先日「高価な水素水飲むより空気中の水素吸えばタダだよね?」って話を書きましたが、よく考えたら健康な人は体内で水素を日常的に発生させている気がします。
腸内細菌が未消化の食物を発酵させてメタンや水素を出すことは知られており、医学などの分野では、消化の指標に呼気中の水素ガス濃度を計測する手法が採られているとか。
複数の学術論文を確認したところ、食後の呼気に含まれる水素ガスは、大気の数十から百倍を超えるような濃度で検出されるとありました。
呼気として排出される水素は、腸内細菌が作った水素量の14%(後述)ということですから、実際は検出値以上の水素ガスが発生しているはずです。
「毎日の呼吸によって体内に取り込まれる大気中の水素分子は、理想状態における市販の水素水1パックと同程度」という試算も出てますし、仮に水素ガスが何らかの薬理作用を持つとしても普通にごはん食べるのが一番手軽じゃないかなって思いました。(こなみかん)
本稿のねらい
本稿の目的は水素摂取におけるコストパフォーマンス評価です。
前回、「水素飽和水溶液500mlから摂取できる水素量」と「一日の呼吸量から肺に取り込む水素量」がそれほど変わらないことがわかったので、引き続き普段の食生活におけるお得感を実感していこうと思います。
食後の呼気から検出される水素ガス濃度の例
以下に「食後の呼気から気体水素を検出する」という手法をもつ論文を抜粋します。論文検索サイトで「breath hydrogen test」などと入れるといろいろ出てきます。
水素水と牛乳
そのものズバリ、水素水を使った呼気水素のデータがありました。被験者は健康な若~中年のヒト。水素水と牛乳をそれぞれ300ml飲んで計測したということです。
一本突出して水素濃度が高いのが牛乳です。水素水は初動こそ高いものの、すぐに値が下がってます。この現象については水素水を推奨するメーカーも複数指摘しているところ。
水素水のモル濃度はそれほど呼気濃度に影響しないんですね。ちょっと「へぇぇ」って思いました。
【PDF】Breath Hydrogen Produced by Ingestion of Commercial
Hydrogen Water and Milk
水素水とラクツロース
ラクツロースとは加熱牛乳に含まれる糖の一種です。本研究の対象動物は健康体とパーキンソン病のラット、水素水200mlとラクツロース6gの比較です。
ふわっとフロマージュ 阿蘇小国のジャージー牛乳使用
もう牛乳でよくね? |
朝食例3種
朝食に良くある組み合わせの試験食3種での比較もありました。被験者は若年女性です。
各素材の内訳と成分は論文に細かく書いてあります。「呼気として排出される水素は腸内細菌が作った水素量の14%」の記述もここ(参考文献は脚注の(6)-(11))から参照しました。
おわりに
以上のことから、水素水による呼気水素の上昇は一時的なものであり、食物由来の水素供給は緩やかに長時間続くことが読み取れます。
そういう意味では経口摂取した水素が腸を通じて体内に取り込まれている証拠になるのかも知れませんが、同時に速やかに体外に排出されてるとも言えそうです。
改めて書くと本稿の目的は水素摂取量をコスパ的に評価するのが目的です。水素水が健康に寄与するかは評価材料を持ってないので各自専門家の意見を仰いで下さい。
とりあえず市販の水素水パウチに含まれる水素含有量が標準水素摂取量だと仮定したとき、普通に食事してれば十分すぎるほどの気体水素が得られることが解ったので、ここにご報告する次第です。(´ω`*)
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