水素水の本当の効能って健康効果より製造上の廃棄物処理じゃね?

工業用の洗浄水に過ぎなかった水素水が、何で飲料用になったのか経緯を考えてみました。

水素水の本当の効能って健康効果より製造上の廃棄物処理じゃね?

水素水ブームの動向を興味深く眺めています。

一般に知られている水素水(飽和水素水溶液)は「少々お高すぎる上に利き目があるんだか ないんだかよく判らないミネラル(?)ウォーター」くらいの認識なのですが、水素の効能を謳う商品の中には死傷者が出てもおかしくないような製品やサービスも見受けられます。

明らかに危険性が高い商品について「規制すべきではないか」と言う学識者の声も出ているなか、医学的根拠が曖昧な水素水が積極的に販売されている理由が今ひとつ理解出来ずにいました。

でも元はと言えば水素水って工業用の洗浄液なんですよね。もしかして、これって製造ラインの掃除用に機能水生成器を買ったもんから、ついでに詰めて売ってるんじゃないかなぁ…って思ったら非常にスッキリしたのでメモしておきます。

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水素そのものは普段の食事で十分摂れます。

工業用機能水としての水素水とオゾン水

今でこそ飲料用として注目を浴びている水素水ですが、工業的に見るとオゾン水などと並んで使われる洗浄液の一種です。

特に半導体などの製造工程では、製品を傷つけない上に高い洗浄作用を持ち、費用面でも有利ということで積極的に活用されてきました。

半導体工場でのオゾン水利用

特許庁の資料にあった産業用機能水の説明を一部引用します。

 オゾン水は機能水の中心となるものである。
 オゾンは、フッ素についで酸化力の強い物質であるため、有機物の分解・除去や金属除去または過酸化水素水の代替としての利用がすすんでいる。そして、オゾン水は他の洗浄方法と組み合わせることで様々なものが提案されている。
【PDF】機能性洗浄水 – 特許庁(水素水も同様)

半導体工場での水素水利用

 水素水とは、半導体工業において洗浄工程に使われる超純水もしくは純水に、高純度の H2 ガスを溶解した水である。
 超純水に水素ガスを適量溶解させた水素水が、超音波照射との併用で非常に高い微粒子除去効果を発揮することが近年明らかとなった。

水素水にしろオゾン水にしろ、水 H2O の他には水素 H2 やオゾン O3 しか使っていないため、使用後の廃液処理コストが比較的軽微です。それでいて洗浄力は毒劇物指定された薬剤をしのぐ効果があり、薬残りもしないという優れもの。

水素水やオゾン水の最大の特徴であり最大の難点を一つあげるとすれば、溶液としての保存寿命が極めて短いことでしょう。

食品産業界で利用されるオゾン水の殺菌効果

ところで、日常で最も身近に存在するオゾン発生器と言えば冷蔵庫です。強力な酸化作用を持つオゾンには、強い脱臭殺菌効果があることが知られています。

オゾン水についても同様で、「食品工場 オゾン水」などと検索すると活用事例が色々出てきます。

「もともと半導体用だったオゾン水が食品工場にも」という表現が散見されるので、半導体工場に一通り行き渡ったことから食品工場にも販路が拡大されていったのでしょうね。

産業規模の大小を問わず様々な食品加工現場で利用されているオゾン水ですが、複合キーワードに「飲料水工場」が頻出することから大口顧客であることが伺えます。

飲料水の製造ライン洗浄をする際に、薬残りせず「すすぎ」が最小限で済むオゾン水は飲料水工場の実質稼働時間を押し上げる強力な助っ人に違いありません。

水素水とオゾン水は同時に生成できる

で。

機能水発生装置の中にはオゾン水と水素水を同時生成できる製品があるようです。

半導体工場では用途に応じてオゾン水と水素水を使い分けますが、食品工場においては これと言って水素水の積極的な活用方法が見当たりませんでした。仮にこうした機種を導入していた場合、水素水が大量に余るのかなぁと思いました。

とりあえず一通り調べた限りでは、水素水を飲むことによる明示的な健康被害もなさそうです。

ふむ…。

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ただしアルミニウムと酸化カルシウムなど反応させてるタイプの水素発生キットは爆発の危険があるので気をつけて下さい。

おわりに

もちろんこれは可能性の一つです。実際のメーカーがどのようなプロセスを経て商品化しているかの精査をしたものではありません。

私個人は安全面や法的な不備がなければ副生成物の商品化は特に問題ないと思ってます。それ自体を糾弾する意図もありません。

メーカーによっては包装容器に特許技術を盛り込むなど相応に開発費もかけてるようですし、相応の販売価格になることも理解します。もっとも理解したところで水素水を買う気はないんですけど。

じゃぁ何故そんなところに付加価値をかけるのかなぁと考えたとき、一番最初に頭に浮かんだフレーズは「缶ジュース一本130円じゃ大変なんだろうなぁ」でした。

よく「おかしな商売に手を出したメーカーは信頼を失って衰退していく」って言われますけど、「余裕がないからなりふり構ってられなくなった」って状況だとすると因果関係は逆ですよね。

もしそうだとしたら、そこまで追い詰めたのは一体誰なのかなって思わずにはいられませんでした。

もちろんこれは考えうる可能性の一つです。根拠のない戯言と思って頂いて構いません。
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