水引のあわび結びを鶴に転身させつつ再帰的スプライン曲線の話

昔、飲み屋の厨房で小遣い稼ぎしてたころ、季節の飾り物とか結構作らされたんですが 暮れに正月飾りを作りながら何となく考えてたことのメモ。

【追記 : 2014/05/23】

「水引 もやい結び」で見に来た方へ。結婚式のお祝い袋は「引っ張ってもほどけないように」結び切りが定番です。あわせの上下もお葬式と逆ですからね。クイズの答えが判ればOKじゃなくて、こういう時に文化背景も覚えてってね!

水引細工で鶴をつくる

水引細工でツルを作るには

ボディの基本となるあわび(あわじ)結びが出来たら、白の水引を適当に束ねて中程までグルグルに太く巻いて首から尾を作ります。

先端に金を一本飛び出させてくちばしを、3~4回ほど巻いたところで短く赤を差すと丹頂が表現できますなり。で、それぞれを別糸で結ぶなり糊でくっつければ完成です。

正月飾り

あわび結びの写真が雑で全然わからない方のために、きわめて親切な動画を見つけたので手順はそちらをご覧下さい。…でへ。

水引細工とスプライン曲線の関係

で、おち研的にはこっちが本編です。

水引細工って一カ所引いた部分が全体に影響していくので割とバランス調整が面倒なんですけど、これ別の表現をすると全体がスプライン曲線になってて再帰的に互いを律しているからなんですよね。

スプライン曲線はCGやる人ならお馴染みの、「与えられた制御点から導かれる関数で作る滑らかな曲線」ですね。Illustratorのベジエ曲線なんかにも通じる概念です。

重力で律されるカテナリー曲線よりも素材の弾性が重視されます。

昔、なんでも鑑定団に「おばあちゃん手作りの水引細工」が出品されて結構な値段が付いたと記憶してます。講評によれば、水引細工も伝統工芸の例に漏れずどんどん職人さんが減っていて既にかなりの技術が失われてしまってるのが原因だとか。

前に折り紙の話でも書きましたけど、こうした手仕事はルールがシンプルなだけに言語として落とし込む作業がとても難しい。

それでも折り紙は比較的定量化に成功したので工業的に拾われましたが、ロープワークを数学的に表現する結び目理論は割と感覚に頼って話を進める部分が大きいように思います。

以前、何かで読んだ文化論によると「ある社会が文化を獲得する際、真っ先に消える」のが「結びの技術」なんだそうです。

この美しい技法が廃れてしまうのはちょっと残念な気もしますが、タンパク質の構造解析とかにも繋がりそうな話ですしブレイクスルーが起きたら面白いことになりそうなんですけどね。

ロ-プレスキュ-技術 [ 堤信夫 ]【楽天】 / 【Amazon】

紐を渡されて5つ以上の結び目作れる人って かなり限られるのでは。私も「ささっ」とは怪しいかなぁ…。

「もやい結び」「自在結び」「機械結び」は出来ると確実に生存確率上がると思います。

手軽につくれる水引アレンジBOOK [ 長浦ちえ ]
【楽天】 /
【Amazon】
水引・手芸材料◆祝儀袋の水引細工やモダンなラッピングにも使う水引が1本から【楽天】 / 【Amazon】

100円ショップの水引は腰がなくて細工しにくいので、手芸屋さんの水引で練習するがオススメです。