上野・国立科学博物館にて開催中の特別展、深海2017を見てきました。
「4年前の深海展2013は行ったけど、また行く価値あり?」「前回行かなかった人も楽しめる?」あたりを中心に書きましたれぽ。
ネタバレはあんまりしてないと思います。
特に変わったなと思ったポイントはこの辺でしょうか。
細かなチェックリスト項目は最後にまとめました。
入場行列と混雑状況
まずは混み具合から。
参考までに、私が行ったのは深海展2017のオープンから12日目の土曜日、午前10時から午後早い時間の状況です。
チケット行列
オープン当初の報道ではかなり混んでる感じだったので多少覚悟して行ったのですが、実際の入場行列は30分待ちくらいでした。
チケット持ってない人はさらにチケット行列が10分ほどあるので、直前にコンビニで買っておくと入場がスムーズです。(チケットぴあPコード990-951 / ローソンLコード3555)
前回の深海展2013は、公開から1か月近く過ぎた平日だったにもかかわらず2時間近く待ったように思います。それに比べるとかなり平和。
「それなりに待たされるけど、話題の特別展としては平常運転の範囲」ではないでしょうか。
屋根のあるゾーンまで通されれば大人は耐えられますが、子連れだったら暇つぶしを持って行ったほうが良さそうです。熱中症対策は忘れずに。
あと会場内はフラッシュ炊かなければ写真撮影可能です(撮影禁止の展示も一部あり)。入場待ちのあいだにカメラ設定を見直しておくと慌てません。
会場の混み具合
入り口付近は多少込み合います。
ゾーン1「深海とは」で深海に関する基礎知識を一通りやったあと、次のゾーン2で深海生物の展示が始まります。多くの人が深海生物を見るために足を止めるので、全体を通じて深海生物ゾーンが一番混んでました。
前回の深海展2013では「深海の基礎知識」→「深海探査艇」→「深海生物」という流れだったので、それに比べると前半に負荷が集中してる気がします。
もっとも会場の間取りは今回のほうが広めにとられてるようですし、前回の激混みに比べたらそれなりに身動きが取れます。
深海生物の間では、入り口付近で壁際にシフトしておけば押し出しで良ポジションを維持できるのではないでしょうか。
展示への雑感
ゾーンごとの感想です。
ゾーン1 深海とは
まずは深海特有の性質を説明する導入展示が並びます。
水圧でつぶれたバットなど、深海好きにはおなじみの内容ですね。
ゾーン2 深海と生物
深海に多く見られる発光生物の映像シアターを抜けると、深海特有の生き物がずらりと並びます。
圧倒的な物量だった前回の深海展2013と比べると、標本数を絞ってそれぞれの説明が増えたという印象を受けました。棲息深度ごとに分類されていてイメージが膨らみます。
ちなみに展示物は基本的に標本です。
知人に「生きてる深海魚は展示されてるの?」という趣旨の質問を受けたのですが、深海生物の多くは長期飼育が難しいです。水族館でも展示例は限られますし、まして科博は水族館ではないですし。
その点では、標本コーナーの前に動画ブースがあったのは良い演出だと思いました。
深海展2013で大きな話題となったダイオウイカも展示されてますが、ダイオウイカ博士こと窪寺先生が監修から抜けたことでイカ度はかなり下がってます。
休憩所
展示の折り返し地点に休憩所&トイレがあります。お子さん連れの休憩ポイント。
ゾーン3 深海と巨大災害
2011年の東北地方太平洋沖地震に関する展示コーナーです。
前回の深海展2013でも飾られていた宮城県沖の地層レプリカはもちろん健在。さらに今回は、世界初公開となる本物の地層サンプルも一緒に展示されています。
この深海展は、主に科博と海洋研究開発機構(JAMSTEC)が素材を提供しています。前回の深海展2013の推しは、科博側がダイオウイカ・JAMSTEC側が「しんかい6500」という感じでした。
つまり4年前、この断層レプリカはあまり重要そうな扱いを受けていなかった。前後の文脈と関係なく唐突なレイアウトで飾られていたので、ほとんど立ち止まる人もいなかったように記憶しています。
【深海展2013における同断層レプリカの展示状況】
だからこそ「JAMSTECはどうしてもこの断層コアを展示したかったのだろう」と思いました。その後もJAMSTECが関係するイベントで、ほぼ必ずこの断層レプリカが飾られているのを確認しています。
それが4年の時を経て、巨大地震の発生メカニズムとともに再び展示されている。それも本物のコアサンプルとセットで。
展示のすぐ上に、当時のサンプリング風景を撮ったビデオがあります。決して派手な演出はないけど、ぜひ見てほしいと思います。まさにそのコアを掘り当てたときの研究者たちの表情を。
個人的にイチ押しです。
ゾーン4 深海と資源
深海底に眠るさまざまなエネルギー資源に関する資料です。
このブースが印象に残ったおともだちには、JAMSTECが舞台のドラマ『海に降る』をおススメしちゃう。
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海に降る Blu-ray
ドラマ版は独自設定なので原作読んだ人も楽しめます。エンケンさん渋い。 |
ゾーン5 深海と地球環境
温暖化などがもたらす海洋への変化などが紹介されてます。
さらに写真撮影コーナーをはじめ、深海好きで知られる しょこたんのイラストコーナーもあります。
ゾーン6 深海を調査する機器
1.5倍スケールで作られた「しんかい6500」のコックピット模型(たぶん『海に降る』の撮影用に作られたモック)などが飾られてます。
深海展を締めくくる一番最後に「しんかい6500」のコックピットを持ってくるあたり、JAMSTECの有人探査に掛ける情熱が伝わってきます。
あらためて振り返ると、後半の展示は人間と深海のかかわりを強く感じさせる内容でした。
ショップ
そして深海展のラスボスといえば、やはりミュージアムショップでしょう。(・∀・)
前回の深海展2013では病的なまでにぬいぐるみのラインナップが豊富だったのですが、深海展2017のラインナップが あざとい。本当にあざとすぎる。
食器やエコバッグなど「勢いで買ってしまってもそれほど困らないもの」が多いんですよ。絶対何も買わないつもりだったのに8000円くらい使ったからな。財布のひもが緩めの方はお金よぶんに持って行ってください。
あと公式ガイドブックは、深海生物のカタログと展示パネルがメインで前回同様よくまとまってます。
雑な紹介をすると、写真左の2013年版は「NHKスペシャルの図録っぽいレイアウト」かつ「新聞社のグラフ誌みたいな文体」でした。
2017年版は、科学雑誌Newtonみたいな感じです。全体にちょっと柔らかめで読みやすい。見開きの情報がすっきりしているので、ぱらぱらめくって目に留まったところからでもつまみ食いできます。
お値段2200円だったけど、一般書籍でこのボリュームだったら3800円はする内容じゃないでしょうか。
深海展2017まとめ
総論としては、「前回よりじっくり展示を見ることができて、前回より解説が判りやすくなった」という感じでした。
対象年齢は前回よりも若干上がってるように思います。生物標本は小さい子でも楽しめますが、その他の展示は中高生からという気がしました。2013年にはなかった探査船「かいめい」の展示など、4年間でアップデートされた情報も盛り込まれてます。
会場ではデメニギスやスケーリーフットなど様々な深海生物の名前が飛び交っていて、深海ファンが増えたな~という印象です。
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