『裏・逆・対偶』~論理的に正しいシャツの着方~

数学ジョーク『Tシャツを「裏」かつ「逆」である「対偶」に着るのは論理学的に「真」』を真面目に検証します。ただのネタじゃなくて、ちゃんと数学的に正しいのがミソです。

『裏・逆・対偶』~論理的に正しいシャツの着方~

先日Twitterで見た数学ネタ。

Tシャツを裏や逆に着るのが論理的に『偽』であるとき、『対偶は真』なんだそうです。

『ある命題が真であるとき、その対偶は必ず真』

去年聞いた数学ジョーク シャツを対偶に着ると「真」

あはは、対偶が真。

この場合、人間をトポロジー的にひっくり返した状態が「真」です

トポロジーとは

トポロジーというのは数学的な概念の一種です。ドーナツとコップを『どちらも穴が一個の物体』として扱うような考え方のこと。ゴムで出来た筒を曲げても伸ばしても本質的には同じものですよね。

かようにシャツを着た人の頬に優しく手を添え、口に両の親指を突っ込んでミカンでもむくように

わわわわん

…って感じの絵を描こうと思ったのですが、予想以上に気持ち悪かったのでやめました。

論理学的にマジレスしますよ

えー、ある命題において論理的に定義される裏・逆・対偶とは以下の通りです。

論理的命題
論理的命題と裏・逆・対偶の関係

それぞれの項目が成立するときを『真』、成立しない場合を『偽』と言います。

『PならばQが成立するとき、逆や裏は必ずしも成立しないが対偶は必ず真である』というのは数学的に確かめられている事実です。

問題は、この変てこりんな着方も果たして「真」と言えるのか…ですよね。

命題に対する逆・裏・対偶の関連性

「人間は哺乳類だ」という命題に対し、それぞれ逆と裏と対偶がどのような関係であるかを具体的に示します。

基本 人間は 哺乳類だ
哺乳類ならば 人間だ 偽(他にもいるから)
人間じゃなければ 哺乳類じゃない 偽(例えば犬は哺乳類)
対偶 哺乳類じゃなければ 人間じゃない 真(ま、そうだろね)

対偶の真偽判定 結論

以上をふまえて『表に着るのが真』の対偶を取ると、『裏逆にシャツを着るのも正しい』ではなくて『普通に着てない状態はイレギュラー』になります。

つまり、『こんなふうに着る奴は変態だ』って点において『真』なの。

【memo】

細かい事を言うと、ここで言う『逆』や『裏』は論理構造において『服を着た状態を表す集合要素のひとつ』に過ぎません。命題の設定によってはそれぞれの逆&裏における真偽判定がかなり複雑になります。

いずれにせよ非常に良く出来た話でした。こういうの好き。(^^
【ツイートはともひろさんの許可を得て掲載しました】

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