昆虫大学2014横浜 購買部臨時職員より活動報告日誌

メレ山メレ子学長による昆虫大学 in 関内2014にてスタッフとして参加したれぽ。昆虫系アーティストによるグッズ販売から若手研究者による座学まで盛りだくさんの内容でした。

昆虫大学2014横浜 購買部臨時職員より活動報告日誌

11/2 11/3 横浜関内にて開校した、メレ山メレ子学長率いる『昆虫大学 in Yokohama 2014』にて購買部の臨時職員をしてきましたれぽ。

『昆虫大学 in Yokohama 2014』とは

昆虫大学とは、エッセイストであるメレ山メレ子さんを学長とする 虫好きの虫好きによる虫好きのためのアカデミーです。むしモチーフの作品販売を始めとして、標本製作の実演や生体販売など縦横無尽にむしむし出来るのが大きな魅力。

また、もう一つの柱は本物の学者さん達に会えることでしょうか。「昆虫夜学」と称する夜の部では、気鋭の研究者による抱腹絶倒のトークが盛りだくさんでした。

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ときめき昆虫学【書評】ときめき昆虫学 メレ山メレ子 著

ときめいたので書いた。

昆虫大学 昼の部

あまのじゃくとへそまがり革製品と昆虫標本
あまのじゃくとへそまがりさんによる革製品 & 展翅屋工房・政所名積さんの昆虫標本

昼の部は 物販と展示が中心です。あと昆虫食研究会の皆さんによる実食販売。既に沢山のレポートが上がっているので、文末もご参照下さい。

初日の同僚は(私が一方的に)クマムシ博士の追っかけ仲間と思っているトビムシさんだったので、初対面ながらとても心強かったです。感謝!

クマムシさんブースにて

当のクマムシ博士こと堀川先生が隣のブースにいらっさいました。

クマムシさんとリアルクマムシさん

慌ただしく作業されてたので、ご挨拶がてら「単純作業なら手伝いますよ」と申し出たところ

堀川先生「そうですね…それじゃクマムシ取ってきて下さい」と、ジップロックをヒラヒラ。

クマムシ捕獲 is 単純作業?(・∀・)?

堀「だって、あなたたち自分でクマムシ採ったことあるでしょう?」
私「えぇ、まぁ」
掘「クマムシだったら種類は問いませんからチャチャッと」
ト「判りました。じゃ、ちょっと行ってきます」

…みたいな感じで、トビムシさん華麗にミッション・コンプリート。皆さんが顕微鏡でご覧になったクマムシは会場周辺で採取された生粋の野生種でございました。

ちなみにリアルクマムシさん、いるところといないところが結構分かれてる感じです。GJ。

昆虫大学公式フィールドノート

昆虫大学オフィシャル野帳

昆虫大学公式グッズとしてお馴染みの測量野帳。ご存じない方には「何のこっちゃ」なノートでしょうが、このモデル、フィールド系でのマストアイテムです。ラボの横綱キムワイプ、かたやフィールドの野帳、みたいな感じ。存在感が伝わりますでしょうか。

キムワイプ 12×21.5cm /1箱(200枚入) S-200

胸ポケットにすっぽり入って立ったままでも書けるし縫い目が丈夫ですごくタフ。ひところ話題になった実験ノートみたいな感じで使えます。左の野帳は私が実際に使ってたもの。崖から落ちたりもしたけれど、わたしはげんきです。

思い入れあるグッズなので売れ行き良くて嬉しかったです。完売したようなので次回は校章が変わるのでしょうか~?(´∀`*)

昆虫夜学

二部構成となっている夜は、夜学と銘打っての座学です。最先端の研究成果が極上のトークライブになるの本当素晴らしい。登壇者も実にバリエーション豊です。皆さんそれぞれに魅力的だったんですが、個人的には「むし度」低めの方に興味津々でした。(以下 一部敬称略)

岡本朋子:花粉を運ぶ昆虫たち

トップにしてメイントークは森林総合研究所の岡本朋子博士です。テーマは「花粉を運ぶ昆虫たち:したたかな植物と従順な昆虫の共生関係」。

植物は受粉に昆虫を利用するため、あの手この手で虫を呼び寄せます。中でも焦点は昆虫ハナホソガと植物カンコノキの共生関係について。ハナホソガはカンコノキ固有のパートナーとして受粉を手伝う見返りに、種子の一部を幼虫のエサとして受け取ります。

ただしハナホソガが種子を食べ尽くしてしまえばカンコノキにメリットはないし、カンコノキがハナホソガの繁殖を律しすぎれば受粉が出来なくなってしまう。

ハナホソガとカンコノキ

そのやりとりは手に手を取った伴侶と言うよりも、むしろエゴとエゴのぶつかり合いで折り合っている危うい関係に見える。でも、だからこそ無垢な関係であるようにも思うのです。

実は岡本博士による同じテーマのインタビュー記事が半年前にネットで公開されていて、両者の関係性に私も魅了されました。ぱっと見「ベターハーフ!超ラブい!」とか思わせといて、よくよく考えると相当エグい感じしかしない。

なので今回の講演をほんと楽しみにしてたし、直接お話も伺えて大満足です!

あと件のインタビュー記事ではハナホソガ(オス)が『働きもしない怠惰な奴』として描かれてるんですけど、今回更なるオスのクズっぷりが明らかになりました。

彼女に働かせてる間、男ばかり集まって酒(=自然発酵の樹液)を飲んだくれ、あわよくば別の女にも手を出す始末。しかも栄養状態が良いからメスより長生きしてる可能性があるとのことです。

ハナホソガ女子における彼氏の選別基準って一体どうなってるんでしょうね。ちょっと博士そこんとこkwsk!

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生態学ってエコロジー!種を越えた愛憎劇と命をかけた共生関係

岡本朋子博士のサイエンスカフェ行ってきた。

絶対に浮気しないパートナーの選び方を擬人化したらグロかった

半年前にそのインタビュー記事読んで、あまりに感動したので勢いで書きました。多少反省してます。

白水貴:Dawn of the Zombie Ant

次は菌類学者の白水博士です。きのこ博士です。テーマはアリに寄生してゾンビのように主導権を奪う菌の話。

菌が宿主を乗っ取るさまを巧妙に表現した素晴らしい講義だったのですが、参照画像のチョサッケン的なアレにより挿絵を差し替えさせて頂きます。

切り絵作家いわたまいこさんによる白水博士オリジナルキャラクター「タケルくん」の軽妙な切り絵をお楽しみ下さい。

白水博士のタケルくん 「タケルくん(50万円)」

風の旅行社:報告!ときめき昆虫観察会

風の旅行社さん主催・メレ子学長&標本ブース政所名積さんによるフィールド観察会の報告です。当日の様子は学長のTwitterやブログで拝見してましたが、誘蛾灯の代わりに自販機の明かりに群がって虫を観察した等のこぼれ話が飛び出して楽しげでした。

堀川大樹:クマムシのはなし

クマムシとは

クマムシは当サイトでも度々取り上げております。宇宙や深海といった極限環境でも生存可能なステキ生物です。都市部にも極限環境を中心に住み着いているようです。都会の極限環境というとあれですね。怪しい臭気の漂う不衛生極まりない環境が適していると。

つまり昼回のブースで展示されたクマムシも、そのような場所から もがもがむきゅ(略

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レッツ・クマムシ・ハンティング

知久寿焼:チビズキンツノゼミ種群

ミュージシャン知久さんによるツノゼミ分類の経緯報告。食草から同定していく手法など大変興味深かったです。

知久さんのツノゼミ分類

古い友達が知久さん達の大ファンだったので、何だか不思議な感じ。ゆらぎのある独特の声は、意識して聞いてないと言語として処理するのが少し難しい。その割には頭蓋骨の中にそのままの形で音が残ってるんですよね。やっぱり不思議な方でした。

ツノゼミ ありえない虫

後述する丸山先生の著書。ツノゼミはとても小さな生き物なのですが、写真がどれも美麗でスケール感がすごい。

福富宏和:虫を採る理由

石川県ふれあい昆虫館より、福富宏和さんによるタマムシ愛が炸裂します。隙あらば「タマムシかっこいい」を連呼。中でもナガタマムシ属に話が及び、

タマムシと制服美女が完全一致
タマムシと制服美少女の共通点
  • 触角がある
  • つぶらな瞳
  • スレンダーな体系
  • 美脚
  • ヘムライン(セーラー服は不可)

…等の点で制服美少女との一致が見られるそうです。(・∀・)

丸山宗利:アリの巣の百鬼夜行

一方の丸山先生はヒゲブトオサムシ推し。

ヒゲブトオサムシの多様性

先の福富さんの舌戦を受けて立つ形で完全にプロレス状態なのが面白すぎる。

でも個人的には「丸山先生も美女カウンター打てたのになー」と思ってます。


↑ @dantyutei氏 is 丸山先生 ↑

とよさきかんじ:ムシの絵本ができるまで

絵本作家とよさきかんじさんが、二年前の昆虫大学に起因してダンゴムシ絵本を出版するに至るお話です。

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「子供の頃は虫が好きだったのに、周りに仲間がいないと忘れちゃう」的なくだりがあって、そういうの確かに辛いよなって思った。同好の士ってほんと有り難いですね。

荒木健太郎:蟲が切り拓く局地豪雨予測

そして最後は荒木健太郎さんの発表です。冒頭の岡本博士と並び、登壇者名簿にお名前を見つけて「ふぉぉ!」て思った気象庁の方。

虫によって可視化される雨雲

上昇気流に乗る蚊の群れをレーダーで捕捉すれば、これまでの演算では読めなかった風の動きが可視化できるようになるかも、というお話でした。実際にそれらしいデータも出てるようなので期待してます!不確定要素の多い気象予測でパラメータが一つ増えるって大きいんじゃないかなぁ。

気象の真面目な本は多段の行列とか積分がゴリゴリ出てくるので泣きそうになるんですけど、アラケンさんの解説は絵がカワイイところに本気を感じます。(´∀`*)

アラケンさんによる図説:虫は風の流れに乗る

そのうち「ツバメが低く飛んだら雨、高く飛んだらスゲー雨」とか言われるようになるかも知れません。災害の予測精度を1%上げるのが大変なことくらい一応判るし、そのために奔走してる方を見るとほんと頭が下がります。

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そのほかのこと

ちなみに夜学は開講直前まで受付をしていたため、最後方からの聴講でした。かろうじて視界の開けたところがあって「ラッキー!」って座ったら、世界最大級のGであるヨロイモグラG飼育ケースの前である事に気づきましたよね。G見ながら食べましたよね。( ・ㅂ・){mgmg

あ、仕出しのお弁当は美味しかったですよ?

昆虫学会むしむしケーキ

締めに会場の全員で校歌を斉唱して初日終了です。

二日目は人数的にも落ちついた印象でしたが、そのぶん出展者との距離が近くて熱心に話し込んでる姿が多数見受けられました。院生の大部屋っぽい雰囲気でそれはそれで良い感じ。

そして17時で終礼のチャイムが鳴ると、手練れの皆さんによってあっという間にがらんとした空間に戻されていきました。最後キッチン掃除しててたら流しの奥に蜂の子っぽいのが何匹か詰まってて面くらいましたが、多分全部取り除いたと思います。

とにもかくにも場違いなままお世話になりっぱなしの二日間でした。

昆虫大学

お声かけて頂いて感謝してます。本当にありがとうございました。

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昆虫大学のお手伝いしてて思ったこと。