfide, DMS)です。

築地盛田屋 [常温アミエビ] カンタンサビキ ブルーベリーの香り

身近な不快臭のひとつで「キャベツの腐った臭い」と表現されることもあるようです。一般的には海苔などに多く含まれ、「磯の香り」を構成する代表的な要素として知られています。

で。この「ザ・磯臭さ」と名高い硫化ジメチルを薄めるとブルーベリー香を引き立てる効果があるらしいのです。

…と言う話を数年前に探偵ナイトスクープで見た。

#受け売りかよ

ちなみに依頼は「岩海苔の香りがするブルーベリージャムがあるので真相を確かめてくれ」という内容だったと思います。

問題のブルーベリージャムからは実際に硫化ジメチルが検出されました。おそらく添加量を間違えたことで海苔の佃煮みたいな臭いになったのだろうということです。

いずれにせよ、磯臭さとブルーベリーは紙一重なんですね。

【注】個人ブログなどには「ブルーベリーの皮にも硫化ジメチルが含まれる」という記述が散見されるのですが、ブルーベリーの芳香に関する論文を探してみたところ特に言及されてる感じはありませんでした。…とは言え含有量が超微量かつ反応閾値もめっちゃ低いという可能性もあるので否定はしません。

二硫化ジメチル in オキアミ

本題は釣り餌の「かんたんサビキ」です。パッケージを見るとアミエビと書いてあります。かっぱえびせん的な小型エビですよね。

そこでオキアミの香気成分を調べたところ、オキアミの塩辛に関する論文を見つけました。同じ原料でも加熱や発酵過程で芳香成分は変わって来ちゃうんですけど、とりあえずオキアミの塩辛から 二硫化ジメチル Dimethyl disulfide および 三硫化ジメチル Dimethyl trisulfide が検出されてます。硫黄が増えてるけど構成要素は似た物質。

いずれも硫化ジメチルと同様に強い臭気を持ち、キャベツおよびタンパク質の発酵臭っぽい性質を持ってるようです。

CiNii – Volatile Components of Fermented Euphausia pacifica Hansen, Changes during Fermentation and after Cooking

仮説

で。

わたくし化学が壊滅的にダメなのでちゃんと判ってないんですけど、なんかこれチョイチョイうまいことやってオキアミをブルーベリー香に寄せたんじゃないでしょうかね?

すごーい、頭イイネ!(・∀・)

#妄想です

甲殻類とバニラ香

話はまだ終わりません。

この「かんたんサビキ」、調べたらなんとバニラの香りも売ってました!(⊙Д⊙)

築地盛田屋 [常温アミエビ] カンタンサビキ バニラの香り

ほんとクレイジーだな…。

でも、エビとバニラ香って実は相性良いんですよね。フレンチでオマールエビのバニラソースとか普通にあるよ。甘エビみたいな小さいエビでも見たことあるし。

だから、オキアミもきっと大丈夫デス。(๑•̀ㅂ•́)و

#仮説です

甲殻類とストロベリー香

築地盛田屋 [常温アミエビ] カンタンサビキ ストロベリーの香り

まだあった。

そしてイチゴもまた意外なことにエビの引き立て役なのでした。

ストロベリーダイスを散らしたシュリンプカクテルとか、苺ソースのカルパッチョとか見かけます。

エビ特有の生臭さを消すマスキング香になるらしいんですよね。

ハヤブサ インスタントサビキ 下カゴ式ピンクスキン

しかも、何気なく苺フレーバーの釣り餌を検索したら他のメーカーのもありました。アイディア商品なのかも知れないけど、ちょっと定番っぽいですね。びっくり。(⊙Д⊙)

考察&まとめ

…ということで、実はブルーベリーもバニラもイチゴも原料のエビとベストマッチという気がします。

香りの科学はとても複雑なので、似たような物質が思わぬ香りに変化して難しいんですけど、この「かんたんサビキ」は狙ってこの組み合わせにしてるんじゃないでしょうか。奇襲にみえて実は王道というか。

ネットのレビューを見る限りでは、釣果もなかなかだということです。そのへんも「本質的な香り成分はそれほど変えてない」と思わせる理由のひとつ。

一連の流れで思い出した香りの科学に「不快な臭いと良い香りの間を埋める香料」っていうのがあって、特定の悪臭に差分香料を振りかけると良い匂いになってしまう魔法みたいな技術もあるんですよね。

紙おむつなどウンチの嫌なニオイがお花の香りに変わる stink changer

少し前に「バキュームカーの汚物臭をチョコレートのような甘い香りにする新技術」って報道があって「よりによってチョコの臭いかよ!(⊙Д⊙)」とネット民が騒然となったのは記憶に新しいところです。

ちなみにこの報道には後日談があって、開発担当者いわく「(香りを表現する際に)チョコレートという食品名を出した事実はない」と困惑しているとのことでした。(´・ω・`){早合点して申し訳ない
全文表示 | 「チョコ食えなくなる」 バキュームカー防臭技術報道に思わぬ反響 : J-CASTニュース

あとクソミソ一緒にしちゃってすみません。コタツブログからは以上です。

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でもスペルミンすごいんやで。