消費者庁「酵素ジュース」レシピ騒動の裏で起きてたもう一つの事件

消費者庁がクックパッドに掲載していた「酵素ジュース」なるレシピが即日削除されました。実はその裏で別のレシピも削除されていて、省庁の監査機能としてはそちらの方が根深いように思います。

消費者庁「酵素ジュース」レシピ騒動の裏で起きてたもう一つの事件

消費者庁がクックパッドに「酵素ジュース」なるレシピを掲載したところ、その作りかたに種々の問題があったため批判が集中。公開開始から40分あまりで削除するという事態が起きました。

実はこの騒動の裏でもう一本「果物シロップ」なる別のレシピも削除されていて、個人的にはそっちのほうが気になってます。

消費者庁の『酵素ジュース』

問題のレシピはこれ。現在では削除されて閲覧不可になってます。
消費者庁「酵素ジュース」クックパッドレシピ
【使いきり】酵素ジュース by 消費者庁 – クックパッド
【使いきり】酵素ジュース by 消費者庁 – アーカイブ

どういう料理かというと、「季節の果物と砂糖を一緒につけ込んで自然発酵させる」というものです。

ぎょぎょ、仮にも省庁が「酵素と発酵」を混同するのはまずいでしょ。手順を抜粋すると

3.発酵を進めるために、清潔にした素手で一日に一度かき混ぜる。

4.36度くらいで発酵が進むので、直射日光が当たらない暖かい場所に瓶を保管する。

5.発酵が進むと果物の周りに泡が出る。かき混ぜたときにシュワーというようになったら、清潔なガーゼで果物をこす。

法的に色々ギリギリな香りがしますね…。

コツ・ポイント
素手でかき混ぜるのは、手に付いた常在菌が発酵を進めるから。
こした酵素ジュースも保管の温度等によっては発酵が続く。冷蔵庫で保存するか、時々ガス抜きをすると良い。

ヽ(´Д`;≡;´Д`)丿

「酵素ジュース」の問題点

私が気になったのは主に以下の点です。

  • 「酵素」じゃなくて「酵母」や「発酵」では?
  • 発酵は果物だけでも始まるんだし素手で混ぜる必要ないのでは?
  • 発酵が進んでアルコール度1%越えたら酒税法違反になるのでは?

この手の自家発酵ジュースは腐敗の危険とも紙一重だと思うのですが、私自身は専門教育を受けてないので安全性についての評価はしません。

仮に「雑菌が混入せず酒になる前に身内だけで金銭を交わさずに飲めば」問題なさそうですけど、認識に誤りがあればご指摘願います。

一介の素人に出来ることといえば、この手のジュースを公衆衛生の専門家が作ってみたって記録を張ることくらいでありましょう。
スズメ8さんが酵素ジュースで実験してみた – Togetterまとめ

同時に削除された「果物シロップ」

本題はこっちです。

『酵素ジュース』が炎上するやいなや消費者庁がレシピを削除、同時に『果物シロップ』のレシピも削除しTwitter上で謝罪しました。

この二つは同じサムネイル写真が使われており、同じ料理研究家から提供された似たようなレシピだったのです。

「酵素ジュース」を「果物シロップ」に書き換えた?

一連の流れを受けて

『「酵素ジュース」って表記は典型的なエセ科学要件だから「果物シロップ」に名前を変更して誤魔化そうとしたけどやっぱ削除したんだ!』

ってコメントが散見されましたが、状況証拠を眺める限りそうじゃないと思うの。

「果物シロップ」は多分本当に果物シロップ

消費者庁が「酵素ジュース」のレシピを公開した時点で、既に「果物シロップ」のレシピページは存在してたんです。

消費者庁クックパッド掲載の「果物シロップ」レシピ
消費者庁の公式キッチン [クックパッド] – アーカイブ

三日間ツッコミが入らなかったのだから耳目を集めるような内容ではなかったのでしょう。削除直前に当該レシピを見た知人によると果物シロップの方に「素手でかき混ぜる」等の記載はなかったそうです。

おそらく当該レシピは淡路島アートセンターが発刊しているフリーペーパー「ぴと」特別号28ページに掲載されているのと同じ料理です。消費者庁に提供された別のレシピも本誌に多数掲載されています。
「ぴと」特別号(PDF)

残念ながらPDFの後半は非公開だったため果物シロップのレシピは確認出来なかったのですが、クックパッドの当該ページを見た人達の証言を信じるなら果物シロップに関してはただの砂糖漬けだった可能性が高い。だとすれば正当な保存食であって削除する必要はなかったはずです。

おわりに:消費者庁に対する疑問と望むこと

この件で消費者庁がクックパッドにアカウント持ってることを知りましたが、正直なところ全然参考にしたいと思いませんでした。こういう、女性誌で「丁寧な暮らし」と紹介されるような料理は個人的にかなり苦手です。

中でも「酵素ジュース」は全力で逃げ出したいタイプの代物で、これがすぐに撤回されたこと自体は良かったと思う。

ただしこれが省庁の肩書きで発表されてしまったのは、持ち込み企画に対する監査が事実上存在してないことの証左であり残念なことです。そして、それ以上に残念だったのは「それ自体に問題がない(と思われる)」果物シロップまで削除されてしまったことでしょう。

省庁に期待されるチェック機能が働いてない、という意味では後者の方が根深いように思います。

公益について言えば謝罪はどうでも良いので、次を出さないための「原因究明」および「削除理由についての公知」をお願いしたいと思います。

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